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特別企画2 エネルギー計測・管理
エネルギー管理における電力計測機器と省エネ支援計測システム

三菱電機株式会社

 三菱電機のFAシステム事業本部は、シーケンサ、インバータ、サーボ、ロボット、レーザ加工機といったFA・メカトロ関連機種を多く抱える一方、トランス、遮断器、電磁開閉器のような受配電関連機種も幅広く取り扱っている。中でも三菱電機福山製作所では電力量計を始とした計測機器を育んできた歴史があり、その計測技術をベースとして、電力量計、指示計器、変成器といった計測機器から、デマンド管理システム、エネルギー管理システムなど幅広い製品を生み出している。

FAシステム事業本部
機器計画部配電制御・省エネグループ
グループマネージャー
大庭 能成
FAシステム事業本部 機器事業部
機器営業第一部 市場開発課
省エネ/配電監視グループ 主任
森 茂 
FAシステム事業本部 機器事業部
機器営業第一部
市場開発課 省エネ/配電監視グループ
加藤 圭一
エネルギー管理の現状と三菱電機の取り組み

 三菱電機では、京都議定書が策定された『COP3(気候変動枠組み条約第3回締約国会議)』が開催された1997年頃から省エネを意識したエネルギー計測計量機器を市場に展開してきた。例えば、電力量、電流、電圧、高調波などの計測が可能な製品として、ブレーカにセンサ、表示器を加えた『MDUブレーカ』や、既設盤へ容易に導入可能な『Eco MonitorPro』などを提供している。同社は、これら機器を活用して、電力の使用状況を各部門が把握する“見える化”を推進している。福山製作所では1997年当初より“見える化”に加え時間毎の原単位管理を行い、エネルギーの削減に大きな効果を上げている(電力料金で1億円の削減)。
  原単位管理の流れは、現在、政府や経済産業省で推進する省エネ思想とも一致するものである。
 また、『MDUブレーカ』『Eco MonitorPro』などの端末機器で計測計量したデータを容易に取り纏め、Webで自動配信する中央装置『EcoServerII』などの市場投入も行っており、端末から上位までトータルで“見える化”、さらに一歩進めてエネルギー効率の悪い部分を明確にする“分かる化”システムの提供を行っている。
 日本国内の省エネの気運は、COP3に起因し日本は1997年度比CO2総量−6%を実施する必要がある。日本の国策として、省エネ法によりエネルギー効率的な使用の管理義務を科し、CO2削減を積極的に推進している。2005年にも省エネ法を改正し、管理義務対象数を広げているが更に次の法改定の動きとして、管理義務対象を事業所から事業者へ範囲を広げて、更なる削減を推進する見込みである。
 大庭能成氏は「当社のビジネスとしては、この10年毎年二けたの伸び率で成長してきています。しかし、市場でCO2削減がいわれる割には、まだまだ各企業ともエネルギー使用の末端までエネルギー管理の手が入っていないと思っています」と言う。
 工場においては、受電点とその下のサブ変電所までのエネルギー管理は進みつつあるが、部署ごとの管理および生産設備毎のエネルギー管理が省エネルギーの推進には重要であり、現状では十分に管理されているとはいい難い情況にあるらしい。次の法改正では、事業所管理から事業者管理に移行し、一つの事業所が小規模であっても、複数の事業所を経営する事業者へ管理義務を拡大させ、さらなるエネルギーの効率的な使用と、CO2の削減を推進すると考えられている。今後も継続して省エネルギーが要求されるため、エネルギー管理に携わる事業には大きなビジネスチャンスが見込まれる。
 しかしながら、各企業の実態としては、省エネやCO2削減を推進する部署はあるものの自社で使用するエネルギーの“見える化”が実現できず。エネルギー消費の分析や効率的な運用より高効率機器への生産設備の取替えや単なる予算の削減に終始するケースが多く、結果として設備コストを押し上げる。
  「世の中で言われているほど現場では科学的なエネルギー管理のアプローチがなされていません。我々としては、企業のトップ、工場長といった経営者の方にエネルギー管理の有用性をアピールしなければなりません、そのためのツールも数多く準備しています」と大庭氏は語る。

計測端末の
代表MDUブレーカー


 

 

 

 

 


 

 


エネルギー計測の端末電力計測機器
 同社の電力計測の端末には、エネルギー計測ユニットの『EcoMonitorPro』がある。回路は、1、3、5、7回路用がそろっており、回路ごとに必要な計測要素を設定できるエネルギー計測表示ユニットである。100Vの低圧回路から77kVの特別高圧に至るまで計測対応することができ、異電圧・相線式でも多回路を1台で計測することができる。計測項目は、電流、電圧、電力、電力量のほか高調波、無効電力、無効電力量、周波数、簡易デマンドなどの電気設備管理に必要なデータのほとんどを1機種で計測し記録モジュールの追加でデータの現場記録も可能になる。
  電力計測ユニットの『EcoMonitorII』は、パルス入力もできるので、電気エネルギー以外にも、例えば、ガス、水、蒸気などの計量や製品生産数を取り込み単体での原単位管理データの収集を可能にする。
  『MDUブレーカ』は、ブレーカと計測表示ユニットを一体化した機器で、フレーム値として225A〜800Aを用意している(トリップ値としては50A〜800Aに対応)。
  MDU(MeasuringDisplayUnit)搭載のブレーカでは、漏電遮断器や漏電アラーム遮断器もラインアップされている。
  「省エネのためのエネルギー計測で大事なことは、負荷に近いポイントを計測することで、既存の回路に関して、電流センサ(分割型)を付けることができるEcoMonitorProやEcoMonitorIIを利用していただくことでこれらの計測が実現できます。新しく作る配電盤などでは、MDUブレーカを利用していただくと、CT、PTの組み込みの必要が無く、指示計器を付ける必要もなくなります」と森茂氏は話す。伝送機能も内蔵できる為、トランスデューサも不要となり、端子台もいらなくなる、結果として省スペースで配電盤等が構築でき、トータルコストも安くなる。
  現場レベルでの、設備、回路を計測するのには、持ち運びが自由な『可搬型EcoMonitorII』もある 。
 

EcoMonitor II

データ収集と“見える管理”システム

 中央装置には、省エネデータ収集サーバのEcoServerIIがある。これは、先ほどの端末機器からの計測計量の情報を三菱電機が開発したフィールドネットワークのB/NET通信を使用して収集している。B/NETは配線が容易で比較的長距離の通信(1km)にも対応し拡張性も容易である。(終端抵抗不要・T分岐可・ツイストペアのシールド線が使用可など)。
  またEcoServerIIは三菱シーケンサとの相互通信を実現しており、生産設備で使用されているシーケンサの情報などをRS-485経由で取得できる。データーは内蔵コンパクトフラッシュメモリに蓄積することができるが。同機は内部にWebサーバ機能をもっており、収集データをLAN経由でインターネット/イントラネットへ発信できる。LANに接続されたクライアントのPCには特別なソフトウエアは必要なく、インターネット・エクスプーラが搭載されているPCであればHPを見るようにサーバ内のデータを見ることが出来る。(入力点数255点を最大62日分収集記憶)、原単位グラフ画面、現在値表示画面の機能により、イントラネット上のPCでグラフやリストとして「見える化」を手軽に実現する。
  SMTPサーバを使用することで、設定している上限下限警報なども、PCや携帯電話にメールを送ることができる。

 

中央装置の代表EcoServer II

 


周辺ソフトウエア

 『EcoMeasureII』は、EcoServerIIなどの収集データを手軽に原単位分析を行うと共に、日報・月報・年報作成も簡単に行うことがで、5台までのEcoServerIIなどのデータを一括管理することができる。
  さらに、大規模なデータベースサーバ用パッケージソフトウエアには『EcoManagerII』がある。
  これはEcoServerIIなどのデータを合計16台までまとめて管理することができる。
  いくつかの工場で使われているEcoServerIIなどのデータを企業内の社内LANなどを経由し、データを自動集計しデータベース化を行い、膨大なデータの中から省エネに役立つグラフ表示、原単位グラフ表示、帳票作成作業などを行う。
  また、工場別、部門別にデータベースを構築する事でトータルエネルギー管理が実現できる。
  「省エネのための計測計量は、普通の測定機器のように短いトレンドの傾向を見るのではなく、日・週・月・年の長い期間のデータを収集し、分析を行う必要があります。
  1)豊富な計測端末
  2)手軽なデータサーバ
  3)収集したデータを分析・活用するソフトウエア、
といった構成でお客様に省エネの分析境を提供しようというのが我々の商品構成になります」と加藤圭一氏はまとめてくれた。

 

原単位を見ることで生産改善、設備改善を実現

 原単位管理というのは、製品一個当たりに使用するエネルギーを管理する手法であるが、三菱電機の進める『攻めの省エネ』では単位時間当たりの原単位分析を進める事が重要と説く。原単位は、(原単位)=(エネルギー使用量)÷(製造数量)で表現される。原単位数値が高い時間帯(原単位の悪化)は非効率的なエネルギー使用状況を示し、低い時間帯は効率的なエネルギーの使用状況を示している。
  原単位の悪化の原因は、設備の立ち上げが早すぎたとか生産完了後の切り忘れ、設備トラブル、設備稼働ロスなどがあるが、これら解決の要因は生産現場にある。現場の人が原単位グラフを把握する事により現場の生産効率改善を促しエネルギーを効率的に使用し、原単位を下げることが重要になる。
  「当社では、自社工場内で原単価の悪化などを“見える化”し改善活動を行ってきました。その経験をお客様の中で生かす事で日々の改善活動につなげていただき、理想の原単位を目指していただきたい。
  このような運用による改善効果(運用改善)から次には装置を導入する際により効果的な設備の導入が可能になります(設備改善)。その運用改善と設備改善の繰り返しの活動を当社は提案しております」と大庭氏は語る。
  京都議定書の目標達成に向け、今後は新たな省エネ法の改正など、ますますエネルギー管理が必要になってくる。
電力量の計測計量のみならず、エネルギーの“見える管理”を進める同社に期待したい。

EcoServer II による原単位表示

 

EcoManager II によるエネルギー使用の傾向分析表示