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特別寄稿3 カーエレクトロニクス計測技術

アドバンスド・ミクスドシグナル・テスト・システムT7721/T7722


株式会社アドバンテスト

 第1テストシステム事業本部 第2SoCテスタ事業部 第3開発部  橋本 伸一

 

 

1.自動車用半導体の試験要求

 自動車用半導体は、“走る、曲がる、止まる”という基本性能に加え、安全性や快適性、さらに最近では地球温暖化問題からCO2排出削減が求められるようになり、その用途も広がってきている。これら用途の拡大により、自動車用半導体は、従来個別であった機能を1チップに集積したインテリジェントパワーLSIへと進化を続けており、近年では大規模なデジタル部(入出力インターフェース、MCU、EPROM)とアナログフロントエンド部(センサ入力)、パワー制御部(アクチュエータ駆動)を有している。また、車内LANでは、従来のCANやLINに加え、走行制御系においてより高速なデータ伝送が可能であるFlexRayの採用が開始されつつある。
 このような自動車用半導体の進化の中で、自動車用半導体テスタに要求される機能としては、大規模な高速デジタルインターフェースの実動作周波数での機能試験、多チャネルのアナログフロントエンド部に対しての高精度DC測定機能、パワー制御部では高電圧、ハイパワーDC測定機能が求められている。また、用途・使用数の拡大に伴いデバイスのコスト低減が重要であり、テストコストに対しても低減が必須である。
 性能面では、自動車用半導体にはその使用環境から高信頼性・高品質が求められており、テスタにおいても、自動車用半導体向けには高精度の電圧/電流測定が不可欠なため、測定の安定度向上が求められている。また、ロジックテスタの高速ファンクション試験機能に加え、リニアテスタの高精度な電圧印加/測定や高電圧・高電流の印加/測定、さらにミクスドシグナルテスタの高ダイナミックレンジなアナログ波形印加/測定も要求される。

 

 

2.T7721/T7722による自動車用半導体テスト・ソリューション

 前述の要求に応えるべく、アドバンテストの自動車用半導体向けテスタT7721/T7722の特徴と機能を以下に説明する。

 

 

アドバンスド・ミクスドシグナル・テスト・システム T7721

 

 

(1)大規模なデジタルインターフェースを実動作周波数で機能試験を実現する高速デジタルユニットの搭載

 最大出力18Vの高電圧デジタルユニット(20MHz)、または、最大出力8Vの高速デジタルユニット(125MHz)が最大256チャネル(※1)搭載可能である。また、パターンメモリを64MW装備し、複雑化するロジック部の試験に対応した。

 

(2)多チャネル、アナログフロントエンド部の高精度DC測定を実現する高電圧パーピンDCユニットの搭載
 最大出力±64V/±24mA、±24V/±64mAのパーピンDCユニットをテストヘッド内に最大256チャネル(※1)搭載することで測定の安定度向上を実現した。
 さらに高精度DCキャリブレーション機能(DC_SCAL)により、電圧印加確度(0.0055%+0.4mV @8Vrange)、電圧測定確度(0.005%+0.4mV @8Vrange)の高精度な測定を実現した。DCユニットの高精度化は、歩留りの向上が図れるためテストコストの低減に繋がる。図1にパーピンDCユニットの印加電圧のチャンネル間偏差を示す。(5Vを印加、高精度デジタル・マルチメータにて測定)

 

 

(3)パワー部の試験に適した高電圧DCユニットとハイパワーDCユニットの搭載
 最大出力±150V/±80mA、±32V/±2Aの高電圧DCユニットを最大8チャネル(※1)搭載できる。高電圧DCユニットは直接パフォーマンスボード上にリソースを接続できる測定経路の他にマトリクスを介し、パーピンDCユニットの各チャネルに割り込むことが可能である。これによりパフォーマンスボード上の切り替えリレーを削減することが可能になり、周辺回路の多い自動車用半導体の複数個同時測定時のパフォーマンスボード作成を容易にする。
 また、最大出力±60V/±10A、±30V/±20A(パルス)のハイパワーDCユニットを最大4チャネル注1搭載可能。高電力測定においては、デジタル方式のスルーレートコントロールを採用、被測定デバイスを安全かつ再現性良く測定可能にしている。

 

(4)高精度・高速アナログ測定向けに、オーディオ帯からビデオ帯までをカバーする広帯域の波形デジタイザ、任意波形発生器を搭載
 16ビット/750Ksps(14ビット/51.2Msps)の波形デジタイザ、16ビット/1.024Msps(16ビット/51.2Msps)任意波形発生器を各4チャネル搭載できる。
 自動車用半導体に内蔵される低速のADC/DACから、車内LANインターフェースのTr/Tf(立ち上がり/立ち下がり時間)測定を同一ユニットでカバーすることにより(プログラマブルに切り換え可能)、システムコストを低減した。
同製品では、デジタル部と同様にキャリブレーション用パフォーマンスボードを使用し、テストヘッド上でアナログタイミングキャリブレーションを実行できるので、高精度なタイミング保証(デジタルとアナログ測定ユニット間のスキュー:±5nS以下)が可能になり、高い測定再現性を可能にした。

 

(5)最大32個までの同時測定機能を備え、大幅なテストコスト低減を実現
 これらのユニットは、最小構成から最大構成まで同一プラットホームで実現しており、用途に応じたシステム構成が選択でき、チャネルの増設も可能とし、装置導入時のコストの低減を実現した。

 

 

3.おわりに

 急速に集積化やシステム化が進む自動車用半導体の試験に向け、同製品は高い品質保証と大幅なテストコストの削減を可能にした。今後も、環境、安全、ITS(情報サービス)とエレクトロニクス化がさらに進歩すると予想される。テスタについてもさらなる性能・機能の向上と新しいテスト手法の開発を進め、高精度測定やテストコスト削減の可能性にチャレンジしていく。


(※1)最大搭載チャンネル数はT7721の場合。T7722では最大搭載チャネル数は異なる。