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3GPP LTE測定ソリューションの概要

ローデ・シュワルツ・ジャパン株式会社

 通信機器測定分野では世界のテクノロジーリーダーとして成長を続けるローデ・シュワルツ。3GPPの次の世代の3GPP LTEにおける測定ソリューションについて、ローデ・シュワルツ・ジャパン株式会社のテクニカル・センター マネージャーの岩田 哲氏に話しを聞く。

 ローデ・シュワルツはドイツの会社で、ヨーロッパ系の通信技術についてはテクノロジーリーダー的存在だ。ヨーロッパにおけるNO.1の計測器メーカーであり、ヨーロッパを主体としたGSMなど第2世代の携帯電話、その次の第3世代の携帯電話(3GPP)に関してもかなり早い段階から取り組んでおり、他社に大きな差を付けるソリューションを展開している。
 日本ではISDB-T、ヨーロッパではDVB-Tという方式が採用されているデジタル放送だが、ヨーロッパでは日本よりも早く実用化されているので、対応製品についても早くからリリースしている。そういった意味で、ヨーロッパも含めて無線通信関係の計測器についてはかなり早い段階から取り組んでおり、世界的にも大きなシェアを持っている。
テクニカル・センター マネージャー
岩田 哲
LTE信号生成とLTE信号解析
 3GPP LTE(Long Term Evolution)は、今の3.5GといわれているHSDPA/HSUPAという高速データパケットアクセス・サービスを発展させた3GPPの次の段階を成すものだ。第3世代携帯電話規格3GPPの競争力を、今後10年以上保証する新技術といわれている。日本でもHSDPAに関しては実用化が進められており、すでにその次にくるLTEも視野に入っている。LTEの特徴は、遅延を抑え、パケットを最適化した高速データ・システムを提供することである。
 3GPP LTEの仕様は3GPPリリース8で公開される。最高データ伝送速度はダウンリンクで100Mbps、アップリンクで50Mbpsに加え、仕様要求には、スペクトラム効率の大幅な向上および遅延の縮小が盛り込まれる予定だという。仕様にはネットワークの設置、運用コストなど、商用面に関する項目も含まれる。これらの要求を元に、エア・インタフェース伝送技術やプロトコルの技術コンセプトが策定されている。
 ローデ・シュワルツもLTE測定ソリューションの開発に力を入れており、昨年の暮れから試作版を製作し、ユーザーの意見を聞きながら開発を進めているという。メインはヨーロッパ大手の携帯電話メーカーで、パートナーとして開発を進めている。日本もLTEに関してはかなり進んでおり、日本での市場調査を行いユーザーの声を吸い上げ、開発に盛り込む取り組みをしている。岩田哲氏は「ユーザーのところでデモを行う場合、測定対象の装置がないものですから、当社側の発生器、解析ソリューションとセットでデモを行っています。競合の計測器メーカーではそういったソリューションはありませんでしたから、業界ではどこよりも早く取り組んだことになります。そして、LTEのソリューションとしてラインアップし、日本では今年の4月19日に製品の出荷を開始しました。」と話す。
 同社のLTEのソリューションとしては、信号発生器を使ったLTE信号の発生、シミュレーション、そしてアナライザを使った信号性能の評価を提供している。アップリング信号向けの測定オプションも近い将来リリースする予定だという。「今後は、信号発生器とアナライザだけにとどまらず、ユーザーのニーズに基づいて開発が進められていくと思います。現時点では、その2種類のソリューションを国内の携帯電話を開発している大手電機メーカーに持ち込んで評価をしていただき好評を得ています。」と岩田氏は言う。
 今回同社が提供しているLTEのソリューションは、LTE信号生成とLTE信号解析だ。LTEの信号は、『ベクトル・シグナル・ジェネレータR&S SMU/SMJ』や、『ベースバンド信号発生器R&S AMU200A』、『I/Q変調信号発生器R&S AFQ100A』にソフトウエア・オプションを追加することにより生成できる。R&S SMU/SMJ、R&S AMU200Aの主な特徴は、周波数範囲が3GPP帯域すべてをサポート、最大二つの信号発生器を内蔵し干渉およびマルチアンテナ測定に最適、3GPPテストに準拠もしくはユーザー定義のフェージング・プロファイルによるフェージング・シミュレータ(オプション)、高速セトリング・タイムなどが挙げられる。
 R&S AFQ100Aは、あらゆる用途に適したI/Q変調信号発生器で、多様な通信規格に対応し、被測定機器の直接接続を可能にするデジタル/アナログ出力を備えている。
 主な特徴は、可変メモリ・クロック・レート(1kHz〜300MHz)、最大200MHzのRF帯域幅、最大100MHzのI/Q帯域幅、最大1Gサンプルの波形メモリ、アナログI/Q出力(バランスおよびシングルエンド)、デジタルI/Q出力(オプション)、マルチセグメント波形、R&S WinIQSIM2シミュレーション・ソフトウェアでR&S AFQ100Aを制御し各規格に準拠した信号を発生などがある。
 LTE信号解析は、『シグナル・アナライザR&S FSQ』にソフトウエア・オプションを追加することにより行うことができる。ダウンリンク用にソフトウエア・オプションR&S FSQ-K100、アップリンク用にはソフトウエア・オプションR&S FSQ-K101が用意されている。R&S FSQの主な特徴は、ハイエンド・スペクトラム・アナライザがベース、周波数範囲は最大3.6GHz、8GHz、26.5GHz、40GHz、復調帯域幅は28MHz(オプションで最大120MHz)、オプションでアナログI/Q入力(バランスおよびシングルエンド)、3GPP帯域すべてサポート、最大705MサンプルI/Qメモリとなっている。
 同社の製品について「当社の製品は、機能の盛り込み量も売りです。順次、様々な機能を盛り込んでいます。現在、LTEというマーケットが立ち上がり始めたばかりで、当社も完璧なソリューションを提供しているわけではありません。今後ニーズに応じて、様々な機能、ソリューションが盛り込まれていくことになると思います。メーカー側も手探り状態で、色々な実験をしながら、試験項目を選定しているので、そういった機能が当社の製品に盛り込まれるよう努めていきます。先行しているメーカーというのは、そういったものへの対応スピードは早いと思います。より細かく、精度良く、そしてよりスピーディに評価をすることが可能です。そういう意味で、当社は少なくとも他社の半年分先を進んでいると思っていますので、今後もこのLTEには敏感に対応していくつもりです。」と話す。
ベクトル・シグナル・ジェネレータ
R&S SMU200A
LTEダウンリンク・リファレンス信号の
詳細設定
I/Q変調信号発生器 R&S AFQ100A
LTEオプションの選択
ダウンリンクOFDMAタイムプラン。
リソース配分をカスタマイズ可能
幅広く使用できる3GPP LTE測定器
 LTE測定器は汎用測定器をベースに開発されており、信号発生器には色々な規格の信号を出せるようなオプションがセットされている。例えば、3GPP、WiMAX、WLANなどの信号をシミュレーションできるようなソフトウエアも同時に搭載することもできる。アナライザも同様に、スペクトラム・アナライザ機能やWiMAX、WLANの信号を解析するソフトウエアも搭載されている。したがってLTE限定の装置というわけではない。
 通信関係の測定器を使用するユーザーというのは、携帯電話メーカーだけでなく、部品メーカーや設置、メンテナンスに携わっている人もいるので、そのようなユーザーに対しても一通りのソリューションを提供することができる。すでに提供している3GPPに関しては、研究からメンテナンスまでをカバーしている。携帯電話機以外のシステムを開発しているメーカーにおいても、開発や研究している機器が無線信号による干渉信号の影響を受けることがあり、それに対しての対策を講じなければならない。そういった違うシステムを開発している研究所やメーカーでも、信号発生器でLTEの信号を作って、妨害波として使用することができる。
 最近は携帯電話の電磁波による頭部への影響を調べているところがあり、携帯電話システムの開発、製造以外でシミュレーターとして使用される場合もある。
シグナル・アナライザ R&S FSQ
通信機器以外の測定も
 パソコンもそうだが、内部の電磁波が外に出ないように、シールド効果を持たせたプラスチック筐体の試験も、シミュレーター的な信号を使った方が最終形態に近いため、使用されることが多いという。
 携帯電話や通信機器の中には、電源を必要とする部品と必要としない部品がたくさん入っている。電源が必要な部品というのはアクティブデバイスと呼ばれており、トランジスタを使って構成する部品だ。例えば、アンプやIC、LSIは、トランジスタを使って組み上げており、電源を必要とする。それとは逆にパッシブデバイスというのは電源を必要としない部品で、フィルタや分配器といったものである。パッシブデバイスは通常、それほど複雑な信号で調べる必要はないが、特定用途のフィルタや分配器は実際に使われる信号で評価する場合もある。その場合などLTE対応測定器で測定されることがある。
 LTE測定ソリューション自体、まだ開発がスタートしたばかりで、同社は先行しているとはいえ、製品ラインアップは完成していないという。しかし、開発を早い段階から始めており、もともと3GPPの市場でも高いシェアを獲得しているため、そういった技術を応用して提供している。
 今回提供し始めたLTEの製品は信号発生器とシグナル・アナライザの2つだけだが、同じカテゴリーにある3GPPの携帯電話は、無線の開発だけでもたくさんの測定器が必要になる。例えば、無線の信号をモニターしてやりとりをチェックするようなプロトコルテスタや、基地局を設置するときに設置状態をチェックするためのモニタ装置などがある。「当社は信号発生器、アナライザ以外の測定器でもLTEソリューションを提供する基盤を有しています。」という。
 同社のコンセプトは、ワンボックスソリューションで、1つの機器ですべてのことができ、評価室や実験室でもパソコンを必要としないので、シンプルかつ高速な計測が可能である。
 技術者に向けたアドバイスを聞いてみると、「どのメーカーの計測器でも精度が同じというわけではなく、同条件で測定しても、必ずしも同じ結果が出るとは限りません。規格というのは、最高のデータを要求しているわけではないので、価格の安い端末でも計測可能な数値となっています。ですが、開発段階で必要とされる計測器というのは、より高いレベルのものでなければなりません。それを提供できる計測器メーカーというのは、それほど多くはないと思います。もちろん当社は、そういうことを前提にして、まだ研究開発段階にあるLTEに関してハイエンドモデルからリリースを開始しています。」ということである。
 「当社は、様々な新規格の策定段階から測定器の開発に取り組んでおり、無線通信分野で長い実績を持っています。このため、LTEについてもどこよりも早く市場のニーズに対応することができます。また他社にはない製品を提供することができます。」という同社の、今後の3GPP LTE測定器に期待したい。
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