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トップ > バックナンバー > 高調波解析を含めた電源品質管理が可能な電力計『KEW6310』と電力測定に特化した『MODEL6300』

高調波解析を含めた電源品質管理が可能な
電力計『KEW6310』と
電力測定に特化した『MODEL6300』

共立電気計器株式会社

 クランプメータのKYORITSUと海外でもブランド名が知られている共立電気計器。製品の70%近くを海外に販売しており、海外市場のニーズに応えた製品開発も多い。また、国内向けの製品については付加価値のある製品開発を目指しているため、新製品の市場投下はそれほど多くはない。そのような中で、電力管理に必要な12種類の測定機能に加え、高調波解析を含めた電源品質管理が可能な電源品質アナライザを開発、好調な販売をしている。
 今日は、その電源品質アナライザ『KEW6310』と電力量測定はすべておまかせの『MODEL6300』について、開発本部 本部長付技術顧問 伊藤 知佑 氏に話を伺った。
 

開発本部 本部長付技術顧問
伊藤 知佑
電力市場におけるシェアの拡大を図る

 共立電気計器は1940年の設立以来、アナログメータを生産しており、40年ほど前からは回路計などいろいろな現場測定器を製品化している。1965年には我が国で初めてのクランプメータを開発し、現在においても売り上げの40%近くを占めている。ほかの製品群としては、メンテナンス・電気工事業界で使われる絶縁抵抗計、接地抵抗計などがある。
 同社は、70%が海外への輸出で120数カ国に及んでおり、その国々のニーズに対応した製品開発を進め、販売の拡大化を図っている。
 当初生産していたパネルメータの技術を活かし、現在では測定器の分野に製品群を広げ、電力関係では電力計や電源品質アナライザをメインとし、現場測定器関係ではクランプメータ、ロガー、回路計、絶縁抵抗計、接地抵抗計などがある。その製品群の中でもクランプ付デジタルマルチメータ『キューメイトMODEL2000』は、2001年の電設工業展製品コンクールにおいて中小企業庁長官賞を受けている。
 海外においては、15年ほど前からマルチメータ、クランプメータなどからラインインピーダンスを測定できるような測定器など新しい機種も増え、各ユーザーに対応した製品販売している。国内での開発は付加価値のある商品へと絞っていっており、数年前に電力計『MODEL6300』を、今年は『KEW6310』を製品化、販売している。
 海外においては古くからクランプのKYORITSUとしてブランド名が知られているが、最近では国内でも電力会社から話がもらえるようになり、何とか電力業界に測定器で貢献しようと、できる限りの対応をしているという。ループテスタなどは海外中心であったが、国内の電力関係の団体にも興味をもたれ始め、国内での商品化を検討している。もともと日本国内では三相3線、単相3線、単相2線による給電が中心だが、欧州は三相4線で測定回路が異なっているため現在まで国内向けの開発は検討していなかった。しかしながら今後は、海外向けに販売している製品も、国内で使われる可能性がある。「これからは国際交流も大きくなって、海外向けの製品も国内に出てくるという日も遠からずくるのではないかと思っています。」と伊藤氏は期待を述べる。

 

電源品質アナライザ KEW6310

 

 

 


電力計『MODEL6300』電源品質アナライザ『KEW6310』の開発背景と特徴

 以前、同社の営業部より、電力計の販売を行いたいという要望があったが、その時点では開発エンジニアのリソースが十分な体制ではなかった。しかしながら、営業部からの声がある以上、製品化するしないは別として市場調査を実施、そのデータを基に開発と商品企画で検討、開発は電力表示を研究、商品企画はユーザーの求めている性能を調査した。開発するからには、市場の製品群よりも優れたもので、ユーザーが満足するものでなければならない。
 最初は電力計そのものを作る計画であったが、そのころ省エネルギーのことが社会的に話題となり、最終的に電力計にデマンド測定機能をつけたものを開発することとした。それが、MODEL6300である。
 「6300の開発はそれまでの製品と比べ、人材を含めかなり多くの投資がかかるものでした。しかし、次の世代を担う製品を作るためには必要だと考え同製品の開発を行うためにトップを説得しました。社内のニーズと、市場調査を基に、トップの了解を得て一斉に開発に取り掛かっていったわけです。この製品は絶対売れるという自信がありました。」と、同製品のマーケティングおよび技術サポートの担当であった伊藤氏は語る。
 同製品は、現場で使いやすい製品を作るというポリシーと、電力計に新しい付加価値をつけることで差別化を狙った。使いやすさでは、表示を大きくし見やすくすることと、配電盤に取り付けができるなど現場で使うのに限られたスペースの中に収容できる大きさにし、ネーミングも『コンパクトパワーメータ』とした。

 操作面では、何を測っているか分かるように、あえてロータリースイッチにしている。大きな液晶表示には、電力、電圧、電流が3段に表示されるようになっており、このクラスの電力計では市場にないものである。この限られたスペースの中で、国際安全規格IEC61010-1 CAT.V 600V対応と、安全性の面にも配慮している。また新しい付加価値として、目標(契約電力)設定した電力を超えないように、使用状況を監視することができるデマンド測定機能をつけたことだ。
 市場に6300を投入後、ユーザーの意見を通して高調波測定による電源品質管理の必要性が市場のニーズとしてあることがわかってきた。「これからは電源品質がなければだめだ、と思いました」と伊藤氏は言う。それが『KEW6310』誕生のきっかけとなった。特に電気小売り自由化により遠くに電気を送ることも考えられ、そのときノイズが入ったりすると電源品質に問題がおきる。そこで、高調波測定を含めた電源品質の測定が可能な製品開発を目指したのだ。
  同製品は機能を上げた分、ロータリースイッチにするスペースが取れずW(ワット)、Wh(ワットアワー)、DEMANDをボタンで操作するようになっている。横には、WAVEレンジ、高周波、QUALITY、SET UPのボタンが、それぞれで完結するように配置している。電源品質管理は、63次までの高調波測定/解析、WAVEレンジの測定/保存が可能で、スウェル/ディップ/瞬停、トランジェント、インラッシュカレント、不平衝率の測定および、進相コンデンサのシミュレーションが可能となっている。高調波は、測定/解析のほかに、流入流出の判定、高調波含有率、検出レベル値の設定が可能だ。
 高調波の発生原因は、機器の制御回路にはインバータ回路およびサイリスタ制御回路を使用するが、これらの回路は電流に歪を生じさせ、この歪が高調波を発生させる。高調波電流が流れると進相コンデンサおよびリアクトルの焼損、トランスのうなり、ブレーカの誤作動、また、テレビにちらつき、ステレオなどへ雑音の影響などの弊害がある。高調波を発生させる機器には、工場などでは、直流モータ電源装置、電気炉、インバータ機器、空調機などがある。一般家庭においては、エアコン、パソコン、テレビ、洗濯機、冷蔵庫、掃除機、蛍光灯などがある。
 電源品質の異常は、ライフラインにおけるオンラインの電源ダウン、製造ラインにおける不良品の発生、火災や感電などの直接人的災害につながるため、電源ラインの監視が必要となってくる。
 市場にある製品群は、電力計で電源品質管理機能があるものもあるが、主体は電力測定、電源品質アナライザで電力も測れるが主体は電源品質アナライザ、というように、どちらかに力が入ってしまう。同社の製品は電力計、電源品質アナライザどちらの機能もしっかりと取り入れていることが特徴だ。しかも、安価であることも見のがせないだろう。
 フリッカ測定については、12月に発売されるフリッカセンサを用いることで測定が可能となる。また、現在同機種を所有しているユーザーは、同社のホームページよりファームウエアをダウンロードしバージョンアップを行なうことができる。
 伊藤氏は「表示もLCDでグラフィカルに表されていますが、開発においては初めての取り組みでした。電源についての技術は持っていますが、LCD表示のソフトウエアについては経験者がたくさんいるわけでなく、やりながら作っていっているという状態でした。基板も今までになかった6層基板を採用しており、開発技術者にとっては大変なことでした。」と開発当時のことを話してくれた。

 

MODEL6300

 

高調波解析

 

 

不平衡-Wレンジ画面

 

不平衡-ベクトル画面

 

分電盤設置

 


グローバルな考えからの製品開発

 表示言語はKEW6310において5カ国語に対応した。言語はできるだけ製品を使う国の言語にしたいと考えている。このことからも、世界に製品を売っている同社の思想が伺える。
 測定対象も、先に述べたように日本と海外では給電方式が異なっているが、同製品では、単相2線、単相3線、三相3線、三相4線が設定段階で使い分けができるようになっている。もちろん、開発時点から国内、海外での販売を意識して同時に開発している。「海外のユーザーから、ランゲージは使う国のランゲージだ、といわれなるほどそうだと感じました。それは、私たちの立場に置き換えても分かることです。」と話す伊藤氏から、国際ブランドの同社の考えが伺える。
 電源は3電源方式だが、これも普通のとは少し違っている。ACとバッテリー方式で、基本的にはACだが、電源がないところでも使用できるようにバッテリーで対応できるようにになっている。バッテリーも、乾電池と充電式電池に対応している。海外では、バッテリーは充電式だからだ。バッテリーは間違って扱うと事故につながるので、乾電池が入っているときは充電式電池を入れないような仕組みにするなど、安全にも工夫をしている。

 
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 同製品に対して伊藤氏は、「これらの製品における当社の品質管理は、開発時点では精度開発基準で管理し、量産では製造基準で管理しています。当然ながら、これはカタログ上のスペックに比べ厳しくスペックを管理していますので、製品の安定度が図られています。また、電力量の測定、電源品質の測定に対して幅広く対応しています。そのため、この一台で電力量・電源品質管理ができないという問題は多分ないと思います。一度手にしていただければ、製品の良さが分かっていただけると思います。」と話してくれた。