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特別企画2 放送機器測定-1

 

全世界デジタル・アナログ放送方式対応中国、ブラジルのデジタルテレビ信号発生器と『RFキャプチャ装置4411A/4412-001』

営電株式会社

主要放送局における実験、大手テレビメーカーの研究開発、生産のための試験用テレビ信号発生器を開発。世界の7種類のテレビ方式に対応し、世界30カ国に採用されている営電の取締役 業務企画室 室長 深川 正人 氏、取締役 第三技術部長 酒井 剛 氏に、世界におけるデジタル放送の現状と、RFキャプチャ装置について話を聞く。

  

取締役 業務企画室 室長
深川 正人

取締役 第三技術部 部長
酒井 剛

 

営電は「全世界のデジタル・アナログ放送機器に対応した測定器を作っていくことをメインにしています」と取締役業務企画室室長の深川正人氏は話す。アナログに関しての開発は、オールインワンとして全世界アナログ方式に対応できるマルチシステムアナログTV信号発生器『3116A』でほぼ終わるという。売上げは、いまだにアナログ対応が半分を占める状況だが、今後はやはりデジタルの市場が増えてくる。日本、欧米、中国、ブラジルを中心に、今後はほかにも広がっていくマーケットをすべて網羅していくことを目標にしている。

 

中国とブラジルのTVデジタル放送方式に合わせた信号発生器を開発

 TVデジタル放送は、世界各国で方式が違うが、その中で営電はいち早く各国の方式を取り入れた信号発生器を出している。日本におけるISDB-T(integrated services digital broadcasting-terrestrial)方式に対する測定器も同社が最初に出している。最近では、中国地デジ放送方式に対応する信号発生器と変調器の開発において、清華大学および上海交通大学と直接ライセンスを結び開発した。中国のTVデジタル放送では、この二つの大学における変調用信号のどちらかが使われるようになっており、そのパラメータは330モードであるが、同社ではすべてに対応できる測定器『中国デジタルテレビ信号発生器3530A』を最初に作っている。また、同発生器は両大学から変調用信号の提供を受けているので、本物の信号を出しているのが強みだ。

 同じように、ブラジルにおいてもデジタル放送の開発機関とタイアップしてブラジル対応の測定器を開発している。「昨年1年間かけてサンパウロやマラウスで展示会を行ったり、開発の論議を行ったりしました。もっとも、ブラジルの地上デジタル放送の伝送方式は、日本で生まれたISDB-Tを採用しているため、もともとのベースはありました。その様なこともあり、ブラジルにおいては続々注文も開始され、今後の高シェア獲得に期待している」と深川氏は語る。
 世界的なシェアの広がりについては、日本のテレビメーカーで同社の測定器が使われていることが大きい。日本のテレビメーカーは世界の中心をなしているため、海外に進出したときに同社の測定器が使われる。そこで、信号器のことは『営電』に聞けばよいという信用が築き上げられているのだ。世界的なシェアの広がりについては、日本のテレビメーカーで同社の測定器が使われていることが大きい。日本のテレビメーカーは世界の中心をなしているため、海外に進出したときに同社の測定器が使われる。そこで、信号器のことは『営電』に聞けばよいという信用が築き上げられているのだ。

 各国で伝送方式が違うのは「放送というのはその国を代表する文化、伝達手段ということもあり、各国ごとに放送はどうあるべきかという考えから検討されている」と第三技術部長の酒井剛氏は話す。その中で日本は、ISDB-Tという地上デジタル放送の方式を、独自で作り上げてデジタル放送を行っている。ブラジルにおいてISDB-T方式が採用されたことは、日本以外で採用された始めてのことであり画期的な展開と捉えることができる。欧州におけるDVB-T方式、米国のATSC方式をそのまま採用するということも、東南アジアにおいて出てきているが、中国では独自の方式を作り上げ、デジタル放送を進めている。このように、大きく分けて独自の方式をとるか既存の方式をそのまま採用するかの二つの方法で、デジタル放送が世界的に広がってきているといえる。
 デジタル放送においては、固定放送だけでなく携帯端末など移動体向けの放送も平行して規格が設定され、両方抱き合わせで考えられているのが世界的な傾向だ。それにあわせ、細かく規格名が付けられているのが現状である。日本においてはISDB-T方式で、ワンセグを始め移動体における放送をカバーしている。欧州では、DVB-T/Hがあるが、まだ確定しているわけではなく変化していく可能性もある。中国においては、移動体の方式はまだ決まっておらずこれから検討されることになっている。「移動体においては、世界的に検討に入っていますが、まだ選定が決まっていないところも多く、当社にとってもビジネスチャンスがあるといえます」と深川氏は語る。当然、各国にライバル会社はあり国内の測定器メーカーも進出をしているので競争はある。ただ、各国のデジタル放送の測定器を先駆けて作ってきたのが同社の強みとなっている。

マルチシステムアナログTV信号発生器  3116A

中国デジタルテレビ信号発生器  3530A

 

 

 

 

40年にわたり培われた高周波、アナログ技術とデジタル技術を融合

デジタル放送の技術は新しいものだが、すべてデジタルで処理できるものではなくデータをエンコードする技術はアナログ様式である。また、デジタル放送に必要な信号は、VHFとかUHFなどの高周波信号として変調のかかったチャンネル信号として出すので、その点はアナログと同じである。同社は、高周波から始まった会社なのでその技術をもともと持っており、それに新しいデジタル技術を融合して現在の技術がある。衛星放送における1G、2Gの信号とか、移動体の2.6Gの信号など高周波数を使うため、その周波数帯の信号発生器や測定器ができなければならない。同社は、ベースバンドからRF出力まで一括して扱った製品を設計できるのが強みである。「高周波の技術は、経験がないとニーズとして取り込み製品にしづらいものです。当社は、創業当時からアナログと高周波を扱う製品をずっとやってきました。その蓄積と経験を活かした上にデジタルの技術の製品を作ってきました。高周波技術を持って、デジタル技術に取り組んでいる測定器メーカーはほかにもあると思いますが、当社は放送機器測定器に特化してやってきました」と酒井氏は語る。

 中国のデジタルテレビ信号発生器の開発に当たっては、もともと、アナログ方式対応の製品において信頼を得ていたことにある。中国との取引は20年前くらいから行っており、中国の放送科学院と提携して、信頼を得、情報を得ていった。中国の放送規格を決める測定器にも同社の製品が採用されている。デジタル放送の方向が出てきたときにも、各大学で使用する測定器に指名され、実際のデジタル信号についても清華大学、上海交通大学とライセンスを結ぶようになった。「中国のデジタル放送に本格的に携わったのは5年ほど前からです。ここにきて、北京で試験信号を出し始めましたので、昨年の12月ぐらいから製品が出て行くようになりました。今年は、北京オリンピックもあるのでデジタルテレビも普及が見込まれ、生産現場から当社の信号発生器の需要が高まってくると思います」と深川氏は期待を寄せる。

 

世界中様々な地点でアナログ・デジタル信号を受けられるRFキャプチャ装置

 全世界どこでも帯域幅8MHzのRF信号をハードディスクへ記録、再生させることができるのが『RFキャプチャ装置4411A/4412-001』だ。例えば、アナログで映っていた地域がデジタルでは映らなくなるという可能性のところが結構ある。そういった、難視聴地域に装置を持っていってデータを取り込み、信号を分析してテレビ作りに役立てるという用途に使われる。今までは、4筐体がセットになって使われる大きなものだったが、それを1筐体にまとめられている。アナログ放送からデジタル放送に変わっていく時流の中で、アナログ信号、デジタル信号が受けられ記録できる同装置は今後世界的に必要になってくるだろう。基本的には、受信機を測定するときに使われるが、テレビメーカーやテレビ局などが独自でテレビ信号を調べる場合にも使われる。
 同装置は日本の地上デジタル放送ISDB-Tを開発するときに、このような装置も必要ではないかという声があって同社が開発したものである。大きな筐体のものは3年ほど前に開発したが、昨年の11月に性能的には変わらない同装置が開発された。全世界で使われていくことを見通し、小さな筐体一つですむようにしたもので、『4412-001』は、ケースに収めることができるほど小型で可搬可能なものだ。電波の状態をそのまま受けるもので、影響を受けていれば受けたままの電波を記録する。「そのまま記録するということが重要で、米国で特殊なものはあったかもしれませんが、一般的にはそういう機能をもったものがありませんでした。最初は、コンバータとか記録部分とかがそれぞれの筐体に分かれておりそれを一つのキャプチャシステムとして使われていました。最近は、ワンセグなども始まりいろいろなところにもっていって取りたいという要求に移っており、小型化をしました」と酒井氏は経緯を話してくれた。今は、技術者一人に1台欲しいという要望もあるという。
 『4411A-001』は、ダウンコンバータ、A/D・D/A変換部、データ記録部、アップコンバータの全てが内蔵されている。中心周波数46MHz〜960MHz内の帯域幅8MHzまたは24MHzは、入力レベル−90dBm〜+10dBmのRF信号を記録・再生することが可能であり、全世界のRF信号を記録・再生することができることになる。記録用HDDは2台のRAID校正になっており、容量は約930GByteで、最大連続で約6時間記録することができ、記録用HDD内のファイルは最大2048ファイルまで管理が可能になっている。外部トリガー入力端子からの信号により記録を行うことができ、トリガーの位置を設定することができるので、トリガー発生前後の信号を記録することができる。また、記録時の周波数や設定レベル情報、A/D変換部のオーバーフロー情報およびトリガー機能を同時に記録できるため、ユーザーは簡単に再生ができる。様々な地点での信号を記録し、そのデータをもちかえることができるので、工場や研究室内における受信機の動作確認などが、屋外の受信環境に近い形で行うことができる。

 

 今後の展開について深川氏は、「当社のコア技術を踏み外すことなく、今後はデジタル放送というキーワードから、いろいろなところに広がっていくでしょうが、できる限り追いかけていきたい。また、今後もデジタル放送が世界的に広がっていくので、それに対応し需要拡大を図っていきたい」と抱負を語る。
日本、欧米、中国、ブラジルのデジタル放送方式に対応し、世界各国のアナログ放送方式に対応して信号発生器を提案している同社の今後に期待したい。

 

RFキャプチャ装置  4411A

RFキャプチャ装置  4412-001