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世界各国の
道路情報配信サービスに対応した
FM多重信号発生器 MSG-2174


  株式会社目黒電波測器

現在、世界各地の都心部を中心に、交通渋滞情報などを配信する情報配信システムの拡充が急速に進んでいる。
目黒電波測器ではカーナビゲーションシステムやカーオーディオなど、FM多重放送の設計開発や製造工程に使用されるさまざまな製品を販売しており、今回紹介するMSG-2174は、1台でDARC、RDS、ステレオ変調の三つに対応するFM多重信号発生器として注目される。
DARC、RDS、ステレオ変調の三つを搭載できることで、世界各国のFM放送の試験に対応できるだけでなく、3方式を自由に組み合わせることができるマルチプレックス方式を採用し、1ボックス化による操作性の向上も獲得している。

 

 


技術部
横森 直

 

 

車両へのさまざまな情報提供を実現するVICS

 現在、カーエレクトロニクス分野の進展にはめざましいものがある。安全系、制御系はもちろんのことだが、情報系と呼ばれるカーオーディオやカーナビゲーションの分野にも、さまざまなツールが加わることで、大きな構造変化をもたらしている。特に、GPSなどを利用した道路交通情報を受信できる機器の搭載は、さまざまなメリットをもたらすことから、世界各国で注目され、その搭載車両台数も日増しに増大している。
 現在日本国内では、VICS(Vehicle Information and Communication System)と呼ばれる情報システムがあり、さまざまな交通情報をカーナビゲーションシステムに伝達している。この配信は、VICSセンターが編集・処理を行い、FM多重放送やビーコンを利用して、情報発信を行っている。
 このシステムに使用されるFM多重放送では、広域エリアの道路交通情報を提供しており、受信している都道府県の情報と、その隣接県との県境近辺の情報が入手できる。きわめて広範囲の情報を送信することができるため、地域単位の情報入手に活躍しており、NHKのFM放送局の音声放送に多重化して、同一周波数帯域で放送することで、2分半あたり約5万字相当の情報量を受信することができる。
 また、その情報伝達に使用されるビーコンには、主に高速道路などで利用されている電波ビーコンと、主要な一般道路で使用される光ビーコンがある。FM多重放送に比べて狭帯域での情報提供を目的としており、ビーコンの設置されているポイントやその周辺の情報を掴むために活用されている。
 電波ビーコンは、進行方向の前方200km程度の高速道路の情報を送信している。交通道路情報だけでなく、インターチェンジ付近の接続道路など、平行一般道路の情報も提供している。渋滞・高速道路のリンク旅行時間・規制・SA/PA情報・障害情報・IC間の区間旅行時間など、細かな情報を入手することが可能だ。
 一方、光ビーコンでは、進行方向の前方30km、後方1kmの一般道路、高速道路情報が提供される。非常に狭い範囲の情報を入手することが可能で、渋滞・リンク旅行時間・規制に加え、駐車場情報などの情報を取得することができる。
 海外に目を向けると、中国の大連、上海、北京、広州の4ヵ所でもVICSの実験がスタートしており、注目を集める分野といえよう。

 

 


VICSで使われるFM多重放送とビーコン
※財団法人道路交通情報通信システムセンターホームページより

 

 

 

 

 

世界中で利用されるFM多重放送

 現在、世界中で使われているFM多重方式には、いくつか種類がある。NHKで開発され、日本を中心にアジアなどで使われているDARC(Date Radio Channel standard)とヨーロッパやアメリカなどで利用されているRDS(Radio Date System)に大きく分けられる。
 DARCは、移動体受信に適した放送方式として、1995年10月1日からFM Tokyoの電波に乗せた本放送を開始している。移動受信での優位性や高い伝送レートが認められており、前述のVICSといった高度道路交通システムの一翼を担っている。
 1995年のITU-R総会にて、FM多重方式の標準規格Rec.1194として勧告・承認されたシステムで、データを受信して文字化する専用ラジオである「見えるラジオ」などで利用されている。番組、ニュース、スポーツ、気象、交通、エンターティメントなど、さまざまな情報入手できる方式となっている。
 一方RDSは、FMラジオの交通情報がどのチャネルで流れているか、データを発生させることができる方式で、ヨーロッパやアメリカを中心に使われている。二十年以上前の方式ということもあり、通信レートが遅いモバイルを対象にした通信システムで、開発された当時は絵や文字を送信する通信レートではなかった。各チャネルをサーチして、自分が聞いている局以外が交通情報を始めたら、その時だけその局へスイッチさせることが可能だ。交通情報を聞き、また自分の選んだチャネルに戻ってくるよう、ラジオをインテリジェンスに動かすためのフラグデータの送信を実現している。

 

 

各種測定に対応でき、生産ライン向けに特化されたMSG-2174
目黒電波測器では、いままでにも生産ライン用の装置を数多く製品化し提供している。CDやDVD、Blu-rayのデバイスの性能を評価するジッタ計測を行う製品なども扱っており、テストのカテゴリに合わせて、さまざまな信号発生器をラインアップしている専業メーカーとして注目されている。中でもカーオーディオに使われるAM、FMラジオ、GPSに対応する計測器への注力は格別で、世界的にも高い評価を得ている。
 今回紹介するMSG-2174は、FM多重信号が発生でき、FM多重放送受信機など、生産ライン向けに特化された製品として、注目される。GP-IBやRS-232C、USBポートなど、豊富なインタフェースをもち、リモートコントロールをも実現している。
 一般的に普及されているUSBやRS-232Cは、データのやり取りで利用されるのが主流で、パソコンで作ったデータのアップ/ダウンロードに利用される。コントローラデータの入れ替え作業などを簡素化し、メンテナンス感覚で対応することを可能にしている。また、生産ラインでは、変調器や信号発生器、復調波アナライザなど、さまざまな測定を同時にPCコントロールする場合が多い。そこで、計測器のコントロールには、GP-IBインタフェースを使うなど、それぞれのデータ転送やコントロール状況に応じた選択が可能となっている。
 さらに、BER(ビットエラーレート)測定もでき、最大10−6まで測定することが可能だ。FM多重放送は、移動体通信で使われることを目的としているため、データ受信の耐力測定は重要な要素といえる。しかし、16kHzと周波数帯域が低く、BER測定に時間がかかってしまう。そこで、測定速度を向上させ、計測時間の短縮が可能になっている。
 また、MSG-2174は外部変調入力の機能をもっているのも大きな特徴で、外部で蓄積したデータを変調し、L-MSK信号として、出力することが可能だ。外部より入力したデータを本体の内部メモリに保存することが可能である。10レコードでトータル160フレーム(1レコード最大60フレーム)に対応するユーザーレコード、一つの固定データレコードなどが用意されれいる。

 


ビットエラーレートの測定を実現

ユーザーの用途に合わせたFM多重信号発生器

 従来、DARC方式のみに対応したデファクトスタンダードの信号発生器として、MSG-2173を提供していたが、MSG-2174ではその使いやすさを踏襲し、操作面を複雑にせず、DARC、RDS、ステレオ変調を1台で対応できることを大きな特徴としている。
 三つの変調方式の中から組み合わせを選択し、ユーザーの用途に合わせた使い分けができるマルチプレクス方式が採用されている。市場の中で要求が高い三つの方式に対応することで、ユーザーニーズに合わせることができる。オプションの組み合わせは自由に決められ、必要なオプションをあとから追加することもできるため、モジュール構成によって、ユーザーの要求にあった変調方式の導入が可能だ。
 さらに、FM多重の発展性や多様化の動きに対して容易に対応できるよう、同器から出力される信号パターンのデータは、付属のアプリケーションソフトを使い、パソコン上で作成することが可能だ。同器とパソコンを直接接続することで、試験データなどのダウンロードを実現でき、エディタで作られた信号が、受信機器で正常に同じデータを受け取ることができているかの確認を可能にしている。
 エディタでは、ユーザーが自由に出力データを作れるようになっている。DARCやRDSの開発用に設計されているため、ラボで使われるような複雑で限界値が求められるようなデータから、ライン上で使われる固定パターンまで、幅広い用途で利用される。
 VICS対応のオプションを導入すれば、VICSデータの編集も可能だ。「特にエラーナレッジをするため、R&D用途が主体と考えています。我々が提供しているデコーダを使った視聴のシミュレーションもできるため、ラボでの検証もサポートします」と横森氏は語っている。
 また、同器は、アナログ要素を多く使っていた従来機に比べて、ハイブリットやデジタル要素など、フルデジタルの信号発生器となっており、デジタル要素を取り入れ、測定器も脱アナログをコンセプトに考えて作るように、シフトしてきている。「信号はアナログになりますが、生成の部分でデジタル演算処理を実現しています。デジタル方式では、ノイズが発生し、アナログ方式に比べて性能を上げるのが大変でした」と横森氏は開発のエピソードを語っている。

将来を見据えた製品開発で、活躍を期待

 昨年12月にVICSセンターが発表したリリースでは、8000万台ある国内自動車のうち、VICSを搭載した車両は2000万台もあるという。
 以前のカーナビゲーションシステムは市販品が中心で、純正の製品は高級車にしか付いていなかった。普及車の需要が広がり、混雑状況やマップ情報が活用できる製品がここまで広がった変化は大きい。
 当然、アメリカやヨーロッパ、アジア圏でも同様で、都心部の交通状態に対応し、いかに混雑を避けて、目的地にいち早く到達できるかの情報を入手できるシステムとして、カーナビゲーションに対する期待は高まるばかりだ。
 現在、それぞれの国が対応を模索している状況ではあるが、韓国では独自の対応を取り、中国でも大連、上海、北京、広州の4ヵ所で日本のVICSの実験がスタートしているなど、世界的に注目を集めている分野だ。
 「カーエレクトロニクスの中でも、情報系を中心としたコントロール部分が、当社のメインターゲットであると考えています。ディスプレイ装置や運転記録用のドライビングカメラ、事故防止のための車・車間通信などを含めた道路交通情報の部分を重視し、当社の技術がカバーできる分野に注目していきたいと思っています」と横森氏は抱負を語る。さまざまなエレクトロニクスが搭載される自動車のインテリジェンスな部分の計測の一翼を担うFM多重信号発生器は、情報化が急激に進展するカーエレクトロニクス分野を支える測定器として、各方面から注目されることになろう。


DARC、RDS、ステレオ変調を
1台で対応できるMSG-2174

さまざまなインタフェースに対応する
MSG-2174(裏面)


カーオーディオで受信する
AM・FM信号を発生させるMSG-2280




さまざまなFM多重データの作成に対応

 

ユーザーに合わせた機能選択が可能

デジタル演算処理を実現するシステム構成