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軽量・小型ボディに現場のニーズを凝縮した
多機能・高性能ポータブルFFTアナライザ

株式会社小野測器

音や振動を測定するFFTアナライザに、早くから取り組んでいる小野測器。海外製品と差別化を図るため、2チャンネルの『CF-600』をリリースしたのが1973年。それから30余年が経ち、今回、多機能・高性能な『ポータブル2チャンネルFFTアナライザCF-7200 データパレット』が登場した。現場のあらゆるニーズを凝縮した同製品について、営業本部 小林 眞氏、技術本部 古川 裕彦氏、小野田 一雄氏、長島 信一氏に話を伺う。

 

 

営業本部 営業統括部長
小林 眞

 

 

 

 

技術本部 SV開発センター

企画・販促グループ リーダー
古川 裕彦

 

 

 

技術本部 SV開発センター

ハードウェア開発グループ

マネージャー
小野田 一雄

 

技術本部 SV開発センター

ソフトウェア開発グループ

リーダー
長島 信一

FFTアナライザに早くから取り組み30余年の経験とノウハウを蓄積

 1960年代に発表されたFFTアルゴリズムにより、高速で時系列信号を周波数軸の信号に変換する演算処理が可能になった。そのころ、コンピュータ技術が急成長し、FFTアナライザが登場した。小野測器は、早い段階からFFTアナライザに着手し、1975年にはFFTアナライザの第1号機となる、マイコン内蔵の『CF-600』を開発した。
 第1号機の『CF-600』はほとんど手作りで、「A/Dは8bitなので、分解能はあまりよくありませんでした」と小林氏は言う。しかし、この『CF-600』、輸入製品は1チャンネルなのに対し、2チャンネルと差別化を図っていたが、相関関数からスペクトラムを算出していたため、演算にかなりの時間がかかっていた。また、「重量があり、お客様のところへ持っていくのに汗が出るほどでした。しかも、開発部の担当者からは『軽そうに持て!!』と言われる始末でした」と小林氏は当時を振り返る。
 FFTアナライザは音響、信号などを周波数解析するための装置であるが、その見た目からデジタルオシロスコープやスペクトラムアナライザと混同されることが多い。FFTアナライザの最大の特徴はフロントエンドで、フロントエンドにダイナミックレンジやチャンネル間位相確度などの精度が求められている。「音響や振動は、現象としてダイナミックレンジが広く、それをいかに高精度に取り込み、解析を行えるかに高度なノウハウを要します」と古川氏は言う。1973年には第1号機、その翌年にはオールインワンタイプをリリースするなど、FFTアナライザに関して同社には30余年の経験とノウハウがある。

既存ユーザーをも満足させるPCベースの高機能FFTアナライザ

 FFTアナライザは従来、長方型が主流だった。FFTアナライザを机もしくは床に置き、時にはディスプレイを上に向けて測定していた。そして、1995年にWindows95が登場したことでPCベース機が一般的になり、FFTアナライザのスタイルは一変した。PCベース機は音響振動の解析、測定をするだけでなく、2次処理を行えるため急激に普及し、同社のメイン機種もPC上のソフトウエアと高性能なフロントエンドがインタフェースで繋がっているPCベース機に切り替わった。
 PCベースにも欠点がある。それは、PCベース機は本体やマウスなどを置くデスクを必要とし、フロントエンドはインタフェースで接続するので、配線が多くなってしまう。「PCベースは多チャンネル化しやすく、Windowsに慣れている人なら操作もしやすいのですが、配線の問題が常に付きまとい、現場からは長方型がほしいという声が多く寄せられました」と古川氏は語る。そこで同社は、『CF-7200』を開発するにあたり、現在のPCベース機をアンチテーゼとし、PCを意識させないことを目指したという。PCはすでに産業界にも普及し、PCなしでは稼動できないと言っても過言ではない状況にある。
 この『CF-7200』のプロジェクトを立ち上げたのは古川氏で、長方型に対する要望がありながらも、氏はすでに現在のスタイルが頭の中で固まり、デザインを依頼する前に段ボールを使ってモデルを製作したという。「もちろん、この形にするからには、床置きで使用していた人も満足させたいという気持ちはありました」と古川氏は言う。
 一方、PCは民生品という考え方もある。OSが切り替わるたびに、インタフェースが変更されるようでは、OSを産業用として捉えることは非常に難しい。簡単にデータを持ち運べる、というのは開発の根底にあるため、開発に取りかかる前、この問題を十分検討したという。

ポータブル2チャンネル
FFTアナライザCF-7200データパレット

ソフトウエア Repolyzer2 XN-8000シリーズ

『FFTアナライザCF-7200』に30余年の経験とノウハウを集約

 PCベースのメリットは、装置を小型に抑えることができ、カスタマイズ性、フレキシブル性が高いということ。「ハードウエアに関しては、主力機でもある『DS-2000』という小型のPCベース計測器のテクノロジを利用しているので、技術的には『DS-2000』で培った小型化のノウハウが活かせています」と小野田氏は言う。従来機では、演算、データ蓄積、表示機能がすべて別の基板に分かれていた。しかし、信号処理テクニックの向上と部品の性能アップにより、すべての機能を一つのチップに集約し小型化に成功した。体積は、従来製品と比較し約5分の1、重量はバッテリを除けば、4分の1程度に抑えられているという。
 基板を一つにまとめたことは小型化への重要なファクターだが、機能の取捨選択も小型化に貢献している。本来、従来機の機能をそのまま継承するのがベストだが、不要な機能まで搭載するとどうしてもコンパクトなボディに収めることができない。そこで、開発前に機能の選別を行ったという。「開発グループとしては、機能の取捨選択にかなりの葛藤がありました。企画グループとは、どの機能を搭載するかについて何度も交渉を行いました」と小野田氏は言う。
 今回から新たに設けられた機能として、スタイラスペンを使った直書きメモがある。これは、企画グループからのオーダーにより採用された機能だが、当初開発グループと企画グループの間に誤解があったという。「企画グループから直書きメモの話があったとき、スタイラスペンで書き込んだ文字を認識する機能と受け取っていました。それについて開発グループ内で検討すると、非常にリスクが高いという結論に至りました。しかし、企画の要求をよく確かめると、単にスタイラスペンを使って画面に書き込んだメモのイメージをそのまま保存する機能と分かりました。書き込んだ文字を画像として保存する機能なら開発には時間はかからず、文字認識の機能についての検討が無意味なものになってしまいました」と小野田氏は笑って話してくれた。
 このように、基板の見直しから機能の選択までを行い、同製品は軽量、小型、高機動を実現しているが、「この機種は、小型で軽量というのが大きなテーマでした。このテーマを実現させるために、開発グループにはかなり無理を言ったと思います」と古川氏が言うように、同製品にかける期待は大きい。

 

直感で操作できる使いやすさとダイレクトな操作感覚を追求
 測定器の寿命は非常に長く、10年間使い続けていた機種から新しい機種に買い換えることもある。このとき、ユーザーは10年前の機種に搭載されていた機能を望むことが多い。したがって、新しい機種を開発するにも、その機能は本当に必要なのかということから考える必要があるという。
 同社製品はリピーターが多く、機能を継承しなければならない一方、従来機能だけでは満足してもらうことができない。また、ダイレクトキーではボタンの数が増え、操作を覚えるのに苦労してしまう。「当社の製品はマニュアルを見なくても、リピーターなら使いたい機能に辿り着くことができるようにしてあります。実際、お客様から感覚で操作することができたと言われたときは、操作方法を継承できたと実感しました」と古川氏は語る。
 操作感に関していえば、ボタンのクリック感にはこだわりがあるという。従来機種では、ボタンのクリック感を得るため、内部に厚みが必要になっていた。そこで、クリック感を残しつつ、いかに薄型化するかに照準を合わせ、試行錯誤が繰り返された。クリック感へのこだわりは、現場でのユーザビリティを重要視した結果で、「現場のスタッフは軍手をしていることも多く、ボタン操作は開発している人間よりも慣れたユーザーが速く、ボタンを確実に押した感覚が必要不可欠となります」と古川氏は語る。
 同製品にはハードタイプのボタン以外に、タッチパネルが採用されている。「10年前にFFTアナライザを開発したとき、タッチパネルに移行する話があったのですが、当時はクリック感が乏しいということで断念したことがあります。最近では、ATMや携帯電話などの身近な製品に広く使われていることもあり、現場での操作性を向上させるため、『CF-7200』にはタッチパネルを採用しました」という長島氏の言葉には、計測器の常識を覆し、使いやすさを追求した同社の姿勢が窺える。
 また、同製品は従来のFFTアナライザの操作感を継承しながら、いかに使いやすくするかに焦点が当てられている。その代表例がボタンだが、FFTアナライザは機能が非常に多く、機能をすべてボタンに割り当てるとボタンの数が増えてしまう。そこで、よく使う機能をショートカットに設定でき、画面を押すだけで、使いたい機能に切り替えることができるようになっている。

 

 

スタイラスペンによる直接手書き入力

直感ボタン操作

 

 

軽量・コンパクトで高性能相反する特徴を高次元で融合

 FFTアナライザは従来、長方型が主流だった。FFTアナライザを机もしくは床に置き、時にはディスプレイを上に向けて測定していた。そして、1995年にWindows95が登場したことでPCベース機が一般的になり、FFTアナライザのスタイルは一変した。PCベース機は音響振動の解析、測定をするだけでなく、2次処理を行えるため急激に普及し、同社のメイン機種もPC上のソフトウエアと高性能なフロントエンドがインタフェースで繋がっているPCベース機に切り替わった。
 PCベースにも欠点がある。それは、PCベース機は本体やマウスなどを置くデスクを必要とし、フロントエンドはインタフェースで接続するので、配線が多くなってしまう。「PCベースは多チャンネル化しやすく、Windowsに慣れている人なら操作もしやすいのですが、配線の問題が常に付きまとい、現場からは長方型がほしいという声が多く寄せられました」と古川氏は語る。そこで同社は、『CF-7200』を開発するにあたり、現在のPCベース機をアンチテーゼとし、PCを意識させないことを目指したという。PCはすでに産業界にも普及し、PCなしでは稼動できないと言っても過言ではない状況にある。
 この『CF-7200』のプロジェクトを立ち上げたのは古川氏で、長方型に対する要望がありながらも、氏はすでに現在のスタイルが頭の中で固まり、デザインを依頼する前に段ボールを使ってモデルを製作したという。「もちろん、この形にするからには、床置きで使用していた人も満足させたいという気持ちはありました」と古川氏は言う。
 一方、PCは民生品という考え方もある。OSが切り替わるたびに、インタフェースが変更されるようでは、OSを産業用として捉えることは非常に難しい。簡単にデータを持ち運べる、というのは開発の根底にあるため、開発に取りかかる前、この問題を十分検討したという。

 

脱着可能なリチウム充電池

 

あらゆる現場に即応する次世代デファクト・スタンダード

 今回初めて採用した機能にTEDS(Transducer Electronic Data Sheet)センサがある。加速度センサやマイクロフォンは校正データを持っており、加速度ピックアップが、どれくらいの加速度から、どれくらいの電圧を出力のかという仕様などが書き込まれたチップを内蔵するIEEE 1451.4(TEDS)規格に基づくもので、これらデータはFFTアナライザで直接打ち込んでいた。TEDSセンサはFFTに接続すると、チップのデータでソフトウエアを校正することができる。
 このほかに、トラッキング解析機能がある。これは、回転体の回転に起因する振動、音の解析を指し、自動車メーカーでは多く使われている。アクセルを開け回転数が上がり、発生する振動や音の解析を行うことができる。
 同製品はPCとの親和性が高く、USBマスストレージ機能により、簡単にPCにデータを転送することができる。また、音響振動加速度検出器や回転検出器、音響マイクロフォンなどはすべて同社製品のため、システム構成を意識して製品開発が行われている。また、解析、検出、ソフトウエアも扱い、ユーザーをトータルでサポートできる製品ラインアップとなっている。つまり、同社製品で揃えれば、精度高く測定できることが約束されている。

 

豊富なインタフェース

新規ユーザーの意見がFFTアナライザを高性能にする

『FFTアナライザCF-7200 データパレット』は、PC世代の若い現場のスタッフからも支持を得ている。新たなユーザーの登場により、新たな要望が生まれる。そうした声を取り入れ、バージョンアップいていく予定だという。「現場の声を大事にし、製品にフィードバックして、より使いやすい製品にしていこうと考えています」と小林氏は今後の抱負を語ってくれた。