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ベストセラーモデルをフルモデルチェンジし、
高機能・高品質のBER測定を実現

アンリツ株式会社

アンリツ株式会社が1994年に製品化した12.5Gビットエラーレートテストシステム(BERTS)は全世界で1,500台以上の販売台数を記録している。昨年末にそのベストセラーの後継機種として、機能性能を強化したシグナルクオリティ アナライザMP1800Aをリリースした。今回は、計測事業統轄本部 IPネットワーク計測事業部を訪問し、プロダクトマーケティング部長 堀切 誠之氏、主任 鈴木 敏浩氏、近本 寛和氏に話を伺った。

 

計測事業統轄本部 
IPネットワーク計測事業部 
プロダクトマーケティング部長
堀切 誠之

 

計測事業統轄本部
IPネットワーク計測事業部
プロダクトマーケティング部
主任 鈴木 敏浩
計測事業統轄本部
IPネットワーク計測事業部
プロダクトマーケティング部
 近本 寛和
通信機器の発展に合わせ新機種・新製品を展開
 同社の計測器分野は、ワイヤレス計測分野、IPネットワーク計測分野、汎用RF/マイクロ波計測分野、そしてサービスアシュアランス分野と四つに分かれている。その中で、今回紹介するのがIPネットワーク計測分野。この分野はシグナルクオリティアナライザ、光計測器、SDHアナライザ、IPテスタなどの製品を開発している。今回紹介するシグナルクオリティアナライザは、テレコムやデータコム市場で使われる光デバイスや通信デバイスの研究、開発、製造に使われている。最近は伝送容量の増大から信号が高速化し、ストレージやサーバのバックプレーン市場からの引き合いが増えている。昨年、大手通信事業者が40Gのサービスを始めるということで注目を集めた40G用のSDHアナライザとともに、シグナルクオリティアナライザは同社のコアネットワーク向けの主力製品としてラインアップされている。
人気機種のフルモデルチェンジは
通信分野のさらなる発展に貢献する
 MP1800Aはいわゆる誤り率を測る測定器ということになる。同社は1981年からビットエラーレート(BER)テストシステムに取り組んでおり、 1994年に出した12.5Gのバージョンが10数年に渡りベストセラーとなり、全世界で1,500台以上の販売実績を誇る。その理由は、汎用だったこ
とにある。SDHアナライザやIPテスタは方式が変われば、それに対応したものに切り換えなくてはならない。しかし、デバイスは基本的に変わることがなく、それがベストセラーに繋がっているといえる。その後継機種として登場したのが、今回紹介する『シグナルクオリティアナライザMP1800A』だが、 BERを測定するだけでなく信号の品質まで測れることからこのように名称を変えたという。
 最近では、ビットの誤りを見つけるだけでは、デバイスの評価をするには不十分で、トラブルシューティングをより早く行えるよう、解析機能を強化させている。波形や信号の品質をグラフで表示し、受けた波形がどれだけノイズ発生しているか、どれだけジッタ耐力があるか、といろいろな角度から解析、評価できるようになっている。これにより単に波形が汚いというだけでなく、その先にある問題が予測できるようになっている。これまで、このような機能は外部
PCを接続することで解析していたが、同機種はすべての機能をこの一台に集約している。 
「MP1800Aの最大の特徴は、プラグインユニット形式になったことで柔軟に機器構成を選択できることです。たとえば、PONシステムでの評価では、 2枚のPPGカードを挿入すれば二つのONU用光トランシーバ(以下、ONU)に対して任意のタイミングでバーストデータを送ることができ、OLT用光 トランシーバ(以下、OLT)というモジュールから出てきたバースト信号を、エラーディテクタで受けることで解析することができます」と近本氏は話す。
 以前は、1チャンネルの送信、受信ができる機種と、4チャンネルの送信、受信ができる機種があったが、チャネル数は固定で、カード式でなかった。 MP1800Aではこの点を改良し、顧客のニーズに応じた柔軟な構成を構築できる。
 同機種は、電気と光のインタフェースを備え、10Gbit/sのデバイスやPONで使われる光モジュール、40Gと呼ばれる高速伝送デバイスに対する 評価に使うことができる。

様々な機能を盛り込み多角的な評価が可能
 PONの光モジュールの検査では、10Gbit/sのデバイスの評価と内容が異なってくる。PONシステムでは、光スプリッタ(光カプラ)と呼ばれる光受動素子を使い、OLTと複数のONUを1本の光ケーブルで接続するネットワーク構成になる。
 OLTとは局内に設置されるような装置で、端末側にはONUが設置される。複数のONUからOLTへデータを送信するアップストリームの試験では、各ONUから出力される複数のバーストデータを光カップラで合成しOLTに供給する必要がある。MP1800Aでは、カードスロット式になりながらも複数のPPGカードからのバーストデータを同期して出力することが可能になった。
 また、操作性も大幅に向上した。PONシステムのアップストリーム・ダウンストリームに対応したソフトウエアをリリースすることで、各ONUに必要な PPGカードからの信号の発生タイミングや発生するデータのパターンも個別に編集することができる。OLTのアップストリーム試験では、各ONUから出力されたバーストデータのタイミングやデータ間隔を変えて評価する必要があるが、本ソフトウエアを使うことで、容易にタイミングを変更することができる。また、PONシステムではいくつかの規格があり、その規格に沿ってフレームフォーマットが決まっているが、本ソフトウエアでは、汎用性が高く操作性のよいパターン編集機能をもっているため、10G-PONを含め、すべてのフレームフォーマットに対応可能である。
 MP1800Aは43.5Gbit/sの超高速伝送デバイスも評価でき、4枚のPPGからの信号をマルチプレクサと呼ばれる装置を使い40Gbit/ sのシリアル信号に変換することができる。デマルチプレクサを使えば、その逆を行うこともできる。ネットワークの基幹では、40Gという超高速伝送が進 んでおり、そこで使われるデバイスの評価に適している。
 通信そのものに使われることが多い測定器の中で、同機種は通信デバイス、コンピュータのバックプレーンなど、装置を構成する基本的な部分のソリューションを提供している。それだけに対象は広く、最近ではPON用の光デバイスの製造ラインや、テレコム用の光デバイスの製造ラインで多く使われている。「MP1800Aは特定のマーケットだけに展開している製品ではなく、様々なマーケットに対して柔軟に対応できるプラットフォームとして活用でき、ソフ トウエアのアップグレードが可能なため、ターゲットとなる市場がより拡大すると予想しています。多くの機能を盛り込みながら、コンパクトなサイズに抑え、お客様は装置のサイズとモジュールを自由に組み合わせられるフレキシビリティ性に驚いています」と堀切氏は語る。
 同機種は最大6枚までカードを挿入することが可能だが、その他に製造用途向けMT1810Aを用意。こちらは最大4枚までのカードを挿入することができる
シグナルクオリティアナライザ『MP1800Aシリーズ』
MP1763/64C(MP1800Aシリーズの先代モデル)
MT1810A 4スロットシャーシ
MP1800A モジュール用スロット部

10Gbit/s デバイス製造検査

 

10Gbit/s PON OLTモジュール検査

43.5 Gbit/s 高速伝送デバイス評価

MX180004A PONアプリケーションソフトウエア

多彩な測定機能をこの一台にビルトイン
 ソフトウエアの一例として、バスタブ測定というのがある。これは位相に対するビットエラーレートの変化から位相余裕を測定する。表示される波形が浴槽の縁に似ていることからバスタブと呼ばれている。そのバスタブ測定がジッタ解析を行い、TJはもとよりDJ、RJに分離することができるため、よりジッ タによる波形品質の劣化の原因究明に貢献できる。このバスタブ測定のアプリケーションはすでにリリースされているが、測定器側からジッタを発生させ、デ バイスにストレスをかけることができるMU181000A/B-001ジッタ変調オプションとジッタ耐力を自動で測定することができる MX180005Aジッタアプリケーションソフトも今年の7月にリリースされた。
 通信では光のモジュールが使われている。ルータの先から通信の光の伝送が始まるが、その先端にはトランシーバモジュールが付いている。これまでは各社、自社装置に合うデバイスの仕様をカスタムオーダしていた。しかしカスタムオーダでは値段も高くなり、品質が悪い場合、他社製品に切り換えるにも、また一から開発してもらわなくてはならない。しかも、モジュールはメーカごとに性能が異なるため、うまく繋がらないことがある。そういった問題から、各トランシーバモジュールは、製品仕様の標準化により利便性を高め、市場規模を拡大することを目的として、互換性のある共通仕様の製品を各社が開発・製品化するマルチソースアグリーメント(MSA)が結ばれるようになった。しかし、性能は各社競争になっているため、ジッタ耐力などの要因によりメーカー間の相互接続性が問題になってきている。
 そこで、同社は相互接続性を高めるため、製造段階でストレスをかけ、各デバイスの品質を向上させるべく、ジッタ変調機能を用いた測定ソリューションを提案している。
 デバイスを使った製品は、波形が乱れていると受けられる許容も狭くなり、通信できないことがある。たとえば、通信のスピードが遅く感じることがあるが、これはデータが正しく伝えられないため、再送しているからである。そのため、各デバイスメーカーはコストを抑え、出力波形の品質向上、受信部の耐力向上に注力している。同社のテスタは1/0の信号を測るだけでなく、波形全体のパフォーマンスを見るために、柔軟にジッタ付加して受信耐力を評価ができ、各デバイスからのデータを多様な解析機能で正確かつ様々な角度から解析することができる。

ジッタテストのアプリケーション図

MX180005A ジッタアプリケーションソフトウエア

バスタブ測定

MX180001A SONET/SDH パターンエディタ

MX180003A GbE/10 GbE パターンエディタ

MP1800Aは生産効率にも貢献する
 光のトランシーバの中身は受信側と送信側とが一緒になったモジュールになっており、送り側、受け側の両方にデータを流すことで、モジュールの中で干渉が起きる。片側ずつ評価を行うと実際のフィールドで使用される環境よりも負荷の軽い状態での評価で出荷されることになる。そこで、モジュールをテストするときには、送り側と受け側とを同時に評価することが非常に重要となる。
「同時に測れることで、実回線に近い状態で測定でき、それにより相互接続性をより高く保証できます。また、送り側、受け側の両方を同時に評価できるため、時間を短縮することが可能です。そのため、このMP1800Aは複数の信号源を入れることができる利点を生かして、生産効率にも貢献します」と鈴木氏は語る。
 モジュールを評価するとき、実際に流れている信号を流すと、ジッタ量が増えたりと波形品質が劣化するということがある。したがって、評価する場合には、擬似ランダムパターンだけでなく、実回線に近い状態で評価することも重要になる。また、実回線に近いSDHパターンやギガビット、イーサネットパ ターンの編集を容易にするソフトウエアをリリースすることで、作成できるデータパターンの幅を広げた。
自動測定で手間と時間を抑える
 光モジュールはアプリケーションに応じて、様々なジッタ量と周波数の規格がある。MP1800Aでは、内部変調源を搭載しているので、外部から変調の信号を入れることなく、デバイスに対してジッタを付加でき、耐力測定が可能になる。
 手動で調整して評価することもできるが、評価時間の短縮のため、自動測定が可能なアプリケーションソフトウエアをリリースした。
 自動測定のアプリケーションには二つの機能があり、一つはデバイスの耐力の限界点を探す機能と、もう一つが規格に沿って合否だけを判定する機能だ。前者は開発の段階で使えるアプリケーションで、後者は製造段階で使え、時間の短縮にも繋がる。
 バックプレーン装置のコンピュータやルータは内部にCPUボードが入っており、数枚のボードがバックプレーンで接続されている。バックプレーンの中のプリント板では、ギガビットクラスの高速信号が受け渡しされている。従来だと、ネットワークアナライザで、周波数特性や反射、損失などを測っていた。しかし、PCIエクスプレスやCEIの規格だと、ビットエラーが1x10-12という厳しい規格で決められている。ネットワークアナライザやオシロスコープを使い周波数特性や信号の劣化具合を測っただけでは、実データを流したときのスループットは判断できない。最終的に、ビットエラーを保証するためには、ビットエラー測定が可能な測定器で測ることが必要となる。
 パラレルの信号は、複数のPPGを使用して評価することが重要になる。新しい伝送技術としてエンファシスの使用が増えてきている。プリント板を経由し信号を伝送させるとき、波形の立ち上がり、立ち下がり時間の短い矩形波を送信してもプリント板の周波数特性により、高調波成分が除去されアイの開きが小さくなってしまう。そうすると、エラーになる確率が増えるため、逆に補正するためにエンファシスを使用する動きが強まっている。当社の測定器から、エンファシス信号を発生することができる。
「多チャンネルで測定するとき、一番大切なことは、信号間の同期がとれていること、タイミングを調整できることが重要になります。タイミングをコントロールできることで、各信号間のタイミングを変えたり、エンファシス波形を作ることもできます。このような測定器は数社からリリースされているが、タイミング同期がとれて容易に調整可能な測定器はシグナルクオリティアナライザだけです」と鈴木氏は語る。