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最速2msの処理スピードで低容量コンデンサを高精度に測定

日置電機株式会社

自動試験装置、記録装置、電子測定器、現場測定器、そして配電盤用計器などの周辺装置と、大きく分けて五つに分類できる日置電機の製品群。今回は、その中から、電子測定器にカテゴライズされる『Cハイテスタ3506/3505』について、PMI部技術2課山口  力氏、田口  圭一氏、技術3課  上野敦夫氏に話を伺う。同製品は、先に開発されたCハイテスタ3504の低容量タイプで、この登場により、コンデンサをすべてサポートできるようになった。

 

PMI部 技術2課 係長
山口 力

 

PMI部 技術2課 主任
田口 圭一
PMI部 技術3課 担当課長
上野 敦夫
コンデンサメーカーからの要望で『3506/3505』の先代機種が誕生
 同社の計測器分野は、ワイヤレス計測分野、IPネットワーク計測分野、汎用RF/マイクロ波計測分野、そしてサービスアシュアランス分野と四つに分かれている。その中で、今回紹介するのがIPネットワーク計測分野。この分野はシグナルクオリティアナライザ、光計測器、SDHアナライザ、IPテスタなどの製品を開発している。今回紹介するシグナルクオリティアナライザは、テレコムやデータコム市場で使われる光デバイスや通信デバイスの研究、開発、製造に使われている。最近は伝送容量の増大から信号が高速化し、ストレージやサーバのバックプレーン市場からの引き合いが増えている。昨年、大手通信事業者が40Gのサービスを始めるということで注目を集めた40G用のSDHアナライザとともに、シグナルクオリティアナライザは同社のコアネットワーク向けの主力製品としてラインアップされている。
大容量タイプのCハイテスタ3504は瞬く間に人気機種となる
 現在、コンデンサは容量帯が大きくなってきており、大容量の積層コンデンサが主流となりつつある。Cハイテスタ3504は、1Vまたは500mVの定電圧で測定が行え、電圧依存性のあるC測定に対応している。測定周波数は120Hzと1kHzの選択ができる大容量コンデンサ用で、2msという高速で処理することが可能だ。同機複数台を位相同期ケーブルで接続すれば、測定信号の位相同期が可能。接近した試料を測定するときに起こる干渉によるふらつきを低減し、安定した測定が行える。
 3504-10は、3504からGP-IBやBIN機能を省いた機種で、コストパフォーマンスとスピードを重視している。そのため、テーピングマシン組み込み用に最適な機種といえる。
 2005年に1kHzと120Hzに対応した、大容量のCハイテスタ3504が発売されたが、大容量の積層セラミックコンデンサMLCCは誘電率が高いため、電圧によってC値が変わる特性がある。一定の電圧をコンデンサにかけてC値を測定する必要があり、同機は高速で、定電圧をかけることができる最適な測定器といえる。大容量の場合はインピーダンスが低いため、一定の電圧をかけるには多くの電流を流す必要があり、従来の測定器では一定の電圧をかけるのが難しく、また高速で測定できるということで多くのユーザーに使われるようになった。大容量MLCCを定電圧で高速検査できる同機は人気機種となったが、ユーザーからは、低容量タイプの機種も開発してほしいという要望が多くなった。そこで開発されたのが、今回紹介する『Cハイテスタ3506/3505』だ。

『Cハイテスタ3506/3505』の登場でコンデンサの測定をすべてカバー
 『Cハイテスタ3506/3505』は低容量コンデンサ用で、JISのC5101-1に対応している。コンデンサの容量帯によって測定する周波数はJISの規格で決められており、電解コンデンサ以外では、1000pF以下が1MHz、1000pFから10μFまでが1kHz、10μF以上が120Hzとなっている。同製品は、1kHzと1MHzを測定でき、1000pF以下と1000pFから10μFまでの容量帯のコンデンサに対応している。
 処理速度は、従来製品がアナログ計測時間で4ms、測定時間が6.5msのところを、アナログ計測時間が1msと4分の1になっている。選別機には高速化のために4チャンネルのものがあり、この場合はスキャナを使用してCメータ1台で2チャンネル測定し、合計Cメータ2台使用している。しかし、価格も下がったことで、4台並べることができ、さらにスピードアップを図ることもできる。
 生産ラインでは繰り返し精度が重要視される。そのため、同製品の最低Cレンジは220pFで、低容量コンデンサを測定したときの繰り返し精度が大幅に改善されている。同社の従来製品と比較すると、50分の1以下に抑えられたというデータもある。また、セルフキャリブレーション機能を設け、環境温度の変化による測定値の変動を低減することができ、絶対精度も向上している。そのほかにも、ケーブル長補正機能を盛り込み、ケーブルが延長されたことによる測定誤差を低減することができる。
 コンタクトチェック機能も充実している。生産ラインでプロービングしたとき、プローブが素子に当たっているか、コンタクトを確認できるようになっている。その一つがチャタリング検出機能で、検出波形が変動したかをチェックしながら、チャタリングが生じたかを検出できる。チャタリングがあった場合は、コンタクトが異常としてエラー信号を発信する機能がある。また、この機能はシステムを動かしているとき、ノイズによる検出波形の実行値の変化も検出することができる。Low Cリジェクト機能では、プロービングがオープンになっているとき、容量値が低くなるため、プロービングが行われていないと判断する。
 そのほか、3504から継承しているBIN機能を搭載し、C測定では測定値により最大13ランクに分類することができ、選別を容易にしている。また、コンパレータ機能により、第1パラメータ(C)、第2パラメータ(D)のそれぞれの上下限値が設定でき、判定結果をブザー、LED、外部出力で表示できるようになっている。
 これらの機能を盛り込んだ『Cハイテスタ3506/3505』だが、二機種の違いは、『Cハイテスタ3506』は1kHzと1MHzの周波数に対応し、それに100kHzを加えたのが『Cハイテスタ3505』ということになる。JIS規格では、『Cハイテスタ3506』の仕様で十分である。100kHzで測定したいというユーザーもあり、『Cハイテスタ3505』はその要求に対応している。

測定精度の向上が開発のキーポイント

 同社は1990年頃から、1MHzに対応したLCRメータを販売していた。しかし、実際にはコンデンサメーカーで1MHzが使用されることはなかった。その理由に1MHzでの繰り返し精度がユーザーの要求仕様を満足できないということがある。今回、『Cハイテスタ3506/3505』ではこの問題点を見事克服しているが、「1MHzで繰り返し精度を向上させるのが『Cハイテスタ3506/3505』の重要なポイントで、苦労した点でもあります」と山口氏は当時を振り返る。また、「当社には、42Hzから5MHzまで周波数制御できるLCRメータがあります。しかし、繰り返し精度が低く、満足してもらうことができなかったため、この機種で繰り返し精度と、長期安定性を向上させるため、通常の製品開発時よりも試作を繰り返し、かなりの時間を費やしました」と田口氏は開発時の苦労を話してくれた。
 このように、同製品の開発には並々ならぬ苦労が窺える。「今後も自動機メーカーやコンデンサメーカーからのコストダウン、高速測定など様々な要求があると思いますので、お客様のニーズに応えていきたいと考えています」と山口氏は語ってくれた。

誘電体関連測定器の追加で関連機器をフルラインアップ
 同社は、様々なCメータをラインアップしているため、コンデンサメーカーに広く展開することができる。しかし、現状に甘んじることなく、ライン検査で使用される計測器をトータルでカバーするため、2006年11月に東亜ディーケーケーの電子測定器事業を統合し、コンデンサのリーク電流も測れる超絶縁や微少電流などのコンデンサの誘電体関連測定器をラインアップに加え、メガに対応したハンディから、卓上タイプ、ライン用に高速で高安定の製品を取り揃えている。
 絶縁抵抗計は、Cメータとともに自動機に搭載するため、Cメータとは切り離せない計測器の一つ。しかし、Cメータに比べ、処理速度が遅く足を引っ張っている状況だった。そこで、従来製品の2倍のスピードアップを達成したのが、2006年にモデルチェンジされたDSM-8104。スピードアップを図ったといっても、同製品は1チャンネルのため、多チャンネルに比べると、処理速度は決して速いとは言えない。そこで、測定端子とは異なるプリチャージ端子(予備充電端子)を設け、測定の前段階で充電が行えるようになっている。
 インタフェースには、自動機に組み込みやすく、スピードアップも図れるハンドラインタフェースを標準装備。GP-IB、RS-232に加え、オプションでLANを追加することもできる。また機能として、Cメータと同様にコンタクトチェック機能を設けている。
 現在、チップコンデンサメーカーは量産体制に入り、設備投資を進めている。測定器にはさらなる高速化が求められ、こうした要求に応えるため4チャンネルのDSM-8542も用意している。また、特注品として、数千チャンネルといった要望にも対応しているという。このように、高速化を図るメーカーに対し、Cメータとの組み合わせで『HIOKI』ブランドを拡大しているが、「『DSM-8104/8542』のメリットは高速だけではなく、Cメータと絶縁計の技術、メンテナンス窓口が一つとなったことも挙げられます」と上野氏は語る。
 現在、国内での販売がメインだが、製品、サポートの充実を図った同社は今後、海外への販売にも注力する予定だという。特に中国での大きな需要を見込み、現地に販売会社が設けられた。中国の発展とともに、『HIOKI』ブランドは今後、海外にも広まっていくだろう。