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以前、同社の営業部より、電力計の販売を行いたいという要望があったが、その時点では開発エンジニアのリソースが十分な体制ではなかった。しかしながら、営業部からの声がある以上、製品化するしないは別として市場調査を実施、そのデータを基に開発と商品企画で検討、開発は電力表示を研究、商品企画はユーザーの求めている性能を調査した。開発するからには、市場の製品群よりも優れたもので、ユーザーが満足するものでなければならない。 最初は電力計そのものを作る計画であったが、そのころ省エネルギーのことが社会的に話題となり、最終的に電力計にデマンド測定機能をつけたものを開発することとした。それが、MODEL6300である。 「6300の開発はそれまでの製品と比べ、人材を含めかなり多くの投資がかかるものでした。しかし、次の世代を担う製品を作るためには必要だと考え同製品の開発を行うためにトップを説得しました。社内のニーズと、市場調査を基に、トップの了解を得て一斉に開発に取り掛かっていったわけです。この製品は絶対売れるという自信がありました。」と、同製品のマーケティングおよび技術サポートの担当であった伊藤氏は語る。 同製品は、現場で使いやすい製品を作るというポリシーと、電力計に新しい付加価値をつけることで差別化を狙った。使いやすさでは、表示を大きくし見やすくすることと、配電盤に取り付けができるなど現場で使うのに限られたスペースの中に収容できる大きさにし、ネーミングも『コンパクトパワーメータ』とした。
操作面では、何を測っているか分かるように、あえてロータリースイッチにしている。大きな液晶表示には、電力、電圧、電流が3段に表示されるようになっており、このクラスの電力計では市場にないものである。この限られたスペースの中で、国際安全規格IEC61010-1 CAT.V 600V対応と、安全性の面にも配慮している。また新しい付加価値として、目標(契約電力)設定した電力を超えないように、使用状況を監視することができるデマンド測定機能をつけたことだ。 市場に6300を投入後、ユーザーの意見を通して高調波測定による電源品質管理の必要性が市場のニーズとしてあることがわかってきた。「これからは電源品質がなければだめだ、と思いました」と伊藤氏は言う。それが『KEW6310』誕生のきっかけとなった。特に電気小売り自由化により遠くに電気を送ることも考えられ、そのときノイズが入ったりすると電源品質に問題がおきる。そこで、高調波測定を含めた電源品質の測定が可能な製品開発を目指したのだ。 同製品は機能を上げた分、ロータリースイッチにするスペースが取れずW(ワット)、Wh(ワットアワー)、DEMANDをボタンで操作するようになっている。横には、WAVEレンジ、高周波、QUALITY、SET UPのボタンが、それぞれで完結するように配置している。電源品質管理は、63次までの高調波測定/解析、WAVEレンジの測定/保存が可能で、スウェル/ディップ/瞬停、トランジェント、インラッシュカレント、不平衝率の測定および、進相コンデンサのシミュレーションが可能となっている。高調波は、測定/解析のほかに、流入流出の判定、高調波含有率、検出レベル値の設定が可能だ。 高調波の発生原因は、機器の制御回路にはインバータ回路およびサイリスタ制御回路を使用するが、これらの回路は電流に歪を生じさせ、この歪が高調波を発生させる。高調波電流が流れると進相コンデンサおよびリアクトルの焼損、トランスのうなり、ブレーカの誤作動、また、テレビにちらつき、ステレオなどへ雑音の影響などの弊害がある。高調波を発生させる機器には、工場などでは、直流モータ電源装置、電気炉、インバータ機器、空調機などがある。一般家庭においては、エアコン、パソコン、テレビ、洗濯機、冷蔵庫、掃除機、蛍光灯などがある。 電源品質の異常は、ライフラインにおけるオンラインの電源ダウン、製造ラインにおける不良品の発生、火災や感電などの直接人的災害につながるため、電源ラインの監視が必要となってくる。 市場にある製品群は、電力計で電源品質管理機能があるものもあるが、主体は電力測定、電源品質アナライザで電力も測れるが主体は電源品質アナライザ、というように、どちらかに力が入ってしまう。同社の製品は電力計、電源品質アナライザどちらの機能もしっかりと取り入れていることが特徴だ。しかも、安価であることも見のがせないだろう。 フリッカ測定については、12月に発売されるフリッカセンサを用いることで測定が可能となる。また、現在同機種を所有しているユーザーは、同社のホームページよりファームウエアをダウンロードしバージョンアップを行なうことができる。 伊藤氏は「表示もLCDでグラフィカルに表されていますが、開発においては初めての取り組みでした。電源についての技術は持っていますが、LCD表示のソフトウエアについては経験者がたくさんいるわけでなく、やりながら作っていっているという状態でした。基板も今までになかった6層基板を採用しており、開発技術者にとっては大変なことでした。」と開発当時のことを話してくれた。
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