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光通信産業の動向

―『光産業の動向』2007年3月 財団法人 光産業技術振興協会から―

財団法人 光産業技術振興協会では「2006(平成18)年度光技術動向調査結果報告書」を5月31日にインターネット上に掲載した。また、「2006(平成18)年度光産業動向に関する調査」の結果を『光産業の動向』と題する報告書(印刷物)を3月に賛助会員に配布した。それらによると、2006年度の日本におけるブロードバンド加入者が電話加入者の約3分の1(2000万)以上となり、特に、FTTH加入者が500万加入を超えたことと、その伸び率が前年度の2倍以上と急激に伸びたことを特筆に上げている。以下に『光産業の動向』から、情報通信を中心に、概要を見てみる。
2005、2006、2007年度国内生産額の概要
2005年度(実績)は7兆5,440億円、成長率▲0.3%
 2005年度の光産業国内生産額(実績)は7兆5,440億円(成長率0.3%減)と横ばいであった。うち光機器・装置は4兆2,015億円(1.5%減、構成比55.7%)、光部品は3兆3,424億円(1.3%増、同44.3%)であった。
 分野別に見ると、情報通信分野4,531億円(9.6%増、構成比6.0%)、情報記録分野6,458億円(18.0%減、同8.6%)、入出力分野1兆9,344億円(6.0%減、同25.6%)、ディスプレイ分野3兆4,258億円(1.3%増、同45.4%)、太陽電池分野3,900億円(34.0%増、同5.2%)、レーザ加工分野3,604億円(20.9%増、同4.8%)、センシング・計測分野1,997億円(0.2%減、同2.6%)などであった。
・2006年度(見込み)は7兆9,409億円、成長率5.3%
 光機器・装置は4兆4,768億円(6.6%増、構成比56.4%)、光部品は3兆4,641億円(3.6%増、同43.6%)といずれもプラス成長が見込まれている。
 分野別に見ると、情報通信分野5,021億円(10.8%増、構成比6.3%)、情報記録分野6,695億円(3.7%増、同8.4%)、入出力分野1兆9,903億円(2.9%増、25.1%)、ディスプレイ分野3兆5,638億円(4.0%増、同44.9%)、太陽電池分野4,072億円(4.4%増、同5.1%)、レーザ加工分野4,369億円(21.2%、同5.5%)、センシング・計測分野2,328億円(16.6%増、同2.9%)などが見込まれている。
・2007年度(予測)は8兆3,710億円、成長率5.4%
 光機器・装置は4兆8,092億円(7.4%増、構成比57.5%)、光部品は3兆5,618億円(2.8%増、同42.5%)といずれもプラス成長が継続すると予測される。
 分野別に見ると、情報通信分野5,214億円(3.8%増、構成比6.2%)、情報記録分野8,111億円(21.2%、同9.7%)、入出力分野1兆9,715億円(0.9%減、同23.6%)、ディスプレイ分野3兆7,217億円(4.4%増、同44.5%)、太陽電池分野4,514億円(10.8%、同5.4%)、レーザ加工分野4,944億円(13.2%増、同5.9%)、センシング・計測分野2,533億円(8.8%増、同3.0%)などが予測されている。

図1.分野別光製品国内生産額の成長率(%)財)光産業技術振興協会:「光産業の動向 2007年3月」を参考に作成

分野別成長率
 光製品国内生産額の2005〜2007年度の3年間の成長率変化を分野別に示す。(図1)
 不仮産業全体(合計)では、2005年度は横ばいとなったものの、2006年度2007年度は堅調な成長を続ける見込みであるが、分野別に見るとその傾向は異なる。レーザ加工分野は、IT産業に支えられ堅調に伸びている。センシング・計測器分野は、設備投資およびセキュリティ機器に対するニーズ増により成長が期待されている。情報通信分野は、FTTHの本格普及により2000年以降初めて実績ベースでプラスとなり、今後も伸びが期待できる。太陽電池分野は、地球環境の世界的な取り組みにより海外向けが増加し、また、シリコン材料不足も解消の方向に進み、さらなる伸びが期待できる。ディスプレイ分野は価格下落が予想以上に進み、マーケットの拡大の割には成長率が減速している。情報記録分野は、海外への生産移管および価格下落がさらに進み大幅に減少したが、今後、次世代DVDが大きく伸びると予測されている。入出力分野は、デジタルカメラが引き続き牽引し、プリンタ、ビデオカメラの原則を補っている。このように、分野別では状況が異なっているが、新技術を取り込んで着実に成長している。
光産業国内生産額の調査結果
光産業国内生産額の調査結果から情報通信分野を見てみる
2005(平成17)年度の実績
光伝送機器・装置:全体では6.3%増と、実績ベースでバブル崩壊以降初めてプラス成長となった。内訳はメトロ系(36.4%)、加入者系(26.4%)、光LAN・光無線(47.6%)、映像伝送(18.1%)、光ファイバ増幅器(12.1%)と高い伸びを示し、他方、幹線系(▲23.0%)は減少した。
半導体レーザ:10Gb/s WDMと加入者系PON需要の増のため、74.1%と大幅に増加した。
光ファイバケーブル:加入者系の伸長により20.7%と高い伸びを示した。

2006(平成18)年度の見込み
光伝送機器・装置:FTTHの急速な普及に起因し、映像伝送78.4%、幹線系18.8%、加入者系9.3%と高い伸びを示す見込み。全体では11.6%と二桁成長の見込み。
光受動部品:通信機器などの構成部品で、全体で19.8%の大幅増の見込み。

2007(平成19)年度の予測
光伝送機器・装置:トリプルプレイ(高速インターネットアクセス、IP電話、映像配信の各サービス)の要となるFTTHを求心力にトラフィックの増加が、加入者系、メトロ系への波及が期待される。メトロ系は24.1%、加入者系は16.5%、光ファイバ増幅器(8.0%)のプラス成長を予測。一方、幹線系は▲10.0%、光LAN・光無線LANは▲10.5%の減少を予測し、全体で3.3%の増加を予測。
情報通信分野の市場動向
各年の比較
(1)実績値比較 (2004/2005年度)
 生産額が増加した分野に、メトロ系(前年度比成長率36.4%)、加入者系(同26.4%)、光LAN(48.2%)、映像伝送(同18.1%)、光ファイバ増幅器(同12.1%)、1.55μm帯半導体レーザ(同92.9%)、1.3μm帯半導体レーザ(同62.5%)、光ファイバケーブル(同20.7%)、光分岐結合器(同76.6%)が挙げられる。メトロ系の内訳はADM(同61.5%)、CWDM(同‐50.6%)であり、メトロ系リング網の構築が主体であったことを窺わせる。FTTH(Fiber-To-The-Home)に代表される加入者系は、PON(Passive Optical Network)の生産額(同40.4%)が顕著な伸びを示した。また、CATVのFTTH化など映像伝送の生産額も増加した。「光電送機器および装置」(同3.9%)全体では微増であったが、幹線系(同‐23.0%)は大きく減少した。また、これ以外では光ファイバ融着器(同‐5.8%)、光伝送リンク(同‐16.4%)、光コネクタ(同‐4.7%)、光合分波機(同‐37.8%)の生産額が減少した。

(2)2005年度実績と2006年度見込みの比較
 成長が見込まれる主な分野として、幹線系(前年度比成長率18.8%)、メトロ系(同0.7%)、加入者系(同9.3%)、映像伝送(同78.4%)光伝送リンク(同25.8%)、光ファイバケーブル(同4.6%)、光ファイバ融着機(15.5%)、光コネクタ(同13.9%)、光合分波器(同17.6%)、光分岐結合器(同23.7%)が挙げられる。注目すべきは、映像伝送の生産額急伸である。これより、トリプルプレイの一つである映像配信サービスの本格化が窺える。PONの生産額(同1.6%)は微増、メディアコンバータの生産額(同‐8.9%)は減少である。映像伝送と光分岐結合器の伸びから類推すると、光分岐結合器(主に光カプラ)の用途として、PON方式を採用したFTTHタイプの映像伝送系が浸透しつつあることが窺える。また、光ファイバ融着機と光コネクタの生産額増加はFTTHにおける工事開通需要に起因したものと推測される。一方、幹線系の主な伸びは10Gb/sのWDM装置(同44.2%)であり、ここ2〜3年堅調な伸びを示している。また、光合分波器の生産額(同17.6%)との相関が見られる。

(3)2006年度見込みと 2007年度予測の比較
 2007年度に急激な成長が予測される分野として、メトロ系のCWDM(前年度比成長率185.5%)が挙げられる。CWDMの生産額急増から、ワイヤレスアクセスのトラフィック量と加入者系からメトロ系へ流れるトラフィック量の急増が予測される。これらトラフィック量急増への対応として、両者を結ぶリンクの大容量化が窺える。以上を背景にメトロ系全体(同24.1%)および加入者系(同16.5%)の堅調な伸びが予測されている。FTTHの開通工事において需要が発生する光ファイバ融着機(同0.6%)と光コネクタ(同0.7%)は微増であるが、光ファイバケーブル(同‐0.8%)は微増は予測され、生産額は2005年以降ほぼ横ばい状態にある。光デバイスに関しては、1.55μm帯半導体レーザ(同17.5%)と1.3μm帯半導体レーザ(同7.7%)の堅調な伸びが予測される一方、PON生産額(同24.7%)の堅調な伸び予測を反映するはずの光分岐素子(同0%)は2006年度見込みとほぼ同額の予測となっている。ただし、加入者系とメトロ系を求心力に全体に市況は明るさを増しつつある。
化市場動向分析
市場動向分析の中から光伝送機器と通信用半導体レーザについて見てみる

光伝送機器および装置の市場分析 
 光伝送機器および装置の2005年度生産実績は前年度に対して若干増加し、2,170億円(前年度比成長率6.3%)となり2004年度の減少(同‐1.2%)から増加に転じた。2006年度の見込みは、2,422億円(同12%)と増加が予測される。2007年度は2,502億円(同3.3%)と横ばいの予測である。2005年度生産実績の内訳は幹線系33.3%、メトロ系21.7%、加入者系18.4%、光LAN13.5%、映像伝送6.4%、光ファイバ増幅器5.8%の順となっている。2004年度から2005年度への成長率では光LANが48%、メトロ系が36%、加入者系が26%、映像伝送が18%、光ファイバ増幅器が12%と幹線系以外はすべて伸びが見られた。
 幹線系は2006年度以降にも全体に占める生産金額が最も大きい。2005年度は‐23.0%と減少したが、2006年度見込みは18.8%と増加に転じ、2007年度は‐10.0%と減少の予測である。メトロ系は2005年度36.4%と昨年に引き続き増加が続き、2006年度見込みは0.7%と横ばいだが2007年度は24.1%と増加が予測されている。加入者系は2005年度は26.4%と増加、2006年度見込みは9.3%、2007年度も16.5%の増加が予測されており、FTTHの着実な展開が予想される。光LANは2005年度48.2%と大幅に増加したが、2006年度見込みは‐8.1%、2007年度も‐10.9%と減少の予測である。映像伝送については2005年度18.1%と伸びており、2006年度は78.4%と大きく伸びる見込みであるが、2007年度は‐0.3%と横ばいの予測である。光ファイバ増幅器は2005年度12.1%の増加、2006年度見込みは‐7.4%、2007年度は8.0%の伸びが予測される。
 FTTHに代表される加入者系の大容量化に対応したネットワーク整備が牽引し、光伝送機器および装置全体としては堅調な伸びが見られる。特に加入者系、メトロ系の伸びが大きい。加入者系などの需要が伸び実トラフィック量が増加することで、幹線系も徐々に伸びてくると考えられる。

通信用半導体レーザの市場分析
 半導体レーザ(LD、Laser Diode)全体の2005年度生産額実績は1,100億円となり、前年度と比較して7.9%増加している。内容として、CDなどの民生用LDの生産額が750億円(前年度比-31.4%)と減少しているが、通信用LDの生産実績は295.7億円(同74%)と増加した。2006年度も民生用LDの生産額は643億円(同-15%)と現象が見込まれているのに対して通信用LDの生産額は298.3億円と前年度と同等の高いレベルの生産が見込まれている。さらに、2007年度についても通信用LDの生産額は331億円と12%の成長が予測されている。
 通信用半導体レーザは2003年度から堅調な伸びを示しており、特に2005年度には対前年度比74%と大きく成長している。(図2)機種別に見ると、2005年度の通信用LDの生産額実績のうち、特に短波長LD(0.85μm)を除く通信用(1.31/1.55μm)および励起用(0.98/1.48μm)のLDにて大幅に増加している。2006年度について、各波長帯のLDの生産額は298.3億円と高いレベルでの生産が見込まれている。
 通信用LDの生産額は光伝送機器および装置の生産額に連動して推移する傾向があり、2005年度の光伝送機器の内、メトロ系の36.4%および加入者系の26.4%と大幅に増加したことにより、2005年度の通信用LDの生産額が実績で74%と大きく増加したものと考えられる。なお、2006年度では光伝送機器の全体の生産額の見込みは前年度比11.6%の増加が見込まれている。そのため、通信用LDの生産額の増加率は0.9%と小さいが、高いレベルでの生産を行うと見込まれている。
 1.55μm帯LDは、2005年度生産実績は143.9億円となり、2004年度実績74.6億円と比較して92%の大幅な増加となっている。さらに、2006年度についても138.9億円の高いレベルで生産が見込まれている。
 1.55μmLDは、伝送路である石英系光ファイバの損失が最も低損失な波長帯であり、光ファイバ増幅器の利得帯域と一致していることから、長距離幹線系システムに利用されてきた。さらに、近年では、長距離幹線系だけでなく、メトロ系や加入者系にも多く用いられるようになってきた。

図2.通信用半導体レーザーの生産額 財)光産業技術振興協会:「光産業の動向 2007年3月」を参考に作成