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IT業界の成長を陰で支えるポータブル通信アナライザ

株式会社ラインアイ

積水化学工業の電子機器開発に携わっていたスタッフが独立し、2000年に設立した株式会社ラインアイ。設立当時、人気だった海外製大型アナライザの問題点を解決し、小型のアナライザをデビューさせた。それから改良が加えられ、さらに利便性を高めた『ポータブル通信アナライザーシリーズ』が登場。IT化をフルサポートする同製品について、代表取締役社長 有吉 和久氏、取締役技術開発部長 久保田 康之 氏に話を伺う。

代表取締役社長
有吉 和久氏

取締役技術開発部長
久保田 康之 氏
積水化学工業から独立し多くの製品を開発・販売

積水化学工業株式会社の電子機器開発メンバーが、セキスイグループから出資を受け、2000年7月に設立したのがラインアイだ。創業メンバーは、積水化学工業株式会社およびセキスイ電子株式会社で販売されていた電子機器の開発、事業化の中心として活躍しており、独立後も多くの製品を生み出している。同社を代表する製品には「LE(ラインアイ)」の型番が付くが、このラインアイシリーズは、1986年の初代モデル発売以来、ユーザーの声を反映しながら、便利で使い勝手の良いプロトコルアナライザとして進化し続けている。その中から今回は、『ポータブル通信アナライザーシリーズ』にクローズアップした。

マルチプロトコルアナライザ
『LE-3200』
人気の海外製アナライザには大型という問題点があった

 同社の主力製品でもあるアナライザは、大きく分けてPC接続タイプとポータブルタイプに分類される。今回、取り上げるポータブルタイプの起源は、1986年まで遡るという。創業メンバーがまだ積水化学工業の社員だったころ、新事業として電子機器の開発がスタートした。その中の一つに計測器があった。 当時、人気だったアナライザの多くは海外メーカーのベンチタイプと呼ばれるもので、重量は10sを超える大型な装置だった。しかし、通信アナライザは現場で使用されることが多く、大型の装置では運ぶのに苦労するという声がユーザーから届いた。そこで、「これほど大型ではなく、小型で高性能の装置が作れるのではないかと考えました」と有吉氏。「当時、液晶ディスプレイが普及し始め、CRTと呼ばれるテレビのブラウン管から液晶ディスプレイに変更し、ケースも樹脂に変更すれば、軽量にできるのではないかといろいろ考えました」と有吉氏は当時を振り返る。 こうしてポータブルアナライザの開発がスタートしたが、初代モデルは測定に必要な基本機能しか搭載していなかったという。それから20年近く改良を加え、現在のような、大手メーカーにも引けを取らない形に仕上がった。
 

オートセーブ機能
IT化を支える通信機器/情報システムの開発/テスト/メンテをフルサポート

 日々、改良が加えられたポータブル通信アナライザシリーズだが、約20年前に登場した初代モデルと形状は大きく変わっていない。つまり、初代モデルの形状がいかに優れていたかということが分かる。「形状こそ変わらないものの、性能面では雲泥の差です」と有吉は言う。初代モデル発売当時は、まだモデムを使った通信が主流であったため、通信スピードも20キロbps程度であったが、このモデルはメガスピードbpsまで対応した高速通信が可能になっている。このタイプのWAN用通信アナライザとしては速く、他社メーカーと同等の2メガbpsをサポートしている。同製品には通信が速いというだけでなく、通信スピードの条件を任意に変更することができる機能的特徴がある。通常、通信のプロトコルは決められた通信速度で行われているが、決められた通信スピードから微妙にずれがあったとき、どういう挙動を起こすのかということはほとんど検証されていない。つまり、微妙に通信速度をずらしてテストできる測定器が、今までなかったということを意味している。同製品の場合、9600bpsという一般的な通信スピードから、20、30bpsと微妙にずらして設定できるため、挙動のテストを行うことができる。それまで、段階的に通信速度を変更できる機種はあったが、4桁の通信速度をシームレスに設定できるようになったのは1999年になってからだという。もちろん、ユーザーが定めた特殊な通信スピードにも対応することができるので、利用範囲は非常に広い。最近では、他社からもこのような機能を搭載したアナライザが登場しているが、元の通信速度を割った値で、設定できる通信速度は決められてしまっている。 通信速度を任意に変更できる点は同製品最大の特徴であるが、それに次ぐ大きな特徴として長時間連続測定ができるオートセーブ機能が挙げられる。同製品にはメモリカードスロットが装備されており、通信のログをメモリカードに連続的に記録することで、トラブルの原因を究明することができる。「通信トラブルの場合、数日に一度起こるかも分からないトラブルを特定するのは非常に困難で、それなら数日間分のすべての通信ログデータを記録できるようにしよう、ということで開発をスタートさせました」。また、「この機能は多くのユーザーから喜ばれ、ポータブル通信アナライザーシリーズの大きな特徴にもなっています」と久保田氏は語る。

計測インターフェースの拡張
究極のコンパクトボディに利便性の高い機能を満載

 高速の通信スピードと任意変更可能な通信速度というのが同製品の最大の特徴だが、コンパクトなボディにはさらに多くの機能が搭載されている。 コンパクトなボディは、現場でのシステム機器の通信にターゲットを絞っているためでもあるが、ロジックアナライザを搭載しているので開発現場でも問題なく使用することができる。このロジックアナライザだが、一般的な測定ではなく、通信ラインで実際どんな通信が起きているのかをLEDで知らせることもできる。コンパクトボディを追求して搭載された小型液晶ディスプレイだが、PCと接続することで、大きな画面で測定情報を確認することもできる。また補助記録用で搭載されているメモリカードのデータをPCに転送すれば、PCのディスプレイで確認することもできる。PCに取り込んだデータはeメールに添付することもでき、たとえば東京でシステムを開発している人が、北海道でシステムメンテナンスをすることも可能だ。インタフェースに関してだが、最近、成長が著しいデジタル家電、自動車産業をサポートするため、I2C、CAN、LINやIrDAなどに対応。赤外線通信IrDAの計測手法に関しては、保有特許をベースにした機能拡張を行っている。複数のインタフェースを搭載することで幅広い分野で使用することができるので、「用途を制限されることなく使用できるとユーザーからは好評です」と久保田氏は語る。今後もデジタル化が進み、新しい通信規格が登場するのは必至。そのため、同社では新しい通信規格に対しても積極的に取り組んでいく予定だという。

ボタンを押すだけの簡単設定だが実力はプロユースの専用機並み

 同製品には、大きく分けて三つの機能がある。それは、データを解析するオンラインモニター機能、相手にデータを送りテストするシミュレーション機能、そしてビットエラーレイトテスト機能で、同製品はこれら三つの機能をコンパクトなボディに納めている。 これらの機能の中心になるのはモニター機能だが、一般的な低価格帯の通信アナライザは調歩同期通信と呼ばれるモデムやPC周辺で使われる通信のみをサポートした機種が出回っている。同製品はこれに加え、キャラクタで同期をとるBSC、またビットで同期をとるHDLCなども備わっている。プロトコルでも、インタフェースが異なるものに対しては、拡張ボードでインタフェースを交換する方法でサポートしている。そして、拡張ボードと新しいプロトコルをサポートできた段階で、ファームウエアを同社のホームページからダウンロードし、追加・更新することもできる。たとえば、通信の規格が若干変更された場合でも、ホームページからファームウエアをダウンロードすることで対応することができる。 データを確認するのが通信のモニターだが、通常、通信で問題になるのはタイミングなどで、いつ起こったデータか、いつ通信されたデータかも重要になる。その情報を取得するため、アイドルタイムと呼ばれる通信のデータ間の時間を測定することもできる。また、通信フレームの先頭が届いた時刻をマーキングするタイムスタンプ記録表示機能もある。そのほかにも、通信ライン以外の補助的な制御線の変化を測定する機能も備わっている。 シミュレーション機能には六つのモードがある。その中の一つにPROGRAMモードがあるが、このモードは専用コマンドのプログラムを作成することで、条件判定を伴う通信プロトコルをシミュレーションすることができる。プログラムはメニュー選択式のため、コマンドとサブコマンドを選択していくだけで簡単に設定することが可能で、データや用意された変数を使って柔軟なテストができる。また、相手から送られてくるデータを画面で確認しながら、各ボタンに登録したテストデータをボタン操作で送信して、その反応を評価できるMANUALモードは、プログラムレスでさらに簡単に使うことができる。 FLOWモードとは、Xon/XoffデータやRTS/CTS信号線を利用したフロー制御をテストするために用意された機能で、プログラムモードしかない一般的なアナライザで設定するのは困難なため、同製品の特徴的なモードとなっている。 POLLINGモードとは、複数の局に対して、主局からデータを送るときに使われるポーリングセレクションという通信の手順があるが、これを行う専用モードのこと。ポーリングセレクションのプロトコルを評価する場合、プログラムを作成する必要はなく簡単にテストすることができる。 BUFFERモードとは、モニター機能でデータを測定し、測定したデータの送信/受信のどちらかのデータをシミュレーションのデータとして使い、再現して送る機能のことで、ユーザーからの要望により追加された。 またECHOモードというのがあり、これはデータ端末のようなもので、データを受け取るとそのまま返送する機能になっている。 そのほかの機能として、ビットエラーレイトテスト機能がある。これは一般的な通信の中で発生するビットエラーの程度を測定する機能で、たとえば、工場で回線を設置したあとにデータを流し、そこにどれくらいのエラーが起こるかを測定して、引き回しなどの問題を発見することができる。同製品と同等の機能を盛り込んだ専用機は、プロユースがメインで使い方が非常に難しい。同社は開発現場だけでなく、メンテ・保守での使用を考慮し、使用頻度の高い機能をモードとして用意している。そのため、複雑な設定をすることなくすぐに使用することができ、また、これが人気の理由ともいえる。

調歩型同期通信専用
PC接続型通信プロトコルアナライザ

USBプロトコルアナライザ
使用頻度の高い測定機能を厳選し現場だけでなく開発分野にも対応

 正確な計測を支えるトリガ機能だが、キャラクタによるトリガを行うこともできる。つまり、ある通信データが流れたときに何らかのアクションを起こすという機能で、このほかにも通信上にエラーが起きたときにトリガを行う機能も備わっている。 また、各種トリガには複数のアクションがサポートされている。通常、アナライザでも、オシロスコープでもトリガをかけて止めるというのが一般的だが、プロトコルアナライザの場合は、測定を止めるだけでなく、ある事象が起こったらそれをカウントし、カウンターがある数値になったらそれを条件にして止めることもできる。また、あるデータを受けたら、そのデータの前後だけをメモリカードに保存することもできるようになっている。 このほか、PCと接続し遠隔計測することもできる。これは、いつ起こるか分からない現場での通信トラブルに有効で、アナライザを現地に置き、インターネットを介して事務所などで監視できるメリットがある。また、LANで接続すれば、複数のアナライザを一台のPCで遠隔計測することもできるという。このように、多彩な機能が盛り込まれた同製品だが、「すでに後継機種の開発を進めています。LEシリーズの最上位機種としてラインアップする予定で、早ければ来年早々にリリースします」と久保田氏。今後も、同社の新製品から目が離せない。

後継機種のイメージスケッチ