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電気計測器産業と各種関連産業の健全な発展を図る

社団法人 日本電気計測器工業会

 2008年に60周年を迎え中期ビジョンの策定を進める(社)日本電気計測器工業会、専務理事石川洋一氏に電気計測器市場の動向と同工業会の活動について話を聞く。
専務理事 石川 洋一支
日本電気計測器工業会概要
 (社)日本電気計測器工業会(JEMIMA)は、1948年(昭和23年)に創立され、来年で60周年になります。公益法人化されたのが1960年(昭和35年)です。
正会員は電気計測器のメーカー、すなわち、指示計器、電力需給計器、電気測定器、電子応用計測機器、FA用計測制御機器、PA用計測制御機器、環境計測器、そして放射線計測器を製造している企業です。その中で、石油や鉄などいわゆるプロセス産業にそのコントロール機器を提供するPA計測制御機器と半導体・IC測定器を含む電気測定器の比重が販売額ベースで相当多くなっています。(表1)
 賛助会員は、販売、リース・レンタル会社、エンジニアリング企業、関係団体などからなっており、2007年5月現在で、正会員は82社、賛助会員は25企業と6団体になっています。
 当工業会は、電気計測器に関する調査研究、普及啓発、企画の制定、経営の改善、国際協力の促進などを諸官庁と協力して行い、電気計測器産業と各種関連産業の発展を図っています。その目的に向け、各委員会が中心となって様々な活動を展開しています。
(表1)※
工業会の活動
 従来から継続的に行ってきた活動に加え、ここ5〜3年ほど前に多くの新しい活動が開始されました。これらの事業を継続的な事業活動から簡単に説明したいと思います。
1.まず展示会事業があります。1955年から開催された歴史のある展示会で、以前は全国の地域を持ち回りで開催していました。現在は1年おきに東京と大阪で交互に「計測展」を開催しています。
2.台湾、韓国、中国などアジアを中心に、工業会ベースでの海外交流も継続した事業として行っています。
3.電気計測器はハイテクアイテムですから、輸出するときに気を遣わなければなりません。昔のココムが現在ワッセナー・アレンジメントとなり、日本もそれに沿った輸出規制を行っていますが、工業会としても各企業が不適切な輸出を行わないように輸出管理に関わる情報を、経済産業省、(財)安全保障貿易情報センターなどの関係官庁団体と協力して収集・分析・検討を行い、その成果を工業会のWebサイトやセミナー、報告書などにより情報を発信しています。
4.他の多くの工業会も行っていることですが、当工業会も担当の製品に関係するJIS原案を作成しており、国に提案してJISとして制定してもらいます。
5.IEC、ISOといった国際規格審議機関からくる規格に関する意見に対して、当工業会が関係する品目について評価し意見を述べています。具体的な回答案を作成し国際会議に委員を派遣するなど日本の意見を反映させるように取り組んでいます。
6.電気計測器の動向を把握するため、生産・販売や輸出入の統計を行っており、1975年からは、電気計測器における向う5年間の中期予測を毎年発行しています。(写真1)
7.工業会や会員の活動を世の中に知っていただくため、会報やWebサイトによる広報事業も行っています。また、会員を対象とした速報性のある情報を毎週メールマガジンで配信しています。
写真1
新しい事業活動
 新しい事業としては5年ほど前から、グローバルな動き、安全環境の動き、IT化の動きに対応する、事業をいくつか進めています。
1.会員企業の製品に関係した世界各国の法律や強制規格を調査して、会員企業で共有しようという法規制・規格事業があります。各国各地域に様々な法律や規格がありますので一社だけで調べることは困難です。それを、委員会の中で手分けをして情報を持ち寄りデータベース化して、会員企業が容易に検索アクセスできるようにしています。影響の大きな制度、たとえば中国のCCCだとか、欧州のEMCなどについて、有識者を呼んでセミナーを行うことにより、会員で情報を共有するといったことも行っています。
2.環境グリーン事業としては、特にEUのWEEE/RoHS規制という電気製品の廃棄と販売に関する規制の制度への対応が課題です。
 センサや制御機器は多種類のものがありますので、たとえば水銀を用いないと測れない、というようなことが起こります。RoHS規制のカテゴリー9が測定器関係ですが、規制の猶予期間が終わります。RoHS規制というのは、ある時点から欧州市場で売ることができなくなる規制です。売る方も困りますが、ユーザーも困るのではないですかという観点から、EUの立法府の方に適切な規制のあり方について意見を述べることを継続的にやってきています。
 中国においても中国版RoHSという形で、有害物質表示の義務、ある時点からの市場への販売規制が行われようとしています。このことに関しても、調査を行い現地に調査団を派遣して中国政府の人と対話してくるという活動を行い、それを会員企業に周知しています。
3.計測・制御に独特のシステムとして、計器の校正(キャリブレーション)があります。JCSS(計量法校正事業者認定制度)は、国さらには世界の標準からの誤差(正確には不確かさ)が一定範囲に収まることを保証するよう定期的に機器を校正するシステムです。JCSSは、原器を管理する(独)産業技術総合研究所、制度を運用する(独)製品評価技術基盤機構とそれらを使う我々工業会メンバーが協力し、意見交換してこの制度を運用し、ユーザーに普及を図っていかなくてはなりません。工業会にはこれに対応する委員会があります。
4.2003年からは、計測と制御の専門ポータルサイトの「MandCポータルサイト」を開設しました。このポータルサイトに入ると会員企業の製品を性能指標で検索ができ、検索された製品のさらに詳しいスペックを各メーカーのサイトに入って調べることができます。また、計測・制御の技術解説を掲載しています。
5.つい先だって、当工業会がISO提案していたものが、IS(国際規格)として発効・刊行されました。環境計測器のPLIB(PartsLIBrary)国際規格としての、ISO13584Part501です。これは、計測器の詳細な性能、カタログの電子的な表し方の規格で、製品をどう分類し、性能をどういう単位でどう表すかなどが明確に決められていますから、世界中の誰もがWeb上で情報を共有でき、世界のどこからでも検索によって各社各製品の比較ができることになります。この提案も6、7年越しでやっていたもので、今後はPLIB辞書登録のための組織の運用と辞書の検証システムを本格化し、電気計測器PLIB辞書の利用促進・普及のための活動を行っていきます。
6.機能安全調査研究、7.生産・制御システムのセキュリティ調査・研究についても、海外の動きや、国内の技術開発などを見ながら、調査を行い情報を共有するようにもっていきたいと思っています。
8.電気計測器分野の先端的基盤技術を調査し、ロードマップを作りました。また、経済産業省、文部科学省などに対し電気計測器技術開発の国家プロジェクトの提案活動も行っています。

 いま述べてきた事業活動は、おおむね各委員会の活動として進められます。展示会事業であれば展示会委員会で計画を練り、世界の強制規格のあり方を調べるのなら法規制・規格委員会で行うなど、多くの事業は委員会の中で運営されています。
工業会の運営のあり方を考え年度計画策定の旗振りをするところとして、企画委員会が設けられています。一般委員会というのは関係する各社が希望して参加する形になっており、特別委員会は企業委員を指名して参加を要請しているものです。

中期ビジョンの策定
 来年は工業会創立60周年であり、新社屋も落成する予定になっていますので、当工業会が中期的にどんな事業に重点を置いて、どのような体制でやっていくべきかのビジョン策定を今年度から開始すべく考えています。
 会員企業は、グローバルな競争にさらされており、その中で自社のコアコンピタンスをより強くして、世界市場の中で勝ち残るというのが各社の戦略でしょう。一方、環境、安全そしてセキュリティなどといったことへも世界的に厳しく対応を迫られます。また、IT化の進展への対応もキーファクターの一つです。会員企業の意見を聞きながら“会員に喜ばれる事業”、“公益法人である工業会が世の中に役立てる事業”を考え、今年度中に3ないし5年のスパンを想定した中期ビジョンとしてまとめたいと考えています。
2006〜2010年度中期予測
 5年間の中期予測である「電気計測器の中期予測2006〜2010年度」を昨年の12月に出しております。それによれば、2006年度は前年度比0.4%増の8,292億円となっています。2007年度は設備投資も引き続きよく、円安の追い風もあり4.2%増の8,638億円が予測されています。(表2)
 中期的にはIP通信設備、高速無線の普及、アナログTV放送が2011年に終了することによるデジタルTV需要の拡大、ハイブリット車や燃料電池関連機器の本格普及などが開発投資を押し上げ、測定器やPA計測制御機器の需要拡大要因となるとしています。北京オリンピックが開催される2008年がピークで、その後2010年までは減速しながらも1.7%のプラス成長となり、2010年までの平均伸び率は2.7%/年となっています。ただしこの数値は、国内で作って国内で売るもの、国内で作って輸出をするものを統計して予測をしています。
 一方で、会社単位で見れば、海外の子会社が海外で生産をして海外に販売するものも、連結に入りますが、この中期予測には国内生産分しか入っておりません。委員会の推計によれば数値はだんだん多くなってきており、特にPA計測制御機器では相当な比重を占めるようになっていますので、会社単位の勢いからすれば2.7%よりはいいのではないかと思っています。PA計測器における2005年の海外生産販売の比率は、国内で作ったものの20%ほどになっており、その比率は増えていく傾向にあるようです。電気測定器の方は、海外で作り海外で販売するものは多くなく10%に達していないようです。しかし、海外で作って海外で売るものと、国内で作って海外で売るものを足したいわゆる海外比率は高く、2005年の数値で全体の50.6%になっています。
 海外生産の動きをシステム的に取り込むことが、課題として残っています。
(表2)※
項目別予測
 電気測定器は、携帯電話が今後3.9G、4Gに発展するにともない移動体通信用測定器などが増えると期待できるでしょう。国内では、FTTHの普及により動画像の家庭への配信が本格化すると見込まれ、幹線網からアクセス網に至るまで通信の高速化、大容量化が進み、光測定器などの伸びに期待が持てます。また、TVのデジタル化が進むことにより、オーディオ・ビデオ測定器などの新しい需要も見込まれます。エネルギーや地球環境への意識が高まる中、自動車をはじめ多くの機器がエネルギーの効率の向上を目指しており、電圧・電流・電力測定器などの増加も期待できます。(表3)
 PA・FA計測制御機器は比較的安定な生産額であるものの、右肩上がりというよりはややもすると下がり気味だったのですが、その理由は海外に生産拠点を移したことによります。(表4)
 放射線計測器は、原子力発電所の建設計画とリンクします。2007年度以降は、原子力発電所の開発計画により徐々に回復すると予測しています。
 電力量計は新築家屋、新築ビルが多いとメータの出荷が多くなります。今後の新設住宅着工戸数は、120万戸〜130万戸の水準が続くものと予測され、機械式計器の新規需要は150万個程度の水準が予測されます。また、家庭用電力量計は、フィールドから戻した機器の検査検定後の再利用というものがあり、7年の検定有効期間が10年に延伸することにより新規の需要が減少すると予測されます。
 このように色々な要因を考えながら予測をしています。詳しくは「電気計測器の中間予測」を見ていただきたいと思います。予測は全体的に横ばいのようになっていますが、先ほども言いましたように海外生産し海外に販売するものを考えますと、当工業会の会員企業の業績にはもう少しの上乗せがあると考えられます。
(表3)※
(表4)※
計測器における国際競争力
 世界の市場の統計では、ソフトウエアや施工・設置サービスまで入っており、日本の統計ではそれが入っていないため比較が難しいものになっています。電気測定器の中で半導体・IC測定器は世界での競争力がありシェアも高く、一般測定器は海外企業の世界シェアが高いという傾向がある中でも、光測定器、携帯電話のキャリア向けの測定器などは日本の強いところです。FA・PA計測器は世界の何強かに入っている会員メーカーもあり、世界での競争力が十分にあるといえるでしょう。電気測定器とFA・PA計測器は会員企業がグローバルに競争している分野であり、したがって輸出も輸入も相当大きな額です。
これに対し、環境に関する計測は、各国によって規制が違うので測定の方法も変わってきます。日本においては日本の国内法において環境規制が行われており、測り方も決められているわけです。海外ではその国の法規に従ってその国のメーカーが作っており、競争力は比較しにくいものです。ただ、今後アジアに進出する日本の企業は日本の計測器、分析器を現地で用いることは考えられます。環境計測器は環境規制が施行されると急速に伸びますが、何年かで安定的な需要になってきますので、需要予測が難しいといえるでしょう。
放射線計測器は、海外のものがそれほど輸入されてはしませんし、輸出もほとんどありません。世界的な競争力という観点では、分からないとしかいえません。
また、電力メータもドメスティックなもので、もともと輸入もなければ輸出もありません。
この三つについては、内需特化型の分野といえるでしょう。
今後の計測器に求められるもの
 測定周波数の帯域においてはますます高い領域に広がり、時間軸においては、ピコ秒、フェムト秒での分解能が要求されているなど、計測器の性能向上は求められ続けます。また、性能向上とともに、操作性の改良やマシンインタフェースの向上、パソコンとの親和性さらには企業内情報処理システムとの統合性なども求められており向上しています。展示会において会員企業がお客様に訴求しているところも、この辺にあると思いますので、展示会において注意深く御覧下されば幸いです。
※表1〜表4は、社団法人 日本電気計測器工業界発行『電気計測器の中期予測2006〜2010年度』を参考に作成。