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機能を限定し、ローコスト化を実現した
コンパクトTV信号発生器「R&S SFE」

ローデ・シュワルツ・ジャパン株式会社

ローデ・シュワルツ・ジャパン株式会社では、ISDB-TやDVB-Tなど、主要な変調方式に対応するテレビ信号発生器を提供している。今回紹介する「R&S SFE」は、ハイエンドモデルの在来製品「R&S SFU」の機能を限定することで、ローコスト化を実現している。本社ドイツでの発売に続き、11月より日本の市場に投入していく予定だ。

テクニカル・センター
アプリケーション・エンジニア
谷津 弦也
無線通信用とテレビ用測定器の世界的メーカー

 ローデ・シュワルツは、スペクトラムアナライザのメーカーというイメージが強いが、実際は無線通信用とテレビ用測定器を2つの柱とした電子計測分野や放送、無線通信分野などにおいて製品提供しているドイツの世界的なメーカーである。その設立は1933年で、長い歴史に裏付けられた高性能・高機能測定器メーカーとして、世界的に高い評価を得ている。
 製品のラインアップも幅広く、スペクトラムアナライザをはじめ、信号発生器、オーディオアナライザ、ネットワークアナライザ、パワーメータ、無線通信測定器、EMC計測器、テレビ/ビデオ測定器など多彩だ。
 ドイツ本社を中心にヨーロッパ向けの規格に強いのが特色だが、海外展開も広く行っており、ヨーロッパ、アメリカ、アジアを中心に世界70ヵ国以上の拠点を持っている。日本には20年以上前から代理店を通して販売をしていたが、2003年4月に日本法人を設立、2004年5月からは直接販売を開始し、現在にいたっている。

コンパクトTV信号発生器
R&S SFE
従来製品の機能を踏襲したR&S SFE

 同社では、すでにR&S SFUというマルチスタンダードTV信号発生器を販売しており、市場で高い評価を得ている。日本の各テレビメーカーで採用されるテレビ信号発生器のスタンダード機としての地位を築き、デジタルテレビの受信機の開発では高いシェアを獲得している。
 R&S SFUは、世界のデジタルテレビ、アナログテレビの受信機に課される試験である、電波妨害やノイズ試験、フェージングテストなど、すべての測定を1台でカバーできる。日本のISDB-T、ヨーロッパのDVB-T、衛星のDVB-S、中国のDTMBなど、1台で16種以上の変調方式を搭載しており、デジタルでは地上波デジタル放送、ケーブルテレビ、衛星放送、モバイル放送、アナログ放送への対応が可能になっている。
 今回、このR&S SFUの機能をしぼり込み、ローコスト化を実現した製品として、R&S SFEをリリースした。機能を限定したローコストタイプのため導入費用削減を実現できることから、研究開発用としての採用だけではなく、生産ライン用の信号源としての導入がターゲットになっている。
 軽量コンパクトのため持ち運びが容易で、実績のあるR&S SFUと同じGUIの環境になっているため、R&S SFUを利用していたユーザーには容易に操作を行えるようになっている点も見逃せない。

16種類以上の変調方式から選択が可能

 R&S SFEは、R&S SFUが搭載している16種類以上の変調方式の中から最大3方式を選んで装備させることができる。つまり、R&S SFUが持つ機能の中から、必要な変調方式だけを搭載させることができることになる。
 従来、16種類以上もの変調方式が入っているR&S SFUでは、多少オーバースペックと感じていたユーザーにも、部署ごとに搭載している変調方式を選択するなどしてR&S SFEを複数台導入すれば、これまで1台のR&S SFUを複数の部署間で交互に使用するような問題は解決できる。また、選択の幅が広いため、用途に合わせた対応が取れるほか、コストの面でも有利だ。「研究開発、設計に成功を収めているR&S SFUに比べ、生産ライン向けの製品と位置付けています」と谷津氏は語っている。
 しかも、R&S SFUのDNAはしっかりと受け継いでいるので、性能面でも決して引けを取らない。周波数レンジも100kHz〜2.5GHzで、このクラスの測定器として2.5GHzを実現する数少ない製品である。パワーレベルも−100dBmから+15dBmとなっている。さらに、SSBノイズも、300MHzにおいて、−115dBc(20kHzオフセット)と非常に純度の高いスペクトラムを実現している。
 基本性能をそのままにサイズのコンパクト化に成功をしているだけでなく、充実したオプション群も整備されているため、当初使用する方式だけを搭載しておき、後から追加することも可能だ。方式の追加はソフトアップデートで行われ、非常に簡易であるうえ、将来準備される新放送方式にも対応可能だ。

さまざまな変調方式の測定が可能

使用頻度の高い機能にフォーカスしたR&S SFE

 ライン向け用途をターゲットにしたR&S SFEでは、シミュレーション機能がR&S SFUから大幅に省かれている。対応しているのはC/Nテストで、AWGNを発生させて受信機をテストすることに主眼を置いている。
 R&S SFUでは、さまざまなシミュレーション機能によって受信機の耐力測定を可能にしているが、R&S SFEの場合はR&S SFUのAWGN発生機能とビットエラーカウンタの機能を引き継いでいる。デジタルテレビではRF信号の受信状態で品質が決定されてしまうため、この試験は受信機の性能を測定する上で大きな指標となる。
 具体的には、C/Nを発生させながら、受信機のビットエラーをカウントすることになる。「一般的に、TSストリームのレベルで監視TSのヘッダ情報を読み、復調信号のエラー情報を読み取っていますが、加えて弊社の場合、データ、クロック、イネーブルを3線で測定していますので、ビット単位で非常に精度の高いビットエラーカウントができるようになっています」と、谷津氏はその精度の高さに自信をのぞかせる。
 R&S SFEのジェネレータで生成したTSデータと受信機で復調された後のTSデータの比較をビット単位で行うため、精度の高いビットエラー値が得られる。このBER測定機能は近日提供開始する予定である。
 また、デジタルTV信号源の基本機能となる、TS再生器と、符号化、変調器、アップコンバータが、コンパクトなワンボックスに収められている点も特徴だ。R&S SFUとR&S SFEでは、TS再生器と後者をコーダーと呼んで、内蔵オプションの構成をとっている。TS再生器には、同社オリジナルのSDTV用のTSファイルが付属する。これは、シームレスなループ再生が可能で、生産現場や品質評価において、信頼の高い評価を行うことができる。TSの再生器を内蔵しているため、今までのように測定器を複数台用意する必要がなく、現場にもR&S SFEを1台持っていくことで、すぐにテレビの受信状態をチェックすることが可能になる。

アナログ変調にも対応

 

USBを利用し、さまざまな操作に対応

 R&S SFEの機能として、セッティングファイルを保存する機能がある。生産ラインでは、状況に応じて計測器のパラメータを設定変更する必要が発生する。従来は口答連絡などの人手に頼っていたが、設定ファイルを送り、それを読み込むことで、簡素でしかも人的なミスを最小限に減らすことが可能となる。さらに構築した設定を保存し、設定ファイルとして使うことも可能だ。
 データの読み出しはフロントパネルに付いているUSBコネクタを利用して行う。OSにWindowsを採用しているため、キーボードやマウスを使って操作できる点でも使い勝手が考慮されている。画面もアプリケーション画面だけではなく、Windows XPの画面も表示可能で、ほぼWindowsの操作と同様に利用できる。
 「USBコネクタは、PCのUSBコネクタとまったく同じ機能を持っていますので、データの授受だけではなく、装置のコントロール用としても利用することができます」と谷津氏。
 細かな機能として、変調のパラメータを変更するときに内容のわからないパラメータがあった場合は、キー選択のあとでヘルプキーを押すことにより、その機能についての説明を画面表示するので、ラインや現場では便利だ。

 

デジタルテレビ受信機品質保証試験規格に対応

 ヨーロッパでは地上波デジタル放送の規格化が始まっている。地域ごとに、受信機に求められるテストの方法と仕様を規定した規格書が存在し、DVB-T受信機の規格化が活発になっている。R&S SFUは、この規格に合致したテストが行えるようになっている。また、アメリカのATSCにも規格化の動きがあり、FCC15という形でスタートしている。ローデ・シュワルツでは、これらの動きに敏感に対応していくとしており、サポート体制も万全を期している。
 現在、測定器の分野でも注目を集める地上波デジタル放送だが、測定の設定に関して、R&S SFUをベースにしたテストシステムR&S TA-DTVではあらかじめ決められているテスト項目を入力することで、試験環境を自動的に設定できる機能を搭載し、テストを実行したあとのレポートの作成まで自動化している。
 ユーザーにとって使い勝手を高める機能として歓迎されており、作業の時間短縮だけではなく、設定上のミスも防ぐことができる。「実際には、手作業で2週間以上もかかっていた試験が、この機能を利用することで、2〜3日で済ませることができるようになります」と、谷津氏は導入にかかる時間的なロスの削減も可能であると語っている。
 システム全体の校正も容易で、ユーザーサイドで行える。
 R&S SFEについては、基準信号源として使用が可能だ。

リアパネル
任意信号発生器の内蔵が可能で作業効率を向上

  地上波デジタル放送用の受信評価システムには、TSプレーヤやジェネレータがあり、MPEG2インターフェイスを介して、リアルタイムで変調をかけて信号を発生している。それに対して任意信号発生器を用いた信号発生は非リアルタイムと呼ばれる。これは、あらかじめTSに変調をかけた演算を行ったRFの信号波形をファイルとして保存しておき、ファイルを再生するだけで信号を発生させることができる。
 例えば、携帯電話などでは、テストモデルなどと呼ばれるいくつかのパターンが規格で決められているが、それをテストのたびにリアルタイムに生成する必要はないので、任意信号発生器と演算が終わった信号ファイルを用いて評価を行うことができる。
 R&S SFEは、その手法をテレビ信号に取り入れたもので、あらかじめ決められた長さのフレームの信号ファイルを作り、再生することが可能だ。それにより、生産ラインや品質保証に同じ信号ファイルを使うことができるため、内部で生成する手間やコストを省き、セットアップの時間を短縮することができる。「信号ファイルをすべてDVDで提供しており、必要なファイルをUSB経由で本体内部のHDDにコピーすることができます」と谷津氏も導入の容易さを語っている。
 ファイル数量に制限がないため、内蔵されているHDDの容量までファイルを保存できるというメリットがある。そのため初期設定を一度行っておけば、生産ラインの稼働中に作業をする必要がまったくなく、ほぼ自動的に測定を行うことができる。このように、機能をフォーカスしたR&S SFEは、測定品質だけではなく、操作の簡便さによる使い勝手向上などによって、現場作業の手間を大幅に削減できる測定器として期待される。


BER測定を搭載


充実したオプション(近日提供予定のもの含む)