EMC試験はEMC試験とEMS試験からなっている。EMS試験は、ほかから電波を受けてEUT(被測定装置)が誤動作するかどうかを評価する。EMI試験は、EUTが不要なノイズを出していないかをチェックする。EMIはさらに二つに分かれ、一つは空中を伝わって出ていく放射性ノイズで、もう一つは、電源ラインから漏れる伝導性ノイズである。EMI試験はこの二つのノイズが定められた規格値を超えていないかどうかの評価を行うもので、EUTがほかの機器の動作や無線通信に対し著しい妨害を与えないことの保障を目的としている。 EMI試験には従来、二つの方法があり、一つは電波暗室を使った正式な試験である。この正式試験の欠点は、予約してからテストするまでの待ち時間が長いことと、高価であるということだ。自社でシステムを持とうとすれば、システムにもよるのが、電波暗室と測定設備を含め5,000万円〜1億5,000万円くらいかかってしまう。 もう一つの方法である、事前に問題点をつぶしておくPrecompliance用EMI試験システムは以前からあったが、トータルのものはなく、たとえばアンテナはある会社から出ていて、スペクトラムアナライザはほかの会社から出ているといった具合であった。そこで同社は、EMI試験システムの開発に取り組んだ。 システムとして大きく分けると電波暗箱とスペクトラムアナライザからなり、両方とも同社の既存商品として持っていた。電波暗箱はETCと同時期の2000年くらいに商品化しており、スペクトラムアナライザは先に述べたように2001年には製品化している。「スペクトラムアナライザを扱っている会社は世界でも4社くらいしかなく、そこがトータルシステムを作り上げなければ装置として完成しないと思いEMI試験システムの開発に取り組みました。スペクトラムアナライザでは、既存商品をEMI試験用に338Eとして改造してあります。 これまで、事前チェックとして単純な方法で試験していましたが、それではばらつきが大きく評価しづらかったのです。また、検査までに時間がかかるということもありました。そこで、自社で使うためのシステムとして欲しいということも開発に取り組んだ理由としてありました」と話す。 同社のEMIテストシステム『MR2300』は電波暗室と測定器の両方を備え、アンテナ、LISM、EMI用PCソフトウエアなどすべてが揃ったトータル試験システムだ。 同テストシステムはEMIの放射性と伝導性の二つの測定ができ、放射性妨害ノイズ試験の方は、電波暗箱と広帯域アンテナを使って30MHzから1GHzの帯域で測定することができる。伝導性妨害ノイズ試験は、ラインインピーダンス安定化回路網(LISN)を使って、150kHz〜30MHzの帯域で測定することができる。 放射性妨害ノイズ試験で重要なのはアンテナで、小型で30MHz〜1GHzに対応している広帯域のアンテナを自社で開発している。広帯域アンテナはすでにあるが、かなりの大型で、縦横1.7mくらいあり、電波暗箱に入るような大きさではないので、自社で小型のアンテナを開発した。「これは自社で付けているのですが、変型Y状モノポールアンテナという名前にしています。アンテナの開発だけで1年半かかっています。シミュレーションを繰り返し、意外とこれが電磁界シミュレーションに合いました。モノポールにしたのには、小型にできることがあります。円形モノポールは失敗しましたが、これは完璧です。 現在は、国際規格では測定周波数範囲が30MHz〜1GHzなのですが、今度は30MHz〜3GHzに変わると思うので、これに対応しなければなりません」と田仲氏は話す。 このEMIテストシステムの一番のメリットは時間とコストの削減で、なおかつ手元に置いてデバッグができるということだ。手元でデバッグできるということは、一番コストのかからない対策となる。 同社の経験や一般的に見て、EMIに関する問題点の数や対策時間はEMSの5〜10倍という。つまり、EMI試験が通るということはEMC試験としては80〜90%完了したといえる。そこで、同システムではEMI試験に特化したシステムになっている。 田仲氏は「EMSというのは、ほかからのノイズで自分が誤動作しないということです。これは当社の経験で、外部のノイズで誤動作するようなことはありません。普通の対策ですべて済んでしまっているので、それで問題になることは少ないのです。ところが、EMIの方ではいつも引っかかります。なぜEMSをやらないかという理由もここにあります」と語る。 EMSのときには、おかしくなっても元に復帰すればよいという考えがあり、たとえば、ほかからのノイズでテレビの画面が乱れ、ノイズがなくなった途端、画面の乱れがなくなればそれでよいこととなる。ところが、テレビから不要な電波は一切出してはいけない。 電波暗箱に関しては、小さいものを測るMY5310と大きいものを測るMY5410の2種類用意している。小さい方がよく売れているが、エレベータに乗らないことがあるという。そのため、5310Sというのがあり、2分割できるようになっているものだ。「これはユーザーの要望で、分解して運び、現場で組み立てるようしたもので、当社は要望に合わせいろいろなタイプを用意しています」と語る。
実際の電波暗室と同テストシステムとの放射ノイズ測定の比較を、CNE(比較ノイズ放射器)を使って計測した結果、ほぼ同じデータ結果が得られた。そのため、同テストシステムをノイズ対策のためのデバッグツールとして使用することは非常に有効であることが確認できた。
バージョンアップされるスペクトラムアナライザ『400シリーズ』、標準規格に準拠し安価なデバッグツールとしてのEMIテストシステム『MR2300』のこれからに注目したい。 | |
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スペクトラムアナライザ 「300シリーズ」の中 |
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| キーコンポーネントの自社専用部品「MICRONIX」 |
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| 広帯域アンテナ | |