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汎用コンパクトオシロスコープから、自動車業界向けソリューション、高速シリアルバス対応のハイパフォーマンス製品まで幅広くラインアップ

アジレント・テクノロジー株式会社

 汎用の測定器として使用できる、低価格でコンパクトをコンセプトにしたオシロスコープDSO5000シリーズを発表し、ミッドレンジ・コンパクト・オシロスコープ分野に参入したアジレント・テクノロジー。
 マーケット・ディベロップメント・マネージャー佐藤利宏氏とプロダクト・マネージャー関野敏正氏に、新製品のDSO5000シリーズとその上位機種DSO/MSO6000シリーズ、およびハイパフォーマンス・オシロスコープDSO80000シリーズについて話を聞く。
電子計測本部
マーケット・ディベロップメント・マネージャ 佐藤 利宏
マーケティング部
プロダクト・マネージャー
関野 敏正
DSO5000シリーズ
 『DSO5000シリーズ』は、354×188×174mm、重さ4.1kgのミッドレンジ・コンパクト・オシロスコープ。汎用オシロスコープに関して特に大事にしているのは、波形の更新速度と、長いメモリをしっかりと使いこなせるかということだ。同シリーズは非常に小さい筐体ながら、上位機種の『DSO6000シリーズ』に搭載されていたディスプレイ&メモリ管理ASIC『MegaZoom IIIテクノロジー』を搭載している。これにより毎秒10万波形の波形更新速度、ロングメモリ使用時の高レスポンス、256輝度階調表示の高解像度XGAディスプレイといった特徴を継承している。
 このMegaZoom IIIテクノロジーの採用により、同シリーズはすでに市場にある同クラスの他社製品と比べて25倍以上高速となる10万波形/秒の波形更新速度を実現している。
 オシロスコープは、基本的には波形を見るためのツールで、正しく信号が出ているのか、もしくは正しくない信号が出ているかを確認するものだ。そのとき、正しくない信号が出ていた場合、すぐに発見できなければならない。間欠現象が数万回に1回、もしくは1日に1、2回しか現れないものを捉えるとき、波形更新速度の速さが求められる。このオシロスコープは、最大で1秒間に最大10万回波形更新、256階調の輝度階調表示などアナログ・オシロスコープのような使い勝手を実現、異常を発見する時間の短縮に貢献する。
 デジタル・オシロスコープは一定間隔で信号を取り込んでいる(サンプリング)。信号を取り込んでいない時間をデッドタイムと呼び、一般の製品はこのデッドタイムが95〜99%ある。したがって、間欠現象を画面に映そうとするには、偶然に頼って待つことになる。以前なら、1、2週間、オシロスコープにつきっきりでやっと発見できるということもあった。佐藤氏は「毎秒10万回の波形更新の場合、一番よい数値ですと、デットタイムは60〜70%です。デッドタイムが99%の製品と比べると、40倍も信号が見えている時間があり、これまでなかなか発見できなかった間欠現象を簡単に見つけ出すことができるようになります。」と言う。
 また、同リーズでは、従来、このクラスで提供されていた他社製のオシロスコープと比べて、100倍以上長い1Mptsのメモリを標準搭載している。MegaZoom IIIテクノロジーの採用により、メモリ長を長くした場合でも、オシロスコープの画面更新速度や反応速度には影響を与えない。たとえば、エンジニアが波形を拡大、縮小しても、エンジニアの操作に追随して処理されるので、ストレスなく操作することが可能だ。
DSO5000シリーズ
DSO/MSO6000シリーズDSO80000Bシリーズ
 DSO5000シリーズの上位機種に当たる『MSO6000シリーズ』は、16チャンネルのデジタル信号と4チャンネルのアナログ信号を同時に解析できるミックスド・シグナル・オシロスコープ(MSO)である。0、1の制御信号とアナログの波形が同時に見られることで、ブリッジによるデジタル回路は誤動作を起こしていなかったか、あるいは、アナログの波形はどうだったのか、また変化やノイズがなかったか、ということを確認できる。0、1とアナログ波形の相関を見たいときは、ミックスド・シグナル・オシロスコープ(MSO)が有効となる。
 アプリケーションは、組み込みシステム、つまりデジタル搭載基板・回路全般となる。たとえばデジタル回路でのエラーの発生原因と、アナログの信号品質との相関関係の特定などが1台で実現できることが大きな特徴。オプションのI2CやSPIのデコード機能を併用することで、シリアル通信の内容とアナログ波形との相関表示も可能となる。
 「当社は業界トップクラスのシェアを誇るロジック・アナライザの技術を元に世界に先駆けてミックスド・シグナル・オシロスコープの販売を開始しました。MSOを用いることにより、組み込みエンジニアに、デジタル/アナログの相関デバッグに費やしている膨大な時間を節約していただきたいという狙いもあります。」と佐藤氏は話す。
 同社は同シリーズをベースに、様々な自動車関係のソリューションを展開している。たとえば、FlexRay、CAN、LINに対応するプロトコルデコードのオプションのほか、自動車分野での利用に便利なバッテリ駆動オプションも提供している。
 また2011年に、自動車に実用化されると言われているFlexRayに対するソリューションとして、ドイツのDECOMSYS社と共同で、ソリューションを提供していく。従来と大きく違っているのは、DECOMSYSのBUSDOCTORというツールと組み合わせ、オシロスコープでは計測できなかった信号のない状況に対してトリガをかけることができるようになったことである。
 『Agilent N5432A MSO6000シリーズ・FlexRay用トリガ&デコード・オプション』は、同シリーズとそのFlexRay用トリガ&デコード・オプション、およびDECOMSYSのBUSDOCTORプロトコル・アナライザを組み合わせた測定システムだ。業界で初めて、オシロスコープ上で、FlexRayの信号波形を、時間情報と相関をとりながら表示することを可能にした。この機能により、外付けのPCなしで、単体測定を行うことが可能となる。もしくは、DECOMSYSのWindows上で動作するソフトであるVISIONソフトウエアを使い、DECOMSYS::BUSDOCTOR 2とMSOの同期を取ることも可能。このシステム構成の場合、PC上で高レベルのFlexRayプロトコル解析を行い、オシロスコープの画面上には時間相関をとったFlexRay測定結果が表示される。
 ハードウエアによるデコード機能と同シリーズの最大毎秒10万回という波形更新速度により、測定データをリアルタイムで表示することが可能となる。また、ヘッダ/フレームのCRCエラーだけでなく、境界違反を始めとする各種プロトコルレベルでのエラートリガ設定が可能である。
 「このカテゴリーのオシロスコープは、いかに問題を早く見つけられるかにフォーカスを当てています。そのため、トレードオフがない、『長いメモリ長』、『高速な画面更新速度』などの特徴を備えています。そのようなオシロスコープの基本機能に加えて、CAN、LIN、FlexRayなどのアプリケーションへの対応により、デバッグ時間の短縮に貢献していきます。」と佐藤氏は話す。
MSO6000+DECOMSYS::
BUSDOCTOR2
FlexRayへのトリガ
 
DSO/MSO6000シリーズ・
バッテリ内蔵オプション
DSO80000Bシリーズ
 『DSO80000Bシリーズ』は同社のハイパフォーマンス・オシロスコープで、2GHzから13GHzの帯域に対応している。エレクトロニクス・エンジニアが特定の測定ニーズにオシロスコープを利用できるように、広範にわたるアプリケーション・パッケージを搭載している。たとえば、PCI Express、SATA/SAS、最近話題となっているハイ・ハイビジョン・テレビやゲーム機に搭載されているHDMI1.3、そして高速メモリのDDR2など、各規格に対するソリューションを展開している。
 その他に注目されているところとして、「パソコン周りのインタフェースで、ワイヤレスUSBがあります。ワイヤレスUSBではUWB(ウルトラワイドバンド)と呼ばれている変調方式を採用しているため非常に帯域が広くなっており、従来のスペクトラム・アナライザでは捉えられなかった信号を捉える必要があり、最近は、オシロスコープをベースとした解析が求められています。マーケットは広いですが、当社はそれぞれの分野に対するアプリケーションを開発しソリューションを提供しています。」と関野氏は言う。
 最近は、伝送スピードの規格が速くなり、これまでのパラレルでデータを転送していたのではスペースの問題と併せて、同期をとるのが困難になるため、シリアル伝送が一般的になってきている。HDMIでは3.4Gbps、PCI ExpressでもGen2(ジェネレーション2)と呼ばれるものは、5Gbpsと非常に高速な伝送スピードが求められる状況になってきている。このようなアプリケーションでは、広帯域で高速サンプリングのオシロスコープが求められているため、同社はこのニーズに応えるため同シリーズを提供している。
 同シリーズの特徴として大きく4つのポイントが挙げられる。1つは、シグナル・インテグリティに優れていることだ。信号が高速になるにつれて、オシロスコープのノイズ低減が求められる。そうしないと、実際の被測定物は正常であっても、オシロスコープのノイズが画面に表示されてしまい、正しい測定結果が得られなくなるからである。
 同社では、オシロスコープが測定に影響を与えないよう、ファラデーケージという金属で回路全体を覆ってしまうという工夫を施しているため、外部からのノイズの影響を受けないようにしている。しかも、密閉空間内部におけるノイズにも考慮した設計になっており、クリアな信号をプリアンプに送ることができる。そして、このプリアンプで増幅された信号をADコンバータに送る部分はシングルエンドではなく、差動伝送路を採用することで、この部分でもノイズの影響を最小限に抑えており、その信号をADコンバータでサンプリングしている。同社のADコンバータは米国アジレント研究所で開発されたもので、シングルチップで20GSa/sのサンプリングを実現している。実際の性能では、一般の製品と比べて、2〜2.5倍ほどトレースノイズが優れており、測定器自体のノイズが少ないため、測定マージンを稼ぐという意味でもメリットがある。
 2つめは、測定帯域についてである。13GHzまで対応した測定器なら何でも計測できると思いがちだが、それは間違っており、帯域が広い分ノイズも拾いやすくなり、高周波の測定でなくても広域のノイズを拾ってしまう。そのため、アプリケーションに合った測定帯域のオシロスコープを使うことがベストであるが、そうなるとアプリケーションごとに測定器を追加しなければならない。
 同社のオシロスコープには、帯域制限機能が備わっている。この機能を使うことで、オシロスコープの測定帯域をアプリケーションに応じた最適な帯域に設定できるため、必要な測定帯域以外のノイズを拾うことがなく、用途にあった測定をすることが可能になる。
関野氏は「これができるのは、当社のオシロスコープだけです。」と言う。また、同シリーズでは、購入後に帯域をアップグレードすることも可能だ。2GHzのオシロスコープを購入しても、最大13GHzまでアップグレードすることができる。
 3つめは、波形の再現性である。オシロスコープの場合、サンプリング速度を向上させるための手段としては、インタリーブという手法が用いられることがある。これは、入力信号を2つに分けて、2つのADコンバータに送り、それぞれを1/2クロックずらすことで、2倍の早さでサンプリングする方法である。
 同社のチップはシングルで20GSa/sなので、2つを組み合わせることで40GSa/sを実現できるが、メーカーによっては、2つだけでなく、それ以上の数を組み合わせている場合もある。これには、組み合わせたADコンバータのクロックが正確に調整されていない場合、インタリーブ・エラーが生じるため波形が歪んでしまうという問題もある。このため、実際に測定している信号の立ち上がりや、立ち下がり時間などの値に誤差が生じ、高確度な測定を行うことができなくなる。
 オシロスコープの他にも、オシロスコープと同じプラットフォームのDSA(デジタル・シグナル・アナライザ)も提供している。最近では高速シリアル通信の解析のニーズが高まっているが、同シリーズと、高速シリアル通信の解析に必要なソフトウエアをバンドルした製品が同シリーズである。
 関野氏は「ハイパフォーマンス・オシロスコープに関しての特徴は、シグナル・インテグリティと、信号を拾うプローブの精度、それとアプリケーションです。特にデジタル信号も帯域が上がってくると、高周波信号と同じような振る舞いをします。当社は、ネットワーク・アナライザやスペクトラム・アナライザ、信号発生器など、もともとRFやマイクロ波の技術に強い会社です。ハイパフォーマンス・オシロスコープでは、この高周波での技術や経験が役立っており、測定結果にも顕著に現れます。」と語っている。
 4つめは、プローブである。オシロスコープの精度は、プローブの精度により大きく左右される。同社は、高性能のプローブを数多く提供しており、最高で12〜13GHzのオシロスコープに対応したプローブを揃えている。13GHz相当の信号を測るとき手で押さえているだけではどうしてもノイズが入ってしまうため、プローブを直接測定部にはんだで固定するタイプのものを提供している。新製品のZIFチップと呼ばれる製品はプローブの先端部分ををはんだ付けし、プローブ・ヘッドを挿入するタイプで、先端のZIFチップだけを交換するだけで、複数のポイントにプロービングできるためコスト削減にも貢献する。また環境にも配慮した業界初のRoHSコンプライアンス準拠の鉛フリー構造となっている。
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