トップ セミナー情報 バックナンバー 媒体概要 無料読者登録 お問い合わせ 技術調査会
トップ > バックナンバー > テストニーズの多様化に対応した、フレキシブル・プラットフォームT2000

テストニーズの多様化に対応した、フレキシブル・プラットフォームT2000

株式会社アドバンテスト

SoCデバイスは、少量多品種が求められるという多様化に加え、その世代交代のスピードが激しい。当然、デバイスをテストする試験システムに対しても要求は厳しくなり、テスタは2〜3年サイクルでの入れ替えを余儀なくされている。これは半導体メーカーにとっても、テスタメーカーにとっても大きな負担だ。開発リードタイムとともに、設備投資にかかるコスト面の負担軽減を実現でき、ユーザーニーズに迅速に対応できるテストシステムとして、アドバンテストが開発したフレキシブル・プラットフォームT2000を紹介しよう。
営業本部ソリューションビジネス統括部
ATEソリューションビジネス部
兼 販売推進部
部長代理 阪本 公哉

原価企画本部 設計標準推進部
部長 増田 則之
営業本部
ソリューションビジネス統括部販売推進部
宮武 亜裕美
デバイスの進化に合わせ共通プラットフォームを開発
 新しいデバイスが開発されると、それに合わせて新しいテスト機能や性能がSoCテスタにも求められることになり、その都度テスタの新機種を開発しなければならない。これでは、その後デバイスが進化すると、そのたびに次々と新機種を市場投入していかなければならず、テスタメーカーは新機種の開発に追われ続けることになる。
 しかし、「SoCの少量多品種による多様化が進んできたのに加え、進化のスピードが激しくなってきていることもあって、一つ一つのシステムを一から開発していくのはテスタメーカーの開発にとっても、ユーザーにとっても時間的に厳しい状況になっています。」と増田氏が語るように、両者にとって時間という問題が大きなストレスになっていた。
 このことは、コスト面でも同様で、「デバイスの進化が早いと、それまで使っていたテスタではすぐに陳腐化してしまい、2〜3年のサイクルで入れ替えなければならない状況になりますが、予算的にもきわめて難しい状況です。しかし、テストは必要不可欠ですから、できるだけ機器購入にかけるコストを抑えようというのが、ユーザー側の背景としてあり、この解決を望む声が市場からも強くありました。」と阪本氏は語る。
 そこでアドバンテストでは、T2000という共通のプラットフォームを設け、その上に必要なテスト機能を持ったモジュールを追加していく形にして汎用性を持たせ、様々なデバイスに対応できるテストシステムを開発した。
次世代オープン・アーキテクチャを採用したT2000
 T2000は、STC(Semiconductor Test Consortium, Inc)が策定し、次世代のオープン・アーキテクチャとして注目されているOPENSTAR(R)※1に準拠したテストシステムだ。
 数年前からテスタ業界にはオープン・アーキテクチャの動きがあったが、いずれも独自のコンセプトにより自社内で仕様をオープンしていただけで、STCの標準規格であるOPENSTAR(R)を採用して完全に仕様をオープンにしたのは現在のところアドバンテストだけである。
 プラットフォームの仕様をオープン・アーキテクチャにしたことで、テスト内容に応じた機能モジュールを追加することによって、長期間同一のプラットフォームで同じソフト環境、同じインタフェース環境が継承でき、テストにかかるコストをセーブできるというメリットが生まれる。
 しかも、モジュールを提供するサードパーティの参入もしやすくなり、ユーザーの選択肢も広がってくる。たとえば、リソースが足りなくなり1社では対応しきれない場合なども、同じOPENSTAR(R)規格を採用している他のモジュール・ベンダで要求を満足している製品があれば、それをそのまま利用できるので、すべてのベンダーが持っている技術力を生かせば、ユーザーを含め享受できるメリットの幅が大きく増大することになる。もちろん、参加ベンダーが増えてくれば、機能・性能面だけでなくコスト面での競争も始まり、ユーザーにとってはさらなるメリットが生まれるのも魅力だ。
 アドバンテストでは同製品の開発当初から通常の数世代分のSoCテスタに相当する継続的プラットフォームを提供することを考えた。
 「もちろん、機能や性能は進化していますので、モジュールの追加は必要になってくると思いますが、基本的な構想は、十分対応できると思います。」と増田氏は自信をのぞかせる。
 テスタの心臓部であるCPUのチップも、テスト性能に合わせてアップグレードできる点などを考えても、そのフレキシブルな構造がもたらす効果は大きい。
T2000(LSメインフレーム)
アナログモジュール
フレキシブルなハードウエア環境と使いやすいソフトウエア環境
 T2000は、プラットフォームと呼ばれる部分と各テスト機能を載せたモジュール部分に分かれている。基本的にテスト機能はモジュール側に載っており、この部分がユーザーの要求に合わせて様々な追加機能が開発されていくことになる。
 プラットフォーム側にも特徴があり、いかなるモジュールでも搭載を受け入れられる形で作り込まれており、様々なモジュールベースで展開したときにも対応できるように規格化されている。
 測定対象デバイスごとに、ユーザーニーズに最適なシステムを構築できるため、用途別に個別のテスタを購入する必要はない。図ではデバイスメーカーと表現されているが、これをデバイスタイプと読み替えれば、テスト内容によってモジュールの組み合わせを変更し、システムの再構築によって別のデバイスタイプにも対応させることができる。規格化されたプラットフォームと豊富に用意されたモジュールがあるからこそ実現できるシステムである。
 また、バス・通信ポートが高速化してもベーシック・モジュールの組み替えで対応できるため、テスタ自体をリプレースする必要はなくなる。モジュール・ベンダは、市場ニーズにあったモジュールの開発だけに専念できるため、開発リードタイムの短縮はもちろん、コスト面での優位性までをも享受できる。ユーザー、メーカー双方にとって福音だ。
 一方ソフトウエアは、ベースになるOSにWindows(R)※2を採用しているため、使いなれた環境で操作できるとともに、市販のアプリケーションソフトやテストツールとも融合できるなど、高い汎用性と拡張性を獲得している。
 「モジュールを入れ替えることによってお客様が求めるソリューションを適確に提供できるだけでなく、モジュール交換でシステムのアップグレードも可能ですから、きわめてフレキシビリティの高いテストシステムと言えます。」と宮武氏が言うように、組み合わせの自由度が高く、多様化する市場ニーズに最低限の設備投資で迅速に対応できる点からも、T2000は突出した存在となっている。
世界市場も視野に入れさらにモジュールの充実を目指す
 優れた性能を誇るT2000だが、初めてのオープン・アーキテクチャということで開発当初は難しさもあったようだ。
 「テスタには以前から携わっていましたので必要な機能は見当がついていました。しかし、モジュールベースで機能を分けるとき、モジュール間をどのようにしてデータを渡すかや同期の取り方などという問題がありました」と増田氏。そこで、「部分最適に走らず、常にシステム全体が最適化できるようにという意識を必ず持った上で、次の世代への連続性を切らないようにすることを大きなポイントとしていました。」と振り返る。
 しかし、メリットはこの苦心を凌ぐほど豊富にあったという。そのひとつが、OPENSTAR(R)を採用したことにより決まりごとが作りやすいという点である。これを核に、他の機能を付加していくことで、すべてを1から考える必要性がなくなり、テストに必要なモジュール開発に意識を集中できた点が大きいという。
 ユーザーからは、「OS環境が変わらないので、たくさんあったプログラミング資産をそのまま使えるということが非常に評価されています。」と阪本氏が語るように、ユーザーの貴重な技術的資産を流用できる点でもポイントが高い。
 発売以来、CPU系、グラフィックCPU系などのテスタとして活用されているが、今後は日本が強いデジタル家電系デバイスのMCUやワイヤレスLAN、携帯電話のチップに対してもソリューションを提供していく考えだ。今年中にはモジュールのバリエーションがさらに充実し、フルカバレッジできる体制が確立できるという。
 また、OPENSTAR(R)という世界標準を採用したことで、国内で開発し海外で生産を行う半導体ベンダーにとっても、ワールドワイドでのフレキシビリティを考えると、注目がさらに高まると予測できる。
オープン・アーキテクチャを推進するSTCとOPENSTAR(R) 
 STC(Semiconductor Test Consortium, Inc.)は、新しいVLSI用ATE(半導体試験装置)の開発と展開のためのフレームワークづくりを推進する団体で、アメリカに本部を置く。業界の主要な企業による、非競争領域におけるグローバルなコンソーシアムを目指しており、T2000が採用しているオープン・アーキテクチャのOPENSTAR(Open Semiconductor Test Architecture)の提供をその主な目的としている。現在、企業、団体、大学教授などの個人を含め、ハードウエア、ソフトウエア関連の93メンバーが加盟しているが、日本だけでなく、台湾、ヨーロッパ、アジア、アメリカなど、ワールドワイドに広がってきた。
 現在は第2ステージで、会員増よりも活動の活性化に注力していく段階になっており、各種のワークグループが立ち上がっている。
 規格の統一化によって、供給側とお客様側の両者にメリットが生まれ、基本モジュールを提供できるメンバーが増えていけば機能や性能を補完し合う関係ができあがり、Win-Winの関係を築くことができる団体としても注目されている。
OPENSTAR(R)ロゴマーク