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トップ > バックナンバー > 計測データと映像データを多角的にとらえるレコーディングユニットLX-100シリーズ

計測データと映像データを同期させ、現象発生を多角的にとらえる
レコーディングユニットLX-100シリーズ

ティアック株式会社

計測データの記録装置は様々なテスト現場で確実にデータ収録し、よりスピーディな処理ができる状態での出力が求められる。しかも、収録現場の様々な周辺環境において、高い性能と精度が求められるなど、厳しい条件にも対応できなければならない。さらに、現象解析のためには多角的にデータをとらえることも要求されるようになってきた。このようなユーザーニーズに的確に対応するため、ティアックでは計測データと映像データを同期させ、現象発生の見える化にも貢献できるレコーディングユニットLX-100シリーズをリリースしている。

情報機器事業部BSビジネスユニット
技術開発部電気設計グループ
マネージャー 佐々木伸和
コーポレート・コミュニケーション部
PRグループ
係長 永井嘉一
ユーザーのニーズに合わせた記憶メディアの変遷
 ティアックは磁気記録の専業メーカーとして、様々な磁気メディアを記録媒体にしたデータレコーダを市場に投入してきた。LXシリーズのLX-110/LX-120もその流れをくむ製品だ。
 同社では、アナログ入力をデジタル記録するレコーダとして、従来DATを記録メディアに使用した製品をリリースしているが、その簡便さを踏襲しつつ、より広帯域な記録を可能にし、しかもユーザビリティに優れたレコーダとして開発されたのがLXシリーズということになる。DATを採用したレコーダは、機器自体がコンパクトで使い勝手が良く、確実に収録したデータを保存できるというのがメリット。その後継機として開発された現在の一世代前のLX-10/LX-20では、メディアを1.3GBのMO(光磁気ディスク)と2GBまでのPCカードに変更し、簡便さだけではなくアクセスの高速性も獲得した。
 今回リリースするLX-110/LX-120では、記憶メディアに8GBのPCカードを採用し、さらなる大容量化による長時間記録も実現している。メディアの変遷は、計測のPC化などといった状況にも影響されているが、磁気媒体と比べてきわめて扱いやすいことと、再生の場合にもファイル単位でのアクセスが可能で、その速度もテープなどに比べて格段に速い点などが評価された結果と考えられる。また、メモリカードの容量が従来に比べて非常に大きくなったことから、長時間収録に対応できるようになったことも採用に拍車をかける理由の一つになっている。最近ではGBオーダのメモリも低価格になり、今回採用した8GBのPCカードも容易に入手できるようになった。MOが縮小傾向にあり、搭載メディアから除外されたことも時代の趨勢といえよう。
 LX-110/LX-120の技術的な特長としては、24ビットA/Dによる100dBのダイナミックレンジだが、RMS値でこの数字をたたき出している点が高く評価できる。
計測用途に対応させたシステム構築
 LXシリーズのうち、LX-110はスタンダードモデル、LX-120をハイスペックモデルと位置付けており、いずれもデータ収録の目的に合わせてレコーディングユニットをシステム構成できる自由度が備わっている。
 この2つのうちからシステム構成のベースとなる本体を選択し、チャネル数や搭載アンプの種類、記憶デバイス、インタフェースなどをセレクトしていくことで、最適なシステム構成ができあがることになる。ユーザーや測定対象によって変わってくる収録条件に的確に対応できる組み合わせを自由に選べるため、オーバークォリティがなく、測定業務のコストの削減にもつながる。チャネル数は、本体で8チャネルもしくは16チャネルが搭載でき、拡張ボックスを使用すると最大32チャネルの収録が可能になる。このチャネル数も、ソフトで2/4/8/16/32を設定できるので、用途に応じた構成が可能だ。チャネル数とサンプリング周波数によって収録可能な帯域が変わってくるので、不要なチャネルをソフトでカットしておけば、最大限の広い帯域が使用できることになり、有利な条件での収録が実現できる。
 収録できる周波数帯域は、PCカードに直接記録する場合に48kHzサンプリングで8チャネルのデータそれぞれが最大20 kHzだが、PCに接続して記録する場合と内蔵メモリで記録する場合には倍の96 kHzサンプリングが可能になり、2倍の帯域までの収録が可能になる。収録できるデータ量に関しては、どのメディアを使用するかによって変わってくる。PCカードは前述のように最大8GBだが、内蔵メモリとして標準64MBの容量を搭載しており、最大で576MBまで増設できる。
 測定対象の周波数帯域が高い場合は、PCもしくは内蔵メモリにいったん収録し、測定後PCカードにダウンロードさせればデータを本体から切り出すことができるが、48 kHzサンプリング以下で対応できる周波数帯域の場合には、PCカードに記録しながらPCに取り込むことができるので、収録と処理を並行して同時に実行する用途にも対応可能だ。また、低速サンプリング系列を装備しているほか、LX-120では96 kHz系列以外に、102.4、65.536、100 kHz系列といった、多彩なサンプリング周波数から選択できる機能も備えている。低速サンプリングの場合には、8GBのPCカードで最大320時間の連続収録にも対応している。これらの機能を目的に合わせて自由に選択するとともに、計測データの帯域と収録時間から、最適な記憶メディアを選択することで、ストレスのない収録が達成できる。
レコーディングユニットLX-100シリーズ(16ch)
レコーディングユニットLX-100シリーズ(32ch)
計測対象の多様化できる各種センサアンプを用意

 LX-110/LX-120は、基本的にアナログIN/アナログOUTになっているが、「現実的にはアナログOUTを必要としないユーザーも増えてきました」と佐々木氏はユーザー動向の変化を語る。
 そこでLX-110/LX-120は、8チャネル1スロット単位で自由に構成できるアンプとして「DC入力アンプ」「電圧出力型センサ(PA)入力アンプ」「ひずみ入力アンプ」「電圧出力アンプ」の4種類を用意した。中でも『電圧出力型センサ(PA)入力アンプ』は、アンプ内蔵型のセンサに電流を供給して信号として受け取るタイプで、センサアンプの必要がない。これらのアンプは、スロットがそれぞれ独立しているため、8チャネル単位であれば各種アンプの混在も可能だ。

 

SpectraView for LX

FFT解析など

LX Navi画面

フロントエンドの機能とパックアップ機能で、確実な収録を実現

 アナログデータをA/D変換してPCのメモリに取り込みながら、リアルタイムに解析するという手法が多い中、オフラインでなければデータ収録できない分野は依然としてある。
 PCに直接取り込むというと簡単に聞こえるが、「外に持ち出したり、車に載せて計測するときには不便な面があります。電源の問題もありますし、振動に対する強度の問題もあります」と佐々木氏が語るように、車載計測などの場合には耐震性を備えたLXシリーズのような製品が不可欠になってくる。「車に載せて計測しても問題がないというのがLXシリーズのひとつのメリットでもありますが、このメリットによって、車だけではなく、条件の厳しい様々な用途で活用することもできます」と、佐々木氏はその有用性について説明する。
 永井氏も「脳波の研究や睡眠の研究をしているところで使われているケースをはじめ、自然現象の観測、土石流の解析などやも重機・建設機械の開発や航空機のタービンの回転、検潮システムなどにも採用いただいているように、使用される分野は多岐に渡っています」と語るように、活用の場に限界はなさそうだ。言い換えれば、データを解析するだけではなく、残しておかなければならない分野で、しかも振動が多かったり、高温多湿の場所でPCによる計測システムが持ち込めないといった、計測現場の条件が厳しいところでは、需要が落ちることはない。
「それと並行して、バックアップの要素も強く求められます。臨床などの研究機関では、リアルタイムに解析しながらするが、再現性のないデータが出現したときのためにバックアップ用として、データを二重で取りたいという要望があります。このような場合、LXシリーズなら確実にデータ収録できますので、バックアップ用として利用するユーザーもいます」と永井氏が言うように、LXシリーズをフロントエンドに使って、同時に内蔵メモリやPCカードをバックアップ用の媒体として利用する使い方が報告されているという。
 このLXシリーズ、製品名称は『レコーダ』だが、その機能・性能が評価されて、フロントエンドを主体として、メモリにデータを蓄えるのを2次的に考えているユーザーの使い方もあるという。
「確かにそういった使い方をするユーザーもいますが、車で走行試験をするときには、LXシリーズで記録することを前提としています。現場にシステムごと持ち込むことが不可能で、すべてをPC計測で行うまでには進みきれていないというところもあり、実際に現場で使う場合には、このような機器で収録だけしてくる方が適していると思います」と佐々木氏。本体を持ち歩くことも可能だが、現場からPCカードだけ持ち帰って、ラボラトリで解析するという使い方もできるので、現場との間を頻繁に往き来するユーザーにも歓迎されているようだ。


ビジュアルデータレコーダとの組み合わせで、
現象の見える化を実現

 LXシリーズの最大の特徴でもあり、差別化のキーポイントとなるのが、『ビジュアルデータレコーダ AQ-VU』との同期収録・同期再生といえよう。現象が発生したとき、どのような状態であったかも計測データと併せて収録しておきたいという要求を見事に実現した機能で、現在盛んにいわれている『見える化』の計測版を実現した形だ。
 ビジュアルデータレコーダ AQ-VUは画像と同時にデータも収録できるが、基本的には画像を中心としたレコーダのカテゴリに入る。「AQ-VU自身で画像4チャネルとデータ4チャネルの収録は可能ですが、サンプリング周波数が低く、高い帯域のアナログデータが収録できないことと、チャネル数が足りないというお客様の要望に対応するため、LXシリーズと同期させて使えるように考えました」と永井氏がその企画主旨を語るように、画像をAQ-VUで撮りデータをLXに担当させて同期させれば、ユーザーニーズをすべてが解決できることになる。しかも、LXシリーズの開発当初から企画されていたようで、リリースと同時に専用ケーブルと専用の再生用アプリケーションをセットにした同期用の専用ケーブルキットも用意されている。
 たとえば、走行中の車である信号が出現したとき、どのような動きをしていたかといったことも、データと実際の映像を同期させることで詳しく解析できるようになる。現在のAQ-VUには40GBのハードディスクが搭載されており、最大5時間の録画ができるが、さらに長時間の録画を考慮し、160GBのハードディスク搭載モデルも計画されているという。LXシリーズの大容量化に合わせた形のようだが、両者の組み合わせによる解析能力が、さらに強力になると容易に予測できる。
「データだけではなく、映像も取り込める要求は以前からありました。最良の方法としては、LXシリーズで映像も収録できればいいのですが、映像データは容量が大きいので、別々にして同期させた方が有利です」と語る佐々木氏が、「解析する時にも、データと映像を同期させることができる専用のビュアソフトも開発しています」というソフトでは、PC上でデータ波形と映像データが同期されて表示され、両者の相関や因果関係が一目できるようになっている。
「高感度のカメラがあれば、睡眠時の脳波測定などの用途も考えられます」と言うように、今後の用途の広がりが予感できるシステムだ。
 データレコーダ自体のマーケットは決して順調な伸びを示しているとは言い難い。しかも、PCで解析することが主流となってきている現状を考えると厳しささえ感じる。しかし、現在主流のこのシステム形態でまかないきれないユーザーがいることも確かだ。今まはニッチな市場と映るかも知れないが、この「プラスして用途を広げていきたい」という考えは、計測分野で別の広がりを予感させる一つの可能性の突破口にならないとは言えないだろう。
 急激なグローバル化で、工場が海外にシフトしていく中、現地でトラブルが発生したとき、解決までの時間が問題になっている。問題解決までの時間短縮の切り札として、この組み合わせを考えてみよう。現地で導入することで、現場での発生状況が把握できるとともに、発生時点でのデータ収録もできる。この2つのデータを送って解析すれば、現地に赴く必要も少なくなり、解決までの時間短縮が実現できる。前述した『見える化』による原因追及の道が開けたことになる。
 さらに、新しく追加された『プリトリガ機能』を活用すれば、現象発生時点から遡ってデータと映像を収録できるので、対応がいっそうスムーズになるだろう。この2つの組み合わせは、新しいものがなかなか見つからない計測業界で、一つの可能性を示すものとして注目してみたい。

 

解析ソフトウエア DADiSP/2002 解析ソフトウエア FlexPro7 Win Professional
ビジュアルデータレコーダAQ-VU
ビジュアルデータ・CAE統合解析システム

解析ソフトウエア ME'scope VES
遠隔分散型収録システムを構築するインタフェースと
データ処理ソフトとの連携
 LXシリーズのインタフェースは、IEEE1394とイーサネットを選択する形になっている。高速スループットを求めるか、ネットワーク経由でのデータ収録をするかによってユーザー自体が選べるので、全体システムへの組込みも容易にできる。遠隔分散型の収録システムも簡単に構築できるほか、PCやリモコンからのフルコントロールも可能にしている。また、データ処理については、ソフトベンダと連携してCAE統合解析システムやリアルタイムFFTアナライザなどの専用解析ソフトも提供している。LXシリーズの収録データフォーマットには、ティアックデジタルレコーダ専用の「TAFFmat形式」を採用しているが、この形式に対応した他社の解析ソフトで読み取り処理ができるので、同社のサイトなどを参照しながら、最適な解析ソフトを選択することも可能だ。

ワンポイントアドバイス
 LXシリーズのように、DC電源用の機器をAC電源で使用するときに気をつけてほしいこととして、「付属でAC電源アダプタが付いていますが、それを使うとグランドが浮いてしまうので、フレームグランド(FG)という端子を接地して使っていただきたい」と佐々木氏。LX自体はDC電源の機械なので、バッテリを使う場合はグランドが取れるので差し支えないが、AC電源ではグランドが浮いてしまうので、フレームグランドで取り、ノイズ対策することを勧めている。また、入力インピーダンスが高いので、低いレンジのままでオープンにしておくと、外来ノイズの影響を受けて、画面表示が見にくくなってしまうため、使っていないチャネルがあるときは、そのチャネルのレンジを最大に上げてノイズ対策しておくことも忘れてはならない。