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TEDS規格に準拠し、波形表示や静ひずみ計測を実現した
カラーグラフィックディスプレイ デジタル指示計

TD-280T/TD-275T

 

ティアック株式会社 

 

 

 

情報機器事業部BSビジネスユニット
技術開発部 ソフトウェア設計グループ
忰田 健

情報機器事業部BSビジネスユニット
営業部 計測営業課 マネジャー
山岡 正樹

情報機器事業部BSビジネスユニット
営業部 企画マーケティング課
吉岡 淳

 

 

ティアックでは、プレス機や圧入機、射出成型機の計測に利用されるデジタル指示計を波形表示可能なモデルも含めて数多く提供してきた。今回紹介するTD-280T/TD-275Tは、ひずみゲージ式の荷重センサや変位センサを組み合わせ(TD-275Tは荷重センサのみ対応)、リアルタイムで変化する数値データを視覚的に捉えることが可能なデジタル指示計だ。生産管理用制御システム、自動機器、試験器への組み込み用など、TEDS規格に対応したセンサとの組み合わせで、校正データ設定(入力)時間の短縮や人為的ミスを防止し正確な計測を実現する。

 

 

 

TEDS規格に準拠したTD-280T/TD-275T

 ティアックでは、数値からだけでは読み取れない変化を、波形表示で補完できるというメリットをもった、『波形表示ができるデジタル指示計』を数多く提供している。有用性がユーザーから理解され、さまざまな分野で幅広く使われていることはいうまでもない。
 TEDS規格に準拠した製品としては、小型計装用のデジタル指示計TD-250Tをすでに販売しており、今回紹介するカラーグラフィックデジタル指示計『TD-280T/TD-275T』とともに、プレス機や圧入機、射出成型機を使用した生産管理用制御システム、自動機器、試験器への組み込み用の製品管理に利用されることを狙っている。
 TEDS(Transducer Electronic Data Sheet)は、トランスデューサ電子データシートのことで、TEDS規格対応のセンサ(トランスデューサ)にはセンサ内のメモリに固有の識別情報や較正情報(パラメータ)が記録されている。
 このTEDS規格に対応したセンサおよび機器を使用すると、計測前に行う必要のあった、各センサメーカーから提供されるセンサ固有情報の設定や較正データの入力を、自動的に行うことが可能となり、設定時間の大幅な短縮、設定ミスの防止など、現場の負担を軽減し、より正確な測定が実現できる。
 仕様的には、荷重センサ入力部をもち、ひずみゲージ式のトランスデューサで0.5〜±3.0mV/Vの入力範囲に対応している。また、TEDS規格のIEEE 1451.4 クラス2に基づくプラグアンドプレイセンサの機能で、ミックスモードインタフェースも実現している。

 

 

小型計装用のデジタル指示計TD-250T

TEDS対応のセンサ入力で数値表示を実現


 

 

 

 

製品の厚み管理に活用できる変位センサ入力

「変位センサを使うことで、時間軸にとらわれるのではなく、変位入力に対して使われる要求が増えています」と、吉岡氏が今回の製品の開発背景を語っているように、TD-280Tは変位センサ入力に対応しており、パルス入力とアナログ入力の2種類が用意されている。
 中でもパルス入力が特徴的であり、エンコーダのパルス入力としても使えるため、さまざまな用途での利用が期待されている。
 パルス入力は、最大50kHzの入力周波数をもち、内部カウント範囲16ビットで、32極コネクタに配置することが可能だ。オープンコレクタで、2相と単相の出力に対応する。
 アナログ入力は、0〜±10Vの入力電圧範囲で、10、30、100、300Hzのアナログローパスフィルタをかけることが可能だ。
 さらに、波形の表示範囲は荷重値が0〜±9999、変位値も0〜±9999と幅広く対応することができる。データの表示更新回数は1秒間に3回で、時間軸設定を0.5、1、2、5、10秒にできるため、より詳細なデータの解析を実現する。
 ホールド機能によって、計測データの中から特徴的な点を抽出し、検証することもできる。ホールド機能では、変曲点ホールド、サンプルホールド、ピークホールド極大値ホールド、極小値ホールドの4種類が設定でき、変位のピークや変曲点の荷重、変位の長さの上下限などで、管理値がその範囲に入っているかどうか、数値としてOKかNGかの検知を行うことが可能だ。また、後述のCFカードへデータを保存することでデータをさかのぼり、不良品の調査までをも実現できる。
 ホールド設定の他にゾーン判定による検証も可能にしている。変位センサで測定される変曲点や途中経過の極大・極小値は計算で求められるが、ノイズ成分が多いとうまく見つけられないケースがある。その場合、波形が一定のゾーンを有効的な範囲を通過したかどうかの検定が可能だ。変位量として、どの範囲に荷重値が入っていれば良いかを3個所まで設定できるため、最初に金型と当たった点、中間、終わりと、各ポイントでのゾーン設定を実現している。
 ホールド機能、ゾーン測定のいずれも一つ以上のNGが出たときは、『NG』判定が出るように設定されている。しかも、詳細を表示することが可能で、NGが起きたポイントやゾーンがどこであるかを見ることが可能だ。
 具体例として、プレス機の場合を考えてみよう。油圧シリンダから送り出される金型に対して、受け側の金型があるという仕組みが一般的であろう。プレスする側の金型と受け側の金型の間に、プレスされる金属板が入り、プレス作業を行って製品の形へと成型されることになる。その時の変位は、シリンダの繰り出し量になるが、それがどのように変化していったか、時間と照らし合わせて見ることが可能になる。
 計測によって変位のピークを取得することができるため、その数値からプレスされた材料の厚みを測定し、管理することもできる。従来の方法では、荷重しか分からないので、実際にできあがった製品の厚みが何mmであるか把握することは困難であった。しかも、誤差が分からないため、均一の製品がどれだけできたか、把握することも難しい。「変位データを記録できるようになったことで、金型の摩耗などによる厚さの変化や均一性の測定を実現できるようになりました」と忰田氏は、この指示計がもたらす利点を挙げている。

ホールドされた変曲点を視覚的に見られる

変曲点でホールドされた判定結果


      最大3つまでのゾーンを設定可能

 

静ひずみセンサ入力で機器の経年劣化を検知

 TD-280T/TD-275Tでは、静ひずみモードが用意され、ストレイン表示をすることが可能だ。一般的にプレス機や射出成型機などに使用されているロードセルの故障を確認するためには、個別に静ひずみ計を取り付ける必要があるが、TD-280T/TD-275Tは単体で静ひずみ計としての機能をもっている。
 ロードセルは、経年変化や過負荷によって、内部の構造に劣化が発生する。異常がないかどうかを判断する基準として、静ひずみ計を使った測定を行うことになる。従来のシステムでは、配線を一度取り外し静ひずみ計に接続し直す必要もあり面倒だったが、今回の製品ではその必要がなく、静ひずみモードにするだけで負荷の状態を見ることができる。
 「0バランス補正をかけない状態での歪値を確認することにより、センサ自体の良否の判定を簡易的に行うことができます」と山岡氏は語っている。
 ティアックが提供している製品の中には、静ひずみデジタル指示計に特化したTD-35も用意されている。ロードセルをはじめ、ひずみゲージを応用した圧力、荷重、トルクなどの各種トランスデューサに適合するデジタル指示計だ。ストレインの表示分解能は±20,000μをもっている。ひずみ単位表示機能のほか、トランスデューサ出力として、各センサの感度値を入力することで、ニュートンなどの実単位に変換することが可能である。

それぞれのゾーンの判定と全体の判定結果を表示

静ひずみのストレイン表示が可能


 

インタフェース対応と、CFカードへのデータ保存

 TD-280T/TD-275Tは、8GBまでのコンパクトフラッシュカードに対応しているが、現在出回り始めた16GB容量の製品にも対応するため、今後検証を重ねていく予定という。
 「データは8GBのコンパクトフラッシュカードを使った場合、27,000個の測定(波形)データを収録することができます。20秒に1回、10秒のプレスをすると、24時間稼動で6日分に相当になります」と忰田は語っており、「1週間にカードを1回交換するだけで、プレスしたデータをすべて取得することができます」と言う。一般的に使われる2GBのCFカードでは、1日分のデータ保存を実現できることになる。
 保存されるデータには、レベルから判定出力までの荷重データに加え、設定や判定結果なども含まれる。生産ラインにおける品質保証データとしての利用や、現場では難しいより詳細な解析をPCやワークステーションと連携を実現できるだけでなく、測定データはCSV形式にて保存されるため、表計算ソフトなどを利用し、グラフにして見ることも可能だ。
 また、オプションで外部インタフェースを用意しており、RS-232C、LAN、D/Aコンバータの中から1つを搭載することが可能だ。LANのインタフェースは、100BASE-TXと10BASE-Tを自動認識することができ、さまざまなデータ通信に対応できる。
 各種ホールド機能を使用することにより、シーケンサなどを使用した生産現場の計装用ロードセル指示計としても使用できるTD-280T/TD-275Tは、荷重・圧力・トルクなどの表示をリアルタイムな数値データとして捉えられるとともに、データの変化を波形として視覚的に捉えることができるデジタル指示計として、注目される。

 

 

20000μまでのストレインに対応するTD-35

 

 

大量のデータを記録するコンパクトフラッシュ

 

 

さまざまなインタフェースに対応

 

 

  

RoHS対応のデジタル指示計

 現在、ヨーロッパを中心にRoHS指令への対応が求められている。RoHS指令では、電子・電気機器に使用される鉛や水銀、カドミウム、6価クロムなど、特定された有害物が一定の使用制限を超えてしまわないように、欧州連合が指令している。
 日本国内でも対応している製品が求められ、環境について考える必要性が高い自動車のメーカーでの対応が進んでいる。さらに、組み込み用の部品を海外に輸出する場合、製品の機能や性能だけでなく、環境も意識した製品であることは、当然のように求められている。メーカーとしての姿勢が評価されるため、基準に対応した製品の管理をしていくことは重要といえよう。
 「TD-280T/TD-275T は、当初からRoHS指令を視野に入れて開発していました」と吉岡氏が語るように、さまざまな分野でRoHS指令に対応していく流れは増していくと考えられる。今後は、製品だけではなく、工場のシステムまで環境を考えた対応が求められていくことを考えると、すばやい対応といえよう。