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三和電気計器は、設立からラジオ受信機の故障修理の診断機、マルチテスタ(回路計)の開発・製造・販売を行っている。世の中にデジタル製品が普及してきたとき、アナログ電圧計のスケール盤をデジタルにすることを目指し、電池型のDMM(デジタルマルチメータ)を1975年に開発した。そのころのDMMは高いものしか出ておらず、安い商品を世の中に提供することをテーマにして出しており、その考えは今も変わっていない。「そのころ、チップのADコンバータが出始めたので、それを採用することにより小型のDMMを開発することができました。当時はマルチ型のADコンバータはなく、オートレンジやLSIなどは自分たちで組んでいました。」と田村氏は当時のことを話してくれた。 さらに、LSIもワンチップ化され、小型で薄型のDMMが開発されていった。しかし、世の中の要請は小型化に安全性が加えられ、同社のDMMも安全性を重視した製品設計に移っていった。今は、パソコンのUSB、RS232、LANなどとの普及により、パソコンとのリンクがDMMにも求められている。 デジタルで簡易型と精度の二面からの要求に応え、さらにデータを取ってパソコンに送るようになっていかなければならない。さらに同社は、フィールド測定器を目指し現場測定をテーマとしているので、そのことにも対応していかなければならない。「ユーザーも多種多様なので、できるだけ多くの要求に応えられるような商品を開発していきたいと思っています。」と田村氏は言う。 それに応える形で開発されたのが、『CD77シリーズ』だ。
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CD77シリーズの前に、『CD700シリーズ』が普及型として発売され、その後『CD720』『CD721』とモデルチェンジが行われた。そして、『CD771』を始めとするCD77シリーズが、DDMの新標準としてモデルチェンジされている。電圧、電流、抵抗などの基本測定のほか、導通チェック、ダイオードチェック、周波数、コンデンサ容量の測定が可能な上、安全な面でも様々な配慮がなされている。IEC61010-1に準拠した安全設計で、電子端子にはセーフティーキャップがついており、表示器は数値が大きく見やすくなっている。 同社は1年半ほど前から、フリーダイヤルによる『お客様相談室』を設けている。相談内容は、同社製品に限らず、測定に関するものが寄せられ、それをデーターベース化している。その中から、CD721のキーワードでユーザーのリクエストを抽出し、それを盛り込んだのがCD771である。 安全性については、「CD721の時代に、船舶関係において本来測ってはいけない1次側を電流計で測ってしまうという事故があり、大事には至らなかったのですが、そこら辺の安全性をもっと強化したものが欲しいというリクエストがありました。そこで、電流ヒューズに30kAという高い遮断容量のヒューズを入れ、なおかつ、プローブ端子を電流レンジに入れたのか、電圧端子に入れたのかが認識できるようにし、セフティーラバーもつけました。」と田中氏は語っている。これは事故が起こらないようにするのが大きな目的であり、同じ目的で、製品を持ったとき落としづらいように、エラストマーの二重成型にすることで滑らないようにしている。 安全に関しては、テスターの安全規格IEC61010-1に則ったものにしており、CEマークの規格などを網羅している。大きな遮断容量のヒューズは高いものになるが、同社は商品価格が上がらないよう努力しているという。
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CD77シリーズは、『CD771』が基本形の製品であり、ACのオートが平均値になっている。CAT.・ 1000V、CAT.・ 600V範囲内の測定用設計されており、導通チェックは、ブザー音と赤色LEDランプ点灯で確認にできるようになっている。学校などで使われることも多く、簡単な電池チェックの機能もついている。 『CD772』の基本機能はCD771と同じだが、ACオートが実効値になっている。電池チェックなどは省いているが、リクエストの中で多かった温度機能を分解機能0.1℃で持たせている。 『CD770』は、CAT.・ 600V範囲内の測定用に設計されており、廉価版として価格を下げている。10A,15Aといった電流がなく、ヒューズもランクが下がったものになっており、電圧や抵抗をメインに測り電流は測らないというユーザー向けになっている。 開発に関しては、同じLSIを使う中でいかに特徴をつけた商品を開発するかという苦労があり、温度機能、安全性などを少しずつ取り入れ、しかも安価に仕上げることを目指してきた。開発には、デザイン、金型を含め一年を要している。 同社の製品は海外にもかなり出ており海外においては大きさにそれほどのこだわりはないが、日本のユーザーからは小さいものが求められる。安全性と小ささは相反するものになってしまい、今回の開発も安全性の面についての苦労が大きかったという。同社には、安全性のテスト装置があり、1.5倍の耐圧を負荷し基板の損傷などを調べながら開発してきた。「今回、手に持ちやすいデザイン、小さいながら安全性を追求した商品としてCD77シリーズを出しましたが、ユーザーはさらに小さいものを要求しており、その開発が今後のテーマでもあります。ポケットに入り、なおかつ、カテゴリー3のものを目指したいと思っています。」と田中氏は言う。
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先に、DMMはパソコンとのリンクが求められると述べたが、同社におけるPC Link対応DMMは現在PC5000ほか5種類が発売されている。さらに、その普及版として現在試作段階のPC Link対応DMM PC77シリーズがあり、来年発売される予定だ。 CD77シリーズの開発当初から、パソコンとつなぎデータを転送してデータをパソコンで処理するというコンセプトはあり、同時に開発を進めてきた。CD770、771,772は4,000カウントのLSIを使っているが、PC Linkのものは11,000カウントのものを使う。基本的機能はCD772と同じだが、温度計測はついていない。しかし、分解能は一桁下になり電圧では0.01mVまで測れる。ハンディタイプでこの分解能のものはまだでていない。分解能があがるとノイズの影響も受けやすくなるが、シールド対策や両面基板を多層基板にするなどの対応を行っている。 計測器は精度とともに安定性が求められるが、精度を上げれば安定性が下がるのは当たり前のことである。両方をとるには筐体を大きくしなければならないが、筐体の大きさは決まっている。「どちらをとるかということになりますが、相反するところを解決しながら開発するところに難しいところがありました。また、日本では湿度などの環境への対応があります。それらをクリアして、あと少しで完成しますが、完成度としては90%の満足度といえます。」と高橋氏は話す。 機能的には、CD77シリーズのものであるが、同社ではパソコンと接続できるものは『PC』の型番となるため、発売されるときは『PC××』となる。価格は、CD772より若干高いあたりを考えているという。
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同社はポケットに入るDMMとして、『PM3』『PM10』を開発している。PM10の寸法は117(H)×76(W)×18(D)mmで本体とリード線が収められており、重量は約110gだ。電流関係の計測を取り除いた弱電回路の測定用に開発されたもので、小型通信機や家電製品、電灯線電圧、各種電池の測定、回路分析が行える。3,200カウントのデジタル表示と、円弧バーグラフによるアナログ表示も兼ね備えている。 さらに、安全性を重視した『PM11』を発売しているが、これはPM10のバージョンアップというよりモデルチェンジしたものである。寸法はPM10と同じで重量は約117gになっている。IEC61010-1過電圧カテゴリ・(300V迄)に準拠した安全設計になっている。4,000カウントのデジタル表示で、円弧バーグラフ表示では通電確認のように大まかな状況を直感的に捉えるのに適し、導通ファンクションは約35Ω以下でブザー鳴動が可能となっている。さらに、片手で測定ができるテスト棒固定機能や開閉式のふたを裏側にたたみこめる機構になっている。
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同社のDMMに対する今後の取り組みは、さらなる安全性とコンパクト化で、この二律背反に取り組んでいく。それと、現場主義のコンセプトから電気技術者一人一人が道具のように当たり前に持っているものを目指す、そのために、それなりの機能を持っていながら個人が買えるようなものであることだ。「現場で要求されるのは、作業時間を少なくする、行程を少なくすることだと思います。そういった便利さを、計測相談室から要望を取り上げそこに焦点をあて開発をしていきたいと思っています。」と田中氏は話す。 高橋氏は「コンパクト化と安全性に加え、複合化も目指していきたいと考えています。」と語る。複合化とは、PCリンクはもちろん、温度、光などを含め空調関係も測定できるものだ。「電気計測だけでなく、センサーとして使ってもらえるようにしていきたいですね。ユーザーのニーズに合ったものにしていくこと、ユーザーの取り組みを捉え商品にしていくことが課題だと思います。たとえば、環境、省エネルギーといった市場のニーズを捉え、市場にあった商品を開発していきたいと考えています。」と田村氏は展望を語る。 同社が進む方向に沿って開発されたCD77シリーズ、来年発売予定のPCリンクができるDMM、および今後の商品に期待したい。
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DMM CD771 |
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DMM CD770
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DMM CD772
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PC Link対応DMM PC5000 |
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PC Link対応DMM PC77シリーズ |
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DMM PM3 |
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コンパクトサイズDMM PM11 | |