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3GPP LTE規格に対応するオプションソフトを追加
信号発生や信号解析を可能にする計測器を提供
『R&S SMU200A』『R&S FSQ』

 

 ローデ・シュワルツ・ジャパン株式会社

 

 

ローデ・シュワルツ・ジャパン株式会社
テクニカル・センター
原田 博史

 

 

3GPP LTE(Long Term Evolution)は、第3世代携帯電話規格の競争力を10年以上保証する新技術で、1ビット当たりのコスト削減や高速通信を実現する。
ローデ・シュワルツ・ジャパンは、新しい通信規格3GPP LTEのアップリンク信号にも対応できるよう信号生成オプションK55の機能強化と信号解析オプションK101の追加を発表した。
ハイエンドタイプのR&S SMU200AやR&S SMJ100Aなどのシグナル・ジェネレータと、R&S FSQやR&S FSGといったシグナル・アナライザを用意しており、3GPP LTEの測定ソリューションとして、注目される。

 

 

R&S SMU200A

 

R&S FSQ

 

 

 

高速通信を実現するMIMOを装備した3GPP LTE

3.9GやSuper3G、E-UTRA(Evolved UMTS Terrestrial Radio Access)とも呼ばれている3GPP LTEは、HSDPA/HSUPAよりさらに進化した次世代の通信規格だ。最高データ伝送速度は、ダウンリンクで100Mbps、アップリンクで50Mbpsを実現し、ランドトリップタイムを10msと大幅にシステムアーキテクチャも改善されている。
 3GPP LTEの特徴として、ダウンリンクではOFDMA(Orthogonal Frequency Division Multiple Access)、アップリンクではSC-FDMA(Single Carrier - Frequency Division Multiple Access)という多重方式が採用され、MIMO(Multiple Input Multiple Output)のアンテナ技術も採用されている。
 MIMOは、複数のアンテナを利用し、高速通信を実現する。シングルアンテナを使った場合、ダウンリンクが100Mbpsであるが、送信アンテナ2本に対して受信アンテナ2本で対応する2×2方式を取ることで、データレートを172.8Mbpsにすることが可能だ。さらに4×4では、326.4Mbpsまで高速化が可能だ。アップリンクに関してもマルチユーザーMIMOという特殊なMIMOを使うことで、50Mbpsの通信速度を86.4Mbpsまで上げることができる。

 

 

 

 

 

次世代通信規格に対応する信号発生器を提供

 ローデ・シュワルツ社では、次世代通信規格をはじめ、現行のWiMAXやIEEE802.11a/b/gなどの信号発生を実現するシグナル・ジェネレータを多数用意している。リアルタイムエンコーディング処理を行うことが可能で、パラメータを変更し内部のDSPで計算させ、信号を生成する。この処理により、パラメータの変更の度に波形データの呼び込みが不要となる。
 特にR&S SMU200Aはハイエンド版の信号発生器で2つのRF出力をもち、フェージングをベースバンド上で処理できるハードウエア・オプションを追加することができる。移動体通信で必ず発生するフェージングの環境下でも通信の品質を保って、通信ができるかどうか、耐力評価をすることが重要である。既存のフェージング・シミュレータでは、RF信号をダウンコンバートし、フェージングの影響を加えていたため、ロスが発生したりミキサなどが必要になったりとスマートな評価ができずにいた。「当社の信号発生器では、ベースバンド部でフェージングの影響を加えるという、他社に見られない方式を使用し、性能的にもコスト的にもメリットがあります」と原田氏は、機能の独自性を挙げている。
 さらに、2×2のMIMO信号をフェージングおよびアンテナ相関を加えた形で一つのシグナル・ジェネレータで生成することが可能だ。4×4の検証には2台利用して、四つのRF信号を出力することができる。フェージング環境を作ることはできないが、スタティック環境の検証を実現する。
 R&S SMU200Aの廉価版として、ベクトル・シグナル・ジェネレータR&S SMJ100Aが用意されている。RF出力は一つであるが、LTEの信号を発生できるだけで良いというユーザーにとっては、コストメリットから考えても十分納得のいく製品といえる。100kHzから最大6GHzまでの周波数帯域を持ち、80MHzのI/Q変調器を内蔵して、無線通信規格に合った信号設定や任意の変調設定が可能だ。波形生成を行う柔軟性の高いベースバンド信号発生部をR&S SMU200Aと同様に搭載しており、開発から製造までのあらゆる用途に対応していく。
 生産ラインをターゲットにした製品として、2つのRF出力をもつR&S SMATE200Aが用意されている。高速セットリング・タイムをもち、周波数などが変化してもすぐに追従できる特徴がある。
 また、ベースバンドのLTE信号発生とフェージング・シミュレータを実現するR&S AMU200Aも用意されている。

 

フェージングに対応するR&S AMU200A

 

量産用途での人気が高いR&S SMATE200A

 

幅広い用途で使用されるR&S SMJ100A


 

  

ユーザーの使用用途に柔軟に対応する豊富なオプション

 LTEの信号は、対応する機器にソフトウェア・オプションを追加することによって、規格に沿ったものを生成することができる。
 信号生成器側のリアルタイムエンコーディングオプションとして、K55というオプションが用意されている。今回、機能強化を行い、昨年の4月より提供している高品質なダウンリンク信号生成に加えて、アップリンク信号の生成も可能だ。リファレンス信号や同期信号などのパラメータを柔軟に設定でき、移動機や基地局、モジュール、デバイスの性能試験などの評価で使用される。
 信号解析側では、二つのソフトウェア・オプションK100、K101が用意されている。R&S FSQ-K100は規格で定められているすべての帯域において、スペクトラム、時間、変調ドメインで、LTEのダウンリンク信号解析を実現するオプションだ。LTE基地局の開発が使用用途として挙げられる。
 さらに、新しく追加されたアップリンクの信号解析を可能にするR&S FSQ-K101と組み合わせることもできる。アップリンクとダウンリンク両方の信号解析を一台で実現するため、測定器導入のコストを削減することが可能だ。
 「MIMOを解析する機能も、提供します。オプションソフトを搭載するだけで、LTEの測定に対応することができます」と原田氏は語っている。LTE規格の詳細仕様は、まだ策定中であるため、ソフトウェア・オプションを利用して、高い柔軟性を持たせることを可能にしている。
 R&S SMU200Aで使用されるフェージング・シミュレータオプションには、フェージング・パスを構成するR&S SMU-B14、R&S SMU-B15の二つのハードウェア・オプションと、分解能拡張やダイナミック・フェージングを可能にするR&S SMU-K71のソフトウェア・オプションが用意されている。
 R&S SMU-B14とR&S SMU-B15は単独で最大20のフェージング・パスを構成し、それぞれにパラメータ設定することが可能だ。二つを組み合わせることで、最大40のパス環境に対応する。
 現行のW-CDMAやcdma2000、GSMといった主要な移動体通信規格に加え、LTEに対応するフェージングシナリオも搭載されている。複雑なテスト設定やテスト環境構築に費やす時間を削減し、効率的に検証を行うことが可能だ。
 ローデ・シュワルツ・ジャパンでは、LTE規格に対応したもの以外にも、様々なソフトウエア・オプションやハードウエア・オプションを提供している。WiMAXやBluetooth専用のオプションも用意されているため、ユーザーの使用用途に合わせたシステム構成を実現する。汎用的な信号発生器、信号解析器を提供し、オプションの変更・追加をすることで、異なるプロジェクトにも流用することが可能となっている。RFの帯域が異ならなければ、次世代の通信規格にも対応することが可能だ。

 

LTE MIMO受信機の試験

 

LTE MIMO送信機の試験

 

 

RFパフォーマンス検証を実現する信号解析器、システム性能評価を実現する信号発生器

 LTEの信号解析装置として、シグナル・アナライザが2種類用意されている。ハイエンド版のR&S FSQと廉価版のR&S FSGがあり、オプション追加でWiMAXやIEEE802.11nなどの解析も可能となり、通信機器が規定の信号を発信しているかどうか検証する。
 これらの解析装置を用いれば、EVM、CCDF(Complementary Cumulative Distribution Function)など送信側のRFパフォーマンスの解析ができる。
 また、デジタル無線機器の受信システム性能は、BER(Bit Error Rate)を測定することにより行われ、実際には復調データおよびクロック出力を受信DUTの中に設けて、BER測定器を用いた測定をする。同社が提供するベクトル信号発生器にはBERの測定を可能にするオプションがあり、新しく専用の測定器を用意する必要はない。
 「当社のベクトル信号発生器があれば、受信DUTからのTTLレベルの信号を、背面コネクタで受けBERを測定することができます。こういった意味でもワンボックスソリューションとして、機能する信号発生器です」と原田氏は、特徴を挙げている。

 

 

製造ラインで使われるシグナル・アナライザR&S FSG

 

 LTE信号のCCDF測定を実現

 

LTEの商用化に向けたソリューションの提供

 LTEの技術仕様は、3GPP Release 8を元にしており、商用サービス開始は2010年初めを見込んでいる。今年の3月にレイヤ1の仕様がほぼ確定し、秋までにレイヤ1、2、3すべての仕様が確定する公式見解が出ており、今年から携帯キャリアメーカーなどで、開発がはじまるといわれている。
 「ローデ・シュワルツ社は、ユーザーの要望にいち早く対応できるよう、ソフトウエアやハードウエアの製品開発を行っています。標準化団体にも活発に参加し、仕様のリリースに合わせて、ファームウエアのアップデートができるよう対応を行っています」と原田氏は語っている。早い段階からLTEへの取り組みを進め、技術や商用上の課題解決にいち早く貢献し、携帯端末や基地局の開発をサポートする。
 ローデ・シュワルツ・ジャパンが提供するLTE測定ソリューションが、今後もMIMOの市場を視野に入れて活躍されることが期待される。